番外編 金谷千歳と家族
新しくできた無印良品は、前に行ったのより大きくて、ワシは圧倒されてしまった。ベッド、服、家具、雑貨……この店のなかで生活が成り立ちそうなくらい、物がたくさんある!
『チョコミントのことばっかり考えてたけど、無印って食べ物以外もいい感じなんだな』
「何か買っていく?」
『んー、うろうろしていいのがあったら買う』
インテリア、収納、お風呂グッズ、寝具。和泉と一緒にいろんなコーナーを見て回って、ボディケアコーナーで和泉がボディシートを手に取った。
「スースーするやつ、夏に向けて買っとこう」
『おっ、いいじゃん』
キッチン雑貨もすごく充実してて、いい感じの蒸籠があったので、ワシはそれを買うことにした。今まで蒸し物はフライパンと皿でやってたけど、本格的なのが欲しかったんだよな。
一度会計して、食品のフロアへ。お菓子コーナーすべてを見て回って、マカロンだのケーキだのラテだのチョコボールだの、チョコミント系のお菓子を総ざらいした。最後にチョコミントアイスのクールバージョンとチョコバージョンを手に取って、会計に。レジの先にイートインがあったから、そこでアイスを食べることにした。
クールバージョンはミント強くてさっぱり、チョコバージョンは濃厚チョコアイスにパリパリミントキャンディが入ってる。どっちもたまんない!
夢中になって食べていると、和泉が笑って「おいしい?」と聞いてきた。
『すっごくうまい! 来てよかった!』
「そりゃよかった」
和泉は一緒に買ったジンジャーエールを飲んでる。
「これもおいしい」
『一口くれ』
「口つけちゃったやつでいいの?」
和泉はそう言いつつもジンジャーエールのボトルを渡してくれたので、ワシは一口飲んだ。わ、辛口! 生姜と、これ唐辛子か? ゆずっぽい爽やかさもある。
『辛いな! お前好きそう』
「うん、これはかなり好き」
和泉は微笑んで頷いた。柑橘が好きなのは知ってたけど、和泉は辛口のジンジャーエールも好きなのか。覚えておこう。
それからカルディに行った。前も別のカルディに来たことあるけど、見慣れない食べ物でおいしそうな食べ物がぎっしり詰まってる。
『オレンジコーヒーってどこだ?』
「インスタントコーヒーだから、そのコーナーにあると思う」
和泉はすぐオレンジコーヒーを見つけ、ワシはいい感じのものがあったら買おうと店内を見て回った。
『あ、シチリアレモンのスカッシュあるぞ、これもお前好きなんじゃないか?』
「じゃ、それも買っちゃお」
ワシは、今日はチョコミントづくしの日にしようと思って、チョコミントブラウニーとチョコミントキャンディとチョコミントドリンクをかごに入れて、それから和泉と一緒に食べられるものも何か買おうと棚を探した。
『お前何か食べたいものあるか? おごるよ』
「いいの?」
『うん』
「じゃあ、そうだな……夏暑くなったら、冷たくてさっぱりしたもの食べたいから、なんかその辺で」
『そうか』
じゃあ、冷製の何か……夏って言ったら、やっぱ素麺か? いや、冷製パスタもいいな……。
いろいろ見て、レモンオリーブオイルつゆとカッペリーニに決めた。
『夏はこれで冷たい麺食おうな』
「ありがとう」
お昼にいい時間だったので、荷物を抱えてフードコートに向かう。フライドポテトを揚げる匂いがいい匂いすぎたので、マクドナルドを食べることにした。ワシはビッグマックに大盛りフライドポテト、和泉はエッグチーズバーガーにサイドサラダ。
ワシがビッグマックにかぶりついてたら、和泉が言った。
「ビッグマック、意外とすごいんだよね」
『そうなのか?』
「アメリカに、毎日ビックマック食べてるおじいさんがいてね。若いころから毎日だよ、それでも特に太らず元気なの」
『すごいな!?』
「その人、ファストフードを批判する映画に出させられたこともあるんだけどね、結局その映画の監督より長生きしてる」
『へえー! じゃいっぱい食べて元気もりもりになろっと』
ビックマックをもりもり食べて、それから大盛りフライドポテトにとりかかった。シェイクも飲みながらなんとなく周りを見て、休日のフードコートは家族連ればっかりなことに気づいた。ベビーカーを押して食事に来た夫婦、幼稚園くらいの子供に食べさせてる夫婦、赤ちゃんを抱えて上の子の面倒見てる夫婦……。みんな、子供を慈しむ目で見ていた。みんな、自分が食べられないのなんて全然気にしないで、先に子供にご飯を食べさせてた。
……和泉は、こういう光景に憧れないのかな? あんなにいい父ちゃんになれそうなのに、憧れないのかな?
ワシは、和泉をああいう家族の一員にしたいのにな……。




