帰宅と母強し
学校を脱出した俺達は、しばらく道なりに、車を走らせていた。途中、乗り捨てられた車や、奴らがい居たが、青山先生のドライブテクで、難無くと交わしていく。
「この後は、どこに行けばいいだ?」
青山先生が、そう尋ねてくる。
青山先生、口調もちょっと、変わってるな、、、。
「俺は少し先にある、小学校へ、、、」
そう言おうとしたとき、俺のポケットにある、スマホのバイブレーションが、起動した。
スマホを取り出し、確認すると、母親からのメッセージを、受信していた。
内容を確認すると。
「娘は私が預かった!貴様はさっさと、家に帰宅しろ!」
俺がスマホの画面を、見ていると。横から誠が、のぞき込んでくる。
「なんだ、そのメッセージ。魔王からか?」
「ある意味、魔王からの方が、俺はうれしいよ、、、」
冗談を言ったつもりの誠は、遠い目をしている、俺を見て。?マークを浮かべていた。
「それで。どこへ、向かえばいいんだ」
口調のおかしい、青山先生が、再度訪ねてくる。
「俺は家に帰りたいと、思っています。妹も無事、母が救出した、みたいなので」
俺は、自分の行きたい場所を、青山先生に伝える。
俺以外の人は、どうしたいのだろうか?
「私も、家に帰りたいです。両親も、家にいるそうなので」
佐城も、家に帰りたいと、そう言う。
佐城の家って、どのへんなんだろうか?
「俺は新と、、、」
誠はそう言いかけ、途中でやめ、俺の方を見てくる。
「別に、うちに来てもいいぞ。覚悟があるなら」
俺がそう伝えると、新は嬉しそうな顔をしたが、覚悟って言葉に再度。?マークを浮かべていた。
俺は最後に、青山先生に。行き先を聞く。
「俺は独身で、こんな歳だ。両親も死んじまってる。こいつと一緒なら、どこでもいいぜ」
変な口調のまま、ハンドルを撫で、そう話す。要するに、行く当てがないってことか。
てか、青山先生。独身なのに、ファミリーカーなの、、、。
「佐城の家は、どのへんだ?」
俺が佐城に、そう質問すると、ムスッとした顔になり、こう答えた。
「貴方には、教えたくない」
おい。なんだその子供みたいな、返答は。状況を考えろ。
俺は諦めず、再度同じことを聞く。
「家は、どのへんだ?」
「あんた、耳聞こえないの?教えたくないって、言ってるの!」
よし。この女は、ここで置いていこう。
そんなことを、本気で考え始めていると、佐城が話し出す。
「青山先生。こいつの家に、向かってください」
俺のことを、指差しながら、青山先生にそう伝える。
俺を降ろしてから、自分の家に、行こうってか。どんだけ、知られたくないんだよ。
「任せろ!神田、案内を頼むぜ」
俺は助手席に移動し、自分の家までの、道のりを指示していく。
俺の家までは、そこまで距離はなく、10分を程で、たどり着いた。
「青山先生。そこの十字路を右で、その先がうちです」
最後の指示を出し。のんびりと、見知った風景を眺めていると、車がスピードを落としていく。
「どれが、神田の家だ?」
青山先生が、俺の方の窓を見ながら、訪ねてくる。
「えっと、、、。これです」
俺は少し気まずそうに、青山先生が見ている、反対を指差す。
先ほどの十字路を、曲がったところから、ずっと続く長い塀、そちらを指差す俺。
俺の家は、この塀の中にあるのだ。
「壁が、神田の家なのか?」
「違いますよ。この塀の中に、俺の家があるんです」
俺の言葉に、青山先生と誠が、ポカンっと口を、開けていた。
「もう少し先に、入り口がるので。そこまで、進んで下さい」
青山先生は、口を開けたまま、車は進ませていく。俺の言う通り進むと、門が見てくる。
車をそこで止めてもらい。俺は念のため、周囲を確認してから、車を降りる。
門の横には、小さな扉と、インターホンがあり。俺は、インターホンを鳴らす。
「新です。今帰りました、、、」
俺がそう言うと、門が開く。開いた門の先には、金属バットを地面に突き刺し、腕を組んだ女性が、立っていた。
「遅い!!」
女性は大声で叫ぶと、俺の方へ金属バット片手に、近づいてくる。俺は数歩後退り、言い訳を始める。
「か、母さん。こんな状況だし、すぐに帰るのは、大変だったんだ。学校も、奴らが沢山いたし」
そんな言い訳を、聞く気もないのか、母さんはどんどん、近づいてくる。
目の前まで近づかれると、俺は、バットで殴られる覚悟を決め、目を閉じた。
ゴツっ!
何かが、バットで殴れる、鈍い音が耳に入った。
俺が殴られてないのか?
恐る恐る、目を開ける。俺の気づかぬうちに、近づいていた奴の、頭がつぶれた死体があった。
「情けないわね。引きこもって、ゲームばかりしてるから。こんな雑魚に、苦戦するのよ」
雑魚、、、。俺は、今日の学校での、逃走劇を思い出す。
「鍛え直しが必要ね」
その言葉を聞いた刹那、俺の意識は飛んだ。
『誠視点』
女性によって、奴が瞬殺されたあと。新は、バットで顎を殴られて倒れた。女性は、新を片手で肩に担ぐと、こちらに近寄って来た。窓を軽くノックされ、青山先生は窓を開ける。
「すいませんね。うちのバカ息子を、送っていただいて」
「い、いえ。きょ、教師として、当然のことです」
青山先生は、いつの間にか、元に戻っており。青い顔をしながら、会話をしている。
この女性は、新の母親なのか。いや待て、息子をバットで殴っていたし、殴られた新は、生きてんのか?
新の母親は、俺達の方に視線を移し、微笑みかけてくる。
見た目は、20代前半のように若く、髪はショートで、肩あたりで揃えられていた。
さっきの光景を、見ていなければ、惚れてしまうほど、整った顔をしている。
「あら、雪音ちゃんじゃない。無事だったのね、よかったわ」
「は、はい。お久しぶりです」
佐城は、顔をひきつらせた状態で、返事を返す。
2人は顔見知りなのか?新とは、初対面のように、みえたけど。
「ご両親も、心配してらっしゃったわよ。早く無事を、知らせてあげなさい」
「そうですね。では、私はこれで」
佐城はドアを開け、門の反対にある家に、駆けこんでいった。
お向かいさんなのかよ!!佐城は、自分だけ新の家を知ってるから、何も知らない新に、家を知られたくないわけだ。
新も今までよく、気づかなかったな、、、。
新の母親の視線が、俺に向く。
「あなたは?」
「長谷部誠です。新と一緒に、学校から脱出してきた、友達です」
「そうなのね。この子、友達の話なんてしないから。学校に、友達が居ないのだと、思ってたわ」
新の母親は、そう言うと、少し嬉しそうに、微笑んだ。
「長谷部君、家はどちかしら?」
俺はそう聞かれ。自分の生い立ちと、新の家に、お邪魔する予定だったことを、説明した。
「そうなのね、もう大丈夫よ!ちょうど、もう1人息子が欲しいと、思ってたの!いつまでも、家に居ていいからね!長谷部君、違うわね誠君!」
そう言われると、なぜだか、背中に悪寒が走った。
「先生は、どこか行く当ては?」
新の母親は、次に、先生にそう問いかける。
「わ、私も、特に行く当が、ありません、、、」
「なら、うちのドライバーとして、歓迎しますわ」
こうして俺達は、神田家に、迎え入れらることとなった。