第20話 安らぐ一時?
遅くなって申し訳ありません!
目の前には跪いて何か言ってる二人と、その対応に困っている二人…。
どうしてこうなったのか…。
「精霊様!これは神から私へのご褒美なのでしょうか?」
「あぁ!精霊様!!こんな近くで見る事が出来るだなんて!!!あ、アミア様も御無事で何よりです。」
《ど、どうなってるんですか?!ハル!説明を要求…って何で的確に胸を触ろうとしてくるのですか?!!触れないとはいえセクハラですよ!!!》
「絶対私の事なんて興味なかったじゃろ、リーファ殿。」
……………本当どうしてこうなったのかねぇ。
確か俺が目を覚ました時はまだ正常だったような………、
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
目が覚めた俺が最初に見たのは知らない…ではなく、一度見た天井だった。
俺は首を動かして辺りを見回した。
……見た感じ、ここは前に殺気向けられて気絶した時に世話になった部屋みたいだな。
花は少し変わっているが、花瓶もガラスの水差しもまだ変わらずそこにあった。
…………よく考えたら、ここを出てから俺が気絶するまでって1日で起きた事だったんだよな。
密度が高くて3日くらいの出来事に感じる。
…しかし白露はどこだ?見た感じアミアもいないし。
それに俺はどのくらいの時間眠っていたんだ?体は重いし、結構長い期間眠ってたのかな?
まぁ、赤壁使ったせいで色々ボロボロなんだけど。
そういえば足の方はどうなったのか、特に右足。あの時はもう使い物にならなくなってたけど。
右足が気になる俺はベッドから上半身を起こし、足に被さっている毛布を取って見てみた。
微妙…感覚的には少し麻痺が残ってる、見た目はまだ全体的に赤い、正直に言って回復したかと言われたら微妙と答えるしかないな。まぁ、あの状態からここまでになってるなら上々か。
続いて左足を見てみると、
白く細い奇麗な曲線美の足だが、未だに光る鎖が巻かれている。
白露やアミアがどうにか外そうとしたのか鎖に少し凹んだ跡がある。
…今更ながらまだ鎖が巻かれてるせいか左足がものすごく重い。
まだ、上げられるだけマシだが、後一本巻かれてたらやばかった。多分逃げ切れなかったかも。
……しっかし、この重さをなんでこんな細い足で持ち上げられるんだろ。今やってるのは俺だが不思議だ。
あー、なんか体が固いな。
ん〜〜!体のばしてみるとゴキゴキと音がする、少し痛たたたたたたたたたたっ!?
少し体をホグそうと両腕を上にあげてのばすと思ったより痛かった。
………ふぅ、なんとか収まったが今後はもうちょっとゆっくりやろう。
ゴトッ
そう俺がよくわからない決心をしていると下の方から音がした。
「ん?何か落としましたかね?」
俺がてっきり何かを落としたと思い体を横にずらし、左下を見てみると。
「………………お姉さん、今度お茶でも………うへへへへへへへ〜。」
なんか床に転がりながら涎たらして寝ているリンクの姿があった。
なんでこいつこんなところで寝てんの?という疑問が頭の中を回る。
…というか、なんとなくリンクの夢の内容が分かる気がする。
正確にはお姉さんをお茶に誘ったあと何がしたいかだが。
ま、このまま放置して羨ましい夢を見させる義理は…いや、風邪を引いてしまうかもしれないからな、しょうがない!
そうしてリンクを起こすため左腕を振りかぶるとある事に気付いた。
ベッドの下から靴のようなものが見える事に…。
「?……なんでしょうか?」
何で靴なんかが…リンクのかな?しかし見たとこリンクは履いてるし、まぁ見れば分かるか。
俺はリンクを起こす為に上げた左腕をそのまま床につけて、ベッドの下を覗いた。
するとそこには、
「……勇者ぁ、なんでよ…このロリ…コン……グスッ。」
人質として連れて来てしまった、ローブの人が丸まっていた。
……この人、勇者関連の人か。
出来れば関わりたくないが連れて来たのって俺だし、さすがに泣いてる人を放っとくのもなぁ。
というか夢でくらい上手くいっときなさいや…勇者がロリコンって事には同意したあげるから。
………………これってアミアと会わせたら駄目なパターンなのでは?
アミアには迷惑な話かもしれないが、一種の修羅場みたいになる事は勘弁して欲しい。
それにしてもこの人、もしかして勇者パーティーの一人じゃないだろうな。
勇者、剣士と来てまさか次は魔法使いとか?いや、僧侶辺りかも…。
……俺は別にそういう出会いは求めていないのだが。
むしろそれで白露がこの国に居る事がバレたら…俺の貞操が危ない!!
赤狐はいきなり襲ってくるような事はないだろうが日護さんタイプはもう来ないで欲しい。
まだ何日か他の追っ手がくるには時間があるが…また殺されかけるのは御免だ。
アミアの事を解決したらこの国からさっさと出よう。
よし、考えがまとまったところで目の前の問題をさっさと解決しなければ。
「……うへへへへ、そこは…………あはは。」
「……どうやった……惚れ薬?……いや、プロテイン…。」
未だに寝言を言い続ける二人。
うん、個人的にはリンクの方をぶん殴って起こしたいな。
リンクの今見ているものは夢をぶち壊したいな、正直。
君は今、かなり幸せな状況なのだろうね。顔がかなり緩んでるよ…。
ローブの人はなんて危険な事を口走っているんだ、というかなんで最終的にプロテイン?
この世界にあったことも驚きだけど、まだ惚れ薬の方が納得出来るぞ。
てか、どっちも碌な夢見てないな!?
リンク!聖職者のイメージが崩れるからその変態っぽい夢を見ないでくれ!!
ローブの人!怖いです惚れ薬は最後の手段、プロテインはNG、以上!!
……俺も疲れてんのかな、なんか頭が混乱して来た。
はぁ、さっさと起こそうか。
と言う訳で二人とも起こしました。
起こした方法はご想像にお任せします。
「いやー、うっかりうたた寝をしてしまいました。ここはどこでしょう?」
「あー、あたしもなんで寝ちゃったのか。体が痛いわ〜。で、ここどこ?」
起きてからいきなり質問攻めにされてる俺です。
さっきこの二人にツッコンだせいか何か疲れてるんですよ、俺。
まぁ、単純に答えますかね。
「ここはカイナ地区にある宿ですよ、貴方達は私の連れがここまで運んだようです。えぇ〜と、」
おぉっと、そういえばこのローブの人の名前を知らないな。
勝手に連れて来てしまったんだしまずは自己紹介をやっておかねば。
「私の名はハルと言います。ローブの人、名前を教えてもらってもよろしいですか?」
「あ、それなら私の名前はリンクです。」
なんかついでとばかりにリンクが手を挙げながら自分の名前を言った。
マナー的に俺の後にするのが良いんじゃないか?リンク君?
「ふーん、ハルにリンクね。私はリーファって名前よ、よろしくね。」
ふむふむ、話を聞いてくれる人種のようで安心したよ。
しかしさっきから気になる事があるんだよな。
「…ところでリーファさんは何故「ローブを被ったままなのですか?」
被せてくんなリンク!?
言いたかった事は一緒だが、やっぱりこういうのは被されたらムカつく!!
…まぁ、リンクには後で説教をするとしてリーファの話を聞きましょうかね。
「ん〜、いやあんまり目立ちたくないからかな。私って案外有名人だから。」
有名人という単語を聞いて俺の頬に一筋の汗が流れる。
やばいな、勇者パーティーの可能性がかなり高くなったぞ。
しかも勇者パーティーじゃなかったとしても有名人を誘拐したとなれば今、結構躍起になって探してたりして。
どっちにしてもかなり危ないな…こんなことならリンクだけ担いでさっさと逃げておくべきだった…!
そんな事を考えているとリーファが、
「まぁ、でもあんたにも言いたい事あるしこのままじゃ失礼かな。」
俺を指差しながらそんなことを言った。
なるほど、言いたい事と言うのは俺が勝手に連れて来てしまった事への文句だな。
そのくらいは甘んじて受けよう。やれと言われたらたこ踊りでもしてやる……裸踊りは白露の尊厳のためご遠慮してもらいたいが。
とりあえず誠心誠意謝る覚悟はある。
ついでに出るとこでないように交渉もせねば。
そうしてリーファはローブに手をかけて外そうと、
ガチャッ
「ただ今戻りましたじゃ。ハルさん、起きてますかの?」
《帰りましたよ〜、ハル、そろそろ起きましたか?》
と、そんなところでアミアと白露が帰って来た。
同時にパサッとリーファの頭に被さっていたフードが肩の辺りに落ちた。
「あ、アミア!?」
なんか驚いてるリーファ。アミアと知り合いのようだ。
「む、リーファ殿も起きられましたか。お久しぶりですな。」
リーファとは対照的に冷静に返すアミア。あー、寝てる間に顔見たのね。
しかしリーファの素顔を今初めてみたけど、なるほど魔族だった訳ね。
この国って人間と魔族が共存する国だったな、隠してたのは別の理由からだろうけど。
耳が魚のヒレみたいだから、人魚とかかな?
ん?なんかリーファがアミアの顔を見て笑顔を浮かべたな。ぎこちないけど。
「えぇ、お久しぶ「精霊様ですか!!!」
リーファの言葉に被せて、リンクは白露の方へ突撃した。
そういえば精霊ってこの国では神聖化されてるんだった。
ってだから被せんなって言ってんだろうがリンク!!!!
せっかくアミアとリーファが話してる所を邪魔してんじゃないよ!!!!!
ほら、リーファだってかなり怒って…、
「本当だ!精霊様って見てみたかったのよね!!感激だわ!!!」
君もかよ!!??
もうアミアの事などどうでも良いとばかりに白露の方に目を輝かせるリーファ。
最初から目を輝かせているリンク。
と、こんな感じになって冒頭に戻る。
この騒ぎは俺が止めるまで20分続いた。
やれやれ。
リーファ登場です!




