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神が終わりを告げた世界で  作者: てんま
第1章 変わる世界
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父登場

風呂を終え、居間に戻ると、俺以外の4人で、談笑している声が聞こえた。

俺は居間の外から、会話の内容に、耳を傾ける。


「うちの子はホント、要領がが悪いのよ。2人も大変だったでしょ、一緒に行動していて」


母さんが、そんなことを言っている。


「いや。俺達は、新のおかげで、ここまで来れたので。助けられてばかりでしたよ」


誠が俺を、フォローしてくれている。


「ほんと?少し、頭の回転は速いけど、体ができてないから。まともに、戦えていなかったでしょ?」


お母様よ、本当に俺のことを、よく理解してらっしゃいますね。


「私も、安全な所からですが。新君が、奴らを倒していたのを、何度か見ましたよ」


青山先生も、フォローしてくれてはいるが。安全な所からって、教師としてどうなんだ?


「多少は、戦えてみたいね。でも、鍛え直さなくっちゃ、今後は厳しいわよ」


ああ、俺の明日からの生活を考えると、恐怖が、、、。

そんなことを、考えていると、誠が話しだす。


「なら、俺も鍛えてもらえませんか?」


誠よ。それは、自殺志願するようなもんだぞ。


「んー、そうねー。誠君は、格闘技の経験とか、あるのかしら?」


「いえ、ありません」


母さんは、しばらく考え込む。


「明日の稽古で、ついてこれたら、鍛えてあげます」


ああ、明日の死者が2人、確定した。

俺は、その会話を聞き終え、居間へと入っていった。

暫くは、他愛もない会話をしていたが、突然母さんが、思い出したのかの様に、テレビの電源をつける。


「そうだったわ。パパがこの後、テレビに出るんですって。さっき、電話で教えてくれたのよ」


テレビはどの局も、ニュース番組で、悲惨な報道をしている。

あまり見ていたくはないが。母さんは、父さんの姿を見たいようなので、仕方なく付き合うことにした。


「ええ。ここで、防衛大臣の会見が、始まるようなので。その状況を、放送いたします」


ニュースキャスターが、そう伝えると。画面が切り替わり、会見場が映し出される。

壇上には、防衛大臣が立っており。現在、日本各地で起きている、現象について、説明を始めた。


「えー。現在、日本各地で、悲惨な暴動が起こっております。原因につきましては、現在調査中で、まだ判明しておりません。我々、日本政府は、各地に自衛隊を派遣し、警察組織と連携しつつ。インフラの安全確保や、救助活動を行っております」


正直いって、予想通りの内容だった。何か新しい情報はなく、淡々と会見は続いていく。


「ここから、自衛隊総指揮官である。統合幕僚長の神田陸将が、説明いたします」


防衛大臣が、そう告げると。1人の大柄な男が、壇上に上がって来た。

この人が、父さんなんだけどな、、、。

最初に電話した時、会社って言ってたけど。防衛省で、立て籠っているって、伝えたかったんだろうな。

壇上に上がった父さんは、話し始める。


「現在各地で起きている、人が凶暴化する現象について。私は、死者が生者を襲っていると、考えております。しかし、それを証明する方法が、ありません」


父さんは、悲痛な顔をしながら、話し続ける。


「そのせいで、現場で懸命に行動している、隊員や警察官は。狂暴化している者から、民間人を守りながら、逃げるしかありません。そんな隊員たちに、私は命令で、死にに行けと言っているのです。彼ら彼女らも、大切な、日本国民でもあるのに。そんなくだらない命令で、死ぬぐらいなら。戦って、生き残ってほしい。これは、私の独断行動です」


父さんは懐から、無線機のようなものを、取り出す。


「全隊員、警察官に伝えろ!現時刻を持って、私が許可する。すべての、持ちうる装備、手段を使って、民間人を守れ!そして、生きてまた会おう!これは統合幕僚長、陸将神田源一の、命令である!」


隣で聞いていた、防衛大臣の顔が青くなっていく。慌てて周りの人間を使い、父さんを壇上から、引き下ろそうとしている。防衛大臣は、壇上に登り、マイクの前に立ち、釈明し始める。


「ええっとですね。日本政府は、狂暴化した者たちを、まだ治療可能だと、考えております。先ほど、神田陸将がおっしゃった内容は、病人に対し、武力での制圧を、許可するという内容でしたが。日本政府は、許可しておりません」


やはり、日本政府は保身の為に、何も判断できない、バカの集まりのようだ。

あれが病人?首を噛み切れた者や、腸を垂れ流して、歩いている奴らが、病人なわけがない。

父さんが言ったことは正しい、あの悲惨な状況を、目の当たりした人間なら、誰だってそう思うだろう。


「ですので、国民の皆様はなるべく、外出を控え。危険な場所にいる場合、すぐに避難してください」


防衛大臣がそう言ったタイミングで、画面はニュースキャスターが居る、スタジオへと移り変わった。


「あらら。パパ、かっこよかったわね」


母さんは、満足そうな顔をして、立ち上がる。


「お茶、入れなおしてくるわね」


そう言って、台所へと消えていった。


「なぁ。あれが、お前の親父さんなのか?」


信じられないものを、見たような顔で。誠が俺に、問いかけてくる。


「、、、はい、そうです」


「なんだか、色々納得いったわ。こんなデカい家に住んでいて、お前の母親も、普通の人じゃないし」


青山先生も隣で、うんうんと頷いていた。

隠していたわけではないが。両親のことはあまり、周りの人に知られたくない、内容だからな。


「お前の親父さんの言ったことは、間違いなく正しいよ。そんで、日本政府はバカだよな。現状、戦わなければ、奴らが増えていくだけなのに。家に居ろだの、逃げろだの、完全に悪手だよ」


「そうだな、ありがとう」


そんな会話をしていると、母さんが新しいお茶を持って、戻ってくる。


「お待たせー、新しいお茶よ」


アンパンでも、焼いてきたようなセリフを、言いながら。全員のコップに、お茶を注いでいく。

暫く、ニュース番組を見ていると、新しい情報が入ったのか。ニュースキャスターに。新しい原稿が、渡される。


「ええ。ここで、国連連からの、発表が中継されるようなので、そちらをご覧ください」


ニュースキャスターが、そう伝えると、国連の会議場が、映し出される。

会議場の中央にある、壇上には、1人の男性が立っており。テレビカメラに向け、何かを話し始める。


「世界各国で、同時多発的に起こっております、バイオテロについて、発表いたします。感染者は、人々を襲い、襲われた人が、噛まれたりすることにより、その人間も、感染いたします。我々が、確認した状況を、説明いたしますと、感染した者は、100%の確率で死亡し。その後、心肺停止の状態で、起き上がり、人々を襲います」


壇上に立つ男は、淡々と、そう説明していく。


「国連は奴らを、『デットウォーカー』と呼称しました。デットウォーカーは、死者です。生物学的には、完全に死んでおります。ですので、各国の軍事力を持って、デットウォーカー達の殲滅を、国連は各国に、要請いたします」


男が、そう言い終えると。会議場に居た、全員が立ち上がり、拍手をした。

そのタイミングだった。壇上に1人の人間が、突然現れたのだ。

そう。どこからか、歩いてくるわけでもなく、瞬間移動でもしたように。突然、姿を現したのだ。


その人間は、壇上に居た男性を、そっと押しのけると。マイクの前に立ち、微笑んだ。


「私は、この星。そして、この銀河系を、管理している神だ」


、、、神だと?

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