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・【バトルステージ7】第三次海戦 - カラス、帝国艦隊を爆撃する -

 帝国海軍、およびファフネシア正規軍による反乱軍鎮圧作戦が始まった。といってもファフネシア正規軍は陸軍。港に駐屯し、海上封鎖をするに止まった。


 昼前、帝国艦隊による包囲が完成すると、両軍の間で戦端が開かれた。今回の指揮官は失策をやらかしたバルドゥ将軍ではなく、経験豊富な海軍准将が受け持った。


 帝国海軍はライトニングボルトによる放火を警戒し、大型ガレーによる射撃と投石に徹した。

 兵力は前回のさらに倍。全方位を埋め尽くす大船団が海底要塞を包囲していた。


 長い牽制が続いたが、海底要塞レムリスは投石攻撃をもっても破壊不能。そう敵将が判断すると、白兵戦闘員による揚陸、突撃が始まった。


 全包囲からの物量任せの飽和攻撃だった。


「来てくれたのですね、ジーク!」


「ああ、ずっとそこで様子を見ていた。そろそろ出番かなと思い、姿を現した次第だ」


「よく言うよ、カオスを斬ったくせに……ぶーぶーっ」


 頃合いを見て姿を現すと、直ちに援護に入った。敵の飽和攻撃が成功し、要塞上層に敵が到達していた。


「【シャドウボルト】」


 まずは軽く200本、闇の槍の嵐を降らせた。照準は合わせず、手当たり次第に撃った。


 すると『ギャ』とか『ギェ』とか『グワ』とか帝国兵が悲鳴を上げ、仲間ごと海へと落ちていった。


「うひゃーっ、ジークつよーいっっ!!」


「わ、私の立場、ちょっとないです……っ」


 しかしそれでも帝国の総攻撃は途絶えない。彼らはまるでゾンビのように這い上がっては海に落ちていった。


「あの白い鳥を撃てっ、なんとしても撃ち落とせっ!!」


 賢明な判断ではあるがそうはいかない。白いカラスは戦闘機のように縦横無尽に天を翔け、機銃のようにシャドウボルトを連射した。


 目障りな大型ガレーの頭上でストーンバレットを発動し、爆弾のようにそれを自由落下させた。船底に大穴があけば、遅かれ遠かれ船は沈没する。


「ヒィィィッッ、なんだあの鳥はぁぁっっ?!!」


「神かっ、神の使いなのか!? は、速すぎるっっ!!」


「当たったよなっ、今!? 当たったはずなのに、なぜぇ!?」


 竜脈より得た生命力により、生命力が尽きぬ限りその白いカラスは不死身だった。敵の弓、弩をものともせず、大型ガレーへの爆撃と、敵白兵戦闘員への機銃照射を続けた。


「押し返せっ、この戦にさえ勝てば帝国海軍は再起不能! 独立は目と鼻の先ぞ!!」


 老将ロンバルトは気持ちのいい友人だ。強く、やさしく、それでいて豪快だ。指揮に長じているのも大きかった。


「お下がり下さいバロン様っ、現場主義が過ぎます!」


 ルディウスは元々文官、過度の期待は禁物。しかし彼のような人がいなければ組織は回らない。


「あ、あたし……っ、知らない間に、こんな、こんなに……ああっ?!」


「ナーイスッサリサッ!! 最近男子たちが、サリサのことカッコイイって騒いでるよーっ!」


「え、ええええっっ?!」


 サリサは成長率に秀でているのか、今や優秀なアーチャーに成長していた。生存ルートを作った俺自身も驚いている。


 バロンとプリムについては語るまでもないだろう。どちらも卑怯なほどに強い。彼らを抜ける敵兵などいない。


 そんな激戦の戦場で、次々と美味しいところをかっさらって申し訳ないが、敵は無尽蔵の魔力を持つ白いカラスに恐怖した。


「ば、罰が当たったんだ! あれは神様の使いだっ、やりたい放題やってる帝国に神様がお怒りなんだ!」


「バ、バカを言うなっ!」


「ならなんなんですか、隊長っ! 当てたっ、確かに矢を当てたっ! でも死なないってどういうことなんですよぉ!?」


「クッ……あんな、あんな鳥獣一匹に……」


 白兵戦の発生より約45分。双方は決死の攻防を繰り広げるも、やっと終わりが見えてきた。

 多くの船が爆撃を受け、ポーンのライトニングボルトによる炎上で視界が黒煙にふさがれると、どうあがいても海底要塞の攻略は不可能と、諦めの感情が漂った。


「お、おいっ、船が……っ、船が逃げてく!! 俺たちを置き去りにする気かよぉっ!?」


 残存の帝国海軍は白兵戦闘員を見捨て、静かな撤退を始めた。そうなればこんな負け戦に付き合う者などいない。

 白兵戦闘員は我先とまだ動く小型ガレーに飛び乗り、自分たちで(かい)をこいで逃げていった。


「逃がすものかっ!! 海底要塞レムリス、発進っっ!!」


 バロンが叫ぶと、鈍足の海底要塞が動き出し、敵艦隊の追撃を始めた。ポーンタイプが前に出て、ライトニングボルトの嵐で逃げる敵船を焼き払った。


 無論、カラスも攻撃の手を緩めなかったが、海底要塞は鈍足過ぎる。このままでは距離を離されてしまう。


 ところが、だ。バロンは既に手を回していた。撤退する帝国艦隊の退路に、青い旗を吊す船団が現れた。

 その船団は矢を放ち、船首に装着されたラムを槍にして、帝国艦隊に突撃を仕掛けた。


 その艦隊はプリメシア姫の父、ラーズ王国のオルカ王の艦隊だ。バロンはこの海戦にもし勝利したら、逃げる帝国軍を追撃してほしいと、オルカ王に話を通していた。


「ガハハハッ、やるじゃねぇかロジェのせがれっ!! オラオラオラオラッ、投降しねぇやつは全て叩っ斬んぜっ!!」


 王自ら敵船に乗り込み、暴れ回る。この父親あってプリメシア姫あり。帝国海軍は挟撃を受け、その多くが投降した。


「降参する……お前たちの勢いは、どうやら本物のようだ……。お前たちなら倒せるかもしれない……堕ちた我が祖国を……」


 総大将である准将が投降を選んだのも大きかった。かくして海戦は反乱軍の圧倒的勝利をもって終結した。


 しかしバロンの策はここでおしまいではない。バロンは独立のために、既に次の作戦の準備を済ませていた。

 イゾルテもそれを知っていたからこそ兵を動かした。遠い北の貿易港タイスにファフネシア正規兵を集め、愛する義弟のために奇襲のチャンスを作った。


「最高だったよ、ジーク。君のおかげで千人単位の命が助かることになったと思う」


「トモダチよ、君の力になれたのならばこれほど嬉しいことはない」


「僕たちはすぐに次の作戦に移る。元気なら力を貸してくれないかな、ジーク?」


「もちろん付き合おう。君ならばこの国を必ず救える。バロン、君は皆の希望だ」


 次の標的は陸上。この国の東端。ハイドロハデイダ大橋と呼ばれる本土と半島を繋ぐたった一つの連絡路だった。


「skill_tree(chaos)」


 この戦いでの獲得スキルポイントは2。

 だが戦いを終えてしまえばひどくむなしい。喜び合うはずの存在は通信を閉じていて、呼びかけに応じてはくれなかった。


 イゾルテの説得に失敗したことによりチャートは既に破綻している。それでも可能性を求めて、カラスはスキルツリーを進めた。


 採用したのは【変化魔法:実践】。これは変化魔法全体を強化する。変化の継続時間にも強く影響するので、きっとムダではない。


 それからもう1つは【闇魔法:闇嵐】だ。【闇魔法:初歩】から派生するスキルで、範囲魔法【ブラックストーム】を修得する。


 白いカラスはバロンたち反乱軍の仲間として、立て続けに次のバトルステージへと踏み出した。


――――――――――――――――――――

status_window(chaos)


【LV】   26

【HP】  928

 【現HP】 84020/928

【MP】  556

 【現MP】  2666/556

【ATK】 290

【MAG】 555

【DEF】 385

【HIT】 580

【SPD】1208

【LUK】1119


【獲得スキル】

 錬金系

 【錬金術:初歩】【合成術:初歩】

 【錬金術:発展】

 変化系

 【変化魔法:初歩】【変化魔法:発展】

 【変化魔法:実践】new!

 【補助魔法:初歩】

 【強化魔法:守】【強化魔法:時】

 【変化魔法:小動物】【変化魔法:小動物Ⅱ】

 【変化魔法:鉄化】【変化魔法:魔装具】

 【変化魔法:大型動物Ⅰ】【変化魔法:大型動物Ⅱ】

 【変化魔法:人型】


 吸収系

 【吸収魔法:初歩】【吸収魔法:発展】

 【吸収魔法:生命】

 共有系

 【共有魔法:初歩】【共有魔法:MP】

 大地系

 【大地魔法:初歩】

 闇系

 【闇魔法:初歩】

 【闇魔法:闇嵐】new!

 感知系

 【感知魔法:初歩】【感知魔法:応用】

 ???系

 【深淵化:影人】


close_window()

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