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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
26シーズン

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いよいよアジトに踏み込みたい

 俺が行くにあたって、千歳が緑さんに頼んだことがある。俺がアタリの子を確保したら、その子といっしょに即安全な場所に避難できるようにすることだ。緑さんは快諾した。


「私たちも、すぐにアタリの子を安全な場所に移したいし。九さんならやってくれると思うけど、避難先はどこにする?」

『うちがいい。和束ハルのときに壊されないようにしたし、ワシもできるだけ結界張っとくし』

「俺もそれでいい」

「わかったわ」


 緑さんは頷いた。

 最優先はアタリの子の確保。和束みやびにアタリの子で複合体を作られたら、千歳でも手が付けられないためだ。

 決戦に備えて、千歳はお米をたくさん食べて力を蓄え、俺は事態が長引いた時に備えて、今片付けられる仕事をすべて片付けた。


『和束ハルの強化術式使うとしたら、明日だな』

「そうだね」


 和束みやびがいる家の間取りももらい、頭に叩き込んでおく。細かい打ち合わせ、千歳を中心に誰が立ち向かうか、俺はどう動くべきか。

 九さんからは御札が来た。これをどこかのドアに張って、「急急如律令」と言えばうちの玄関につながるそうだ。つまり、俺はアタリの子を最優先で確保して、これを使って家に逃げ込めばいい。

 そして、決戦の日を迎えた。

 九さんにつなげてもらった扉で、俺たちは本白神社からワンドアで清流村に到着。田んぼが広がる村の中、ある家の近くにパトカーがいくつも止まっている。

 その家は奇妙で、すぐそこにあるのに、霧がかかったようにぼやけて見えない。家の周りには白いテント屋根がいくつか立ち、テント屋根下に設えられた多くの机に、警察らしき人たちを含めたくさんの人が集まっている。その中に、俺は吸血鬼の面々や、千歳がばらばらになったとき協力してくれた人たちの顔を認めた。

 藤さんがテントの中心にいて指揮を取っている。俺と千歳がテントの中に入っていくと、皆から「よろしくお願いします」「全力で支援します」と口々に言われた。


『ワシ頑張るから!』

「微力を尽くさせていただきます」


 俺たちは頭を下げた。藤さんから、今の状況について、詳しく教えてもらった。

 上島家と峰家は得意の術式で結界を張り、中に何かあっても被害が外部へ漏れ出ないよう全力を尽くしている。和束ハルの時は全国に広がろうとして大変だったためだ。和束家も術式では最高峰なのだが、和束みやびに肩入れする可能性があるので、和束ハルの術式以外は使わないことにしたそうだ。それはそうだと思う。

 ここにいる大半の人々、金谷あかりさんや南さんを含む面々は、被害を漏らさない術式に流す霊力のため、ここにいる。

 南家と吸血鬼の面々は、管狐とコウモリを駆使して家の周りを見張っているが、今のところ変化はない。しかし、大きな霊力だけはビンビン感じ取っているそうだ。

 そして、最終打ち合わせ。和束みやびのいる家は、間取り的にはごく普通。ただ、庭はそれなりに広く、和束みやびも大人しく家にこもっているとは思えない。千歳を中心として、緑さん、九さん、深山さんが和束みやびに相対することになっている。

 そして、俺は地下室のある別棟に単独で向かい、アタリの子を確保して即うちに離脱予定。千歳をなるべく再現しているなら、アタリの子はなるべく地下牢にとどめているだろうから、家の敷地内に入ったらまっすぐ別棟に行くのが一番いいだろうということになっている。

 千歳がいたみたいな地下の座敷牢だよな、と最後に確認をし、そして俺は凡ミスに気づいた。千歳がいた座敷牢、鍵かかってたよな!?


「すみません、別棟に行って、地下室とか玄関とかに鍵かかってたらどうしましょう? いくら私の防御力強くても、鍵は開けられませんし……」


 それを聞いた吸血鬼の王が言った。


「じゃあ、マスターキーをあげる」

「マスターキー? そんなのあるんですか?」

「はいこれ」


 吸血鬼の王がマントの裏から取り出して渡してきたのは、一振りの手斧だった。


「え、これですか?」


 俺がびっくりして受け取ると、吸血鬼の王はニコッと笑って、親指を立てた。


「どんな鍵も、壊せば開くよ!」


 ぶ、物理!

 しかし、これ以上に有用なマスターキーもそうそうない。これで行くしかないか。

 俺は吸血鬼の王にお礼を言った。千歳は守り刀を取り出し、和束ハルの強化術式を体の中に入れた。九さんは巨大な九尾の銀狐に変化し、深山さんは巨大な狸に変化した。緑さんが式神の白い紙を構え、8体の牛鬼を出現させた。

 千歳は最後に俺を見た。


『気をつけろよ、アタリの子見つけたら即帰るんだぞ』

「うん、しっかりやるよ」


 緑さんが「やるわよ」と言い、牛鬼たちに庭につながる扉を壊させた。そして緑さんはまた別の術式の紙を持ち、何事か唱えた。


「和束みやびのいる異界に繋いだわ。行きましょう」


 そして俺たちは、和束みやびのアジトに踏み込んだ。

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