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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第9シーズン

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二人で桃を楽しみたい

 福島の桃が届いた。大きいのが6つ。千歳は『すごくでかい!』と喜んでいた。

 とりあえず一個、お昼のデザートに千歳が剥いて切り分けてくれた。


『柔らかすぎなくて剥きやすかった』

「うん、熟しても硬い桃選んだからね」


 福島は硬い桃で有名なのだ。

 桃をひとくちかじると、フレッシュな果物特有の心地よい甘さと、りんご寄りの硬めの食感を感じられた。鼻に抜ける香りは甘いながら爽やかさがあり、香料のベタッと甘い桃の香りとは比べものにならなかった。


『うーまい! めちゃくちゃうまい! 高級な果物ってこんなうまいんだなあ』


 千歳はにこにこで二切れ目の桃にフォークを伸ばした。


「食べれてよかったよ……こんなにおいしいなら、もっと早く買えばよかったな」


 でも、人生にずっと余裕なかったからなあ。余裕があればこそ、か。


『桃、あと5つか。こんなにあるんなら、アレンジしたのも食べたいな』


 千歳は3切れ目をかじりながら言った。


「どんなアレンジ?」

『まずやりたいのはアールグレイマリネ』


 アールグレイマリネ? どんなアレンジなのか、イメージがわかない。


「どんなの?」

『はちみつとレモン汁と、アールグレイの紅茶の茶葉を細かくして桃と和えるだけ』

「へえ、おいしそう」


 ちょっと大人の味って感じだ。


『じゃあ明日のおやつはそれな! あと、油多くなっちゃうけど桃モッツァレラもやりたいんだよな……』


 千歳は悩む顔になった。


「それは、桃とモッツァレラチーズを一緒に食べるの?」

『そこに、オリーブオイルとレモンの皮と黒こしょう』


 なるほど、カプレーゼの亜種みたいなのか。


「たまにはそういうのも食べたいな」

『そうか?』

「千歳の料理なら、絶対においしいし」

『褒めても何も出ないぞ?』


 そんなこと言いつつも、千歳は嬉しそうに笑った。


『じゃ、明後日の飯は全体的に油少なめにして、桃モッツァレラ食べても大丈夫にしよう。午後に材料買ってくる』

「ありがとう」


 千歳と一緒においしいものが食べられて嬉しい。千歳の作ったご飯が食べられるのが嬉しい。

 ……千歳と一緒に過ごす時間が、あとほんの少しなのが、悲しい。

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