正直に話せば多分いい
「コーヒーも紅茶も飲みたい、甘いものも好き」という咲さんの要望を聞いて、横浜駅近くの、コーヒーも出す紅茶専門カフェでお茶しないか咲さんにLINEで聞いたら、快諾してくれた。
「紅茶専門カフェって、初めて聞きます」
「私も調べなかったら知りませんでしたね……でも、紅茶好きの人の間では有名なお店だそうです」
千歳にそのお店のことを話したら、緑さんが好きな店だと言ってたんだよな。
「わー、楽しみにしてようっと!」
「ケーキもおいしいらしいので、まあ、私の話がつまらなくても楽しめると思います」
「別に、和泉さんの話つまらないとは思いませんよ」
「ありがとうございます、でも、それなりに自分のことを話すとなると、聞いて楽しい話題でもないことがあるので」
「最初に和泉さんが楽しくないことを無理にやっちゃったのはこっちですから! 何でも聞きますよ。同居人さんのことも聞きたいな」
あー、そうだな、千歳のこともちゃんと話さないといけないんだよな。うーん、狭山さんの妹さんだし、霊だの何だのの話をしても大丈夫なんだろうか?
「えっと、お聞きしたいんですけど、狭山誉さんから私と千歳の話ってどれくらい聞いてます?」
「んー、教えてもらってるような、はぐらかされてるような……なんか、兄、頭打ったのがよくなってから「今から話すことは、話しちゃいけないこととかぼかさなくちゃいけないことがあるから、なにかとんでもないことをいい出したな、と思ったら、それはすべて何かの例えだと思って」とか言って、自分の四代前が化け狸とか、和泉さんは怨霊に子々孫々まで祟られてるとかいうんですよ」
「……その前置きで、狭山さん、自分が霊感に目覚めたとかお祓いの手伝いしてるとか言ってるんです?」
「そうなんです。小説のほうが売れてるからいいけど、どうやってそっちで稼いでるんだろうって」
いや、ぼかしでも例えでもなんでもないな、そのまんまだな……でもそのまんまを話すと頭おかしくなったと思われるもんな、狭山さんなりの工夫か……。
「ええと、私を祟ってる怨霊が私の同居人なんですけど、子々孫々まで祟るのが目的だからまず私に子孫を残させようとすごく身の回りの世話をしてくれてて、たまに人助けまでするくらいで、完全に無害です。私が結婚したら家全部の家事をやるし子守もするって言ってます」
「え、何かの例えとかぼかしじゃないんですか?」
「特に例えてもぼかしてもいないですね。まあ、それなら千歳のこともちゃんと話しますね、明日」
「あ、はい、よろしくお願いします」
そ、そうか、千歳のことを飲み込んでもらわないといけないのか……千歳がガチの怨霊で、この世界には怨霊だの悪霊だのが普通にいることを、いずれ咲さんには飲み込んでもらはないとならないのか……。
う、うーん、まあ、信じてもらえなくてもこっちは本当のことを説明するしかない! しよう!




