しっかりお礼は言っときたい
南さんの運転する車に乗って、緑さんと二日がかりで今回のお礼のあいさつ回りしてる。峰家、朝霧家、金谷家、南家、佐和家、そのほかたくさん。
峰家に挨拶したあと、緑さんにほめられた。
「峰家に、術式の代金五百万円は受け取らないって言ったのはすごくよかったと思うわ」
峰家がワシに内緒で、和泉を助ける霊力をワシから出させるために作った術式のことだ。
『うん、峰家は金出してもなんもいい事ないし、事情知ってたらワシ金なんてなくてもいくらでもやったから……』
「そうねえ」
『あの、それよりワシ気になってるんだけどさ』
次に行くのは朝霧家で、緑さんの義理の両親にお礼を言いに行く予定だ。
『緑さん、朝霧家に行くの、いやじゃないか? 大丈夫か?』
緑さんは、朝霧家の嫁で、旦那の朝霧春太郎が種無しなのにお前に原因があるって言い続けられて、結局旦那から移されたウイルスで子宮のがんになって子宮を取っちゃった人だ。緑さん、今は朝霧家と別のところで暮らしてるけど、旦那に勝手なことさせないために籍は抜いてないんだって。離婚したら、旦那が別の女の人を自分と同じ目に遭わせるかもしれないから。
「ぜーんぜん。私、何も悪くないもの」
緑さんはあっけらかんと言った。それから、優しく微笑んだ。
「心配してくれてありがとうね、でも義理の両親とは別に関係悪くないのよ。早いうちからいろいろ相談してたし、割と私の味方」
『そうなんだ、よかった』
ワシはホッとしたが、その後にびっくりするようなことを聞かされた。
「……今回ねえ、義理の両親は霊力分けてくれたんだけど、旦那が一切分けてくれなくて。和泉さんが死んだら、お前は怨霊と仲いいんだからお前が怨霊を手懐けろ、なんて言い出して、うちの業界の中でも総スカンなのよ」
『え、そうなのか!?』
「だから、私の旦那が場に出てきても、そっちにはお礼言わないでね。前当主の香駿さんと、私の義理の両親にだけ言って」
『う、うん』
そんな事あったんだ……。
「だから、朝霧家のことはなんてことないから、関西勢にお礼行くのもよろしくね。新幹線の手配とレンタカーの手配はこっちでやっとくから」
『うん、ありがとう』
関西に行くのは明日だ。朝早い新幹線に乗って、レンタカーで各家を回る予定。今日帰ったら、明日用の和泉の飯を作り置きしとかなきゃな。




