番外編 和束ハルの目論見
和泉豊があそこまで覚悟の決まりきったアホとは思わなかった。あと、怨霊が作れる霊力の量もあそこまでと思わなかった。あの怨霊を狙うのは、本当にうまく行かない……。
ただ、気配を隠してあちこち回った結果、霊力がある割に相当なポカをした人間がいるのを発見した。朝霧春太郎。朝霧家の跡継ぎ、そして自身の不妊を頑なに認めない男。
和泉豊が生き残り、怨霊にも被害が出なかったので、協力できる立場なのに唯一協力しなかった朝霧春太郎はずいぶん立場がなくなっているらしい。
こいつに付け入れられればな……こいつの霊力を根こそぎ奪うようなことができれば、できることがずいぶん増えそうだ。
朝霧春太郎は、自分の子供が作れるなら何もかも差し出すだろう。ということは、それをちらつかせて引き換えに霊力を差し出させる契約を、術式を使ってやれば強制的に霊力を引き出せるはず。
……「子どもが出来る方法を教えてやる」と言って釣れるならそれが一番かな? そう言っておいて、不妊治療の病院の行き先を書いた紙を置いておけば契約は履行ということになるし。
まあ、朝霧春太郎の周りをもう少し観察して、できるなら実行に移そう。あの怨霊の力そのものを手に入れるためには、やはりもう少し手元に霊力がいるかも知れないから。




