番外編 金谷千歳と結婚
びわのコンポート作りで、たくさんのびわの皮を剥いてる。びわの皮を剥きながら、ずっと考えてる。子供のことがなかったら和泉と結婚したっていいのか、と緑さんに聞かれたことを。
それで、考えてみて、嫌な要素がなんにもないことにびっくりしてる。
和泉は、誰よりも優しくていい奴だ。一緒にいて、幸せだ。
和泉とずっと一緒にいたい。ずっと一緒にいて、一緒にご飯食べて、一緒にいろんな所行って、一緒に楽しんで、そういう事をたくさんしたい。和泉が優しくしてくれるのと同じくらい、ワシも和泉に優しくしたい。
……いや、でもワシじゃ和泉の子孫作ってやれないわけだし。
そんなこと考えながら作業を続けていると、和泉は仕事のリハビリが一息ついたらしくて、山盛りのびわを剥いてるワシを見て言った。
「剝くの手伝おうか?」
『あ、頼む』
「手洗ってくる」
和泉と2人で、しばらくびわを剥く。
「コンポート、俺も食べたいな」
『うちの分も作る作る。皮剥き終わったら、ヘタと種取るのも手伝ってくれないか?』
「うん」
皮を剥きながら、和泉を見る。和泉は、子供にこだわってなさそうだけど。
でも、そんなの若いうちだけだ。年取ったら、絶対に子供欲しかったって思うときが来る。その時に、和泉に、もしも恋人がワシじゃなかったらなあって思われたら、ワシ、死にたくなっちゃうと思う。
だから、なしなし! ずるずる恋人まで行っちゃったけど、期間限定だからな!
和泉が手伝ってくれたから、皮剥きもヘタ取りも種取りも早く終わった。あとは、びわを白ワインとレモン汁と砂糖で煮るだけ。
鍋に材料を入れて、火加減を見ながら煮ていると、和泉が来て、後ろから抱きしめてきた。
「千歳、大好き」
『なんだなんだ、いきなり』
「ごめん、気持ちがあふれちゃって……今なら手が空いてそうだったから、抱きしめてもいいかと思って……」
『まあ、いいけどさ』
こいつ、ワシのこと好き過ぎだろ。子供も産んでやれないってのに、ワシのこと好き過ぎだろ……。




