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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第24シーズン

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こんな夜とは思わない

 誕生日ディナーはおいしかった。ニンニクの効いた揚げたて唐揚げ、色とりどりの野菜のさっぱりマリネ、魚介のトマトソースパスタ。レモンチーズケーキもなんと、千歳の手作り。


「いやー、千歳の唐揚げやっぱり最高!」

『プレゼントもあるけど、後で渡すな』

「うん、ありがとう」


 お腹がたっぷり満足した後、ちょっと休憩してから入浴。先に入れと千歳に言われて、一番風呂をいただく。

 そういや、一昨日、千歳えらく露出の多い服でお風呂から出てきたんだよな……映画見てたら、やたらボディタッチもしてきたし。

 一体何だったんだ、あれは。あの姿でそういうことをするのは恥ずかしくて嫌って言うから、他意はないだろうし。昨日のお風呂上がりは普通のパジャマだったから、ますますもって分からない。

 俺がお風呂から出ると、千歳は『交代ー』とお風呂に入っていった。暇だし、スマホいじって旧twitterとMisskeyをちょっとチェックしてから、狭山さんのDiscordサーバーに行くか。

 しばらくしてから、千歳が『ただいまー』とお風呂から出てきた。え、また太ももと肩丸出しの格好なんだけど! め、目の毒だぞ……。いくら部屋着とは言え……。

 注意すべきかどうか。いや、でも、暑いからって言ってたし。いやでも、夜はまだそこまで暑くないだろという気もする……。

 千歳から目をそらすために、またスマホに目を落とす。千歳は普通に座卓の向かいにつき、タブレットで何か調べているようだ。そして、チラチラ時計に目をやっている。なんかの開始時間でも気にしてるのかな?

 21時過ぎ。千歳はタブレットを閉じ、俺に言った。


『ちょっと早いけどさ、もう寝ないか?』


 早いな。千歳もう眠いのかな? まあ俺もしっかり休むべき身体ではあるし、早寝も悪くないか。


「じゃあ、寝ようか」


 俺は寝室に向かい、千歳もリビングの明かりを消してついてくる。俺が自分の布団に入ると、千歳はいつもみたいにお化けの姿になって俺に巻き付くのではなく、なんと二十歳の姿のままの格好で布団に入って抱きついてきた。

 ふわふわの乳房が俺に密着する。むき出しの肩が俺に触れる。


「え!? 千歳、ちょっと、間違えてない!?」


 姿変えるの忘れるほど眠いの!?


『間違えてない』


 寝室の小さな明かりに照らされた千歳の目は、しっかりと俺を捉えていた。


「どういうこと!?」

『その……ワシと、朝霧の忌み子の姿で一発やらないか?』

「ええ!?」


 その姿で!? 千歳、嫌なんじゃなかったの!?

 千歳は俺にさらに抱きついて言った。


『尻しか使えないけど、準備してあるし。お前が尿道炎にならないように、コンドームも用意してあるし』

「な、なんでいきなり……」

『いきなりじゃない、いっぱい考えた』


 千歳の顔が近い。長いまつげ、柔らかそうな唇。千歳は、真剣な目で言った。


『ワシ、確かにお前にドキドキもムラムラもしないけど、お前のためなら何でもしてやりたいと思うんだ』

「えっ」

『お前となら、キスもエッチも嫌じゃないんだ』

「えっ、えっ」


 それ……それって!

 それくらい俺のことが好きってこと!? 恋愛でも性愛でもないけど、それでも性を許してくれるくらいには俺のこと好きってこと!?

 じゃ、じゃあ、俺は、千歳と結ばれることができるってこと!?

 ……俺の俺! 生きてるか!? 生き返ってくれ! こんな……こんなチャンス、絶対に逃せないぞ!

 しかし、俺の俺は沈黙を保っている。どうしよう、どうしよう!

 あわてているうちに、千歳の柔らかい手がするするっと下着の中に入り、俺の俺を握ってしまった。そして、千歳は不思議そうな顔をした。


『あれ? どうした? 緊張しすぎたか?』

「……千歳、千歳、ごめん……」


 俺は泣きたくなった。どうして! どうして! この世で一番好きな人が勇気を出してくれたのに、俺が機能しないせいで!

 俺は、半泣きで千歳に白状した。


「ごめん、ごめん、俺、役に立たなくなってるんだ……」

『は!? 役に立たなくなってる!?』

「多分がん治療の影響だと思うんだけど……ずっと体きつかったから……」

『お前そんなに体悪かったのか!?』

「他は良くなってきてるんだけど、これだけ……」

『そんな……』


 息を呑む千歳に、俺は絞り出すように言った。


「でも……でも、もし千歳がいいなら……キスしたり、裸で抱きしめあったり、触りあったり、そういうこと、したいよ……」


 千歳から体を離したくない。最後までできなくても、肌と肌で触れ合いたい。

 千歳は俺の台詞を聞き、一瞬目を見開いたが、それから微笑んで、俺の頬に頬ずりした。


『じゃあ、しよう。まず、キスからな』


 そして千歳は目を閉じて、唇を俺の顔に寄せた。俺は、恐る恐る自分の唇を千歳のそれにくっつけた。俺が唇を離すと、千歳は不思議そうにした。


『ん? 舌入れなくていいのか?』

「あっあっ、その、初めてで加減がわからなくて……」

『えっお前キスも初めてなのか!?』

「縁がなくて……」

『しょうがないな、教えてやるよ』


 千歳は俺に、深くて長いキスをした。それから俺たちはお互い服を脱いで、裸で抱きしめ合って、手と舌と口で触れ合った。

 俺は千歳を見て、きれいだって何度も言った。千歳は『へへへ、意外と悪くないだろ?』と微笑んで、俺の首筋にキスしてきた。俺は変な声が出てしまったので、千歳はさらに笑った。

 こんな幸せな夜があるなんて。千歳と、こんなに幸せな夜が過ごせるだなんて……。

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