表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

悪逆皇帝でも愛したい

 三日後、伯爵の行方は分からなくなった。

 どこで何をしているのか。


 でも、もうでもいい。

 興味もなかった。


 だから気にしないことにした。


 だって、わたしは陛下に愛されて幸せだから。



「ここにいたのかい、クレメンタイン」

「陛下……」



 わたしはお城の二階にあるバルコニーで街並みを眺めていた。

 もしかしたら、伯爵が見つかるのではないかと。



「……伯爵はもう消えた。気に病むことはない。君は自分の幸せだけを考えればいい」

「そうですね。そろそろ気持ちを切り替えていきたいと思います」

「ああ、この城にはずっと居ていいのだから」


「本当ですか。住んでいいのですか?」

「もちろんだ。君ほどの才色兼備はそうはいない」



 なんて嬉しい。

 もうお別れかと思っていたけれど、陛下は止めてくれた。お城に住んで欲しいとさえ言ってくれた。


 この三日間、食事も睡眠も同じ時間を過ごしている。


 こんなにも、わたしを愛してくれている。


 ……平民の言う悪逆皇帝とは真逆。


 陛下には優しさと相手を思いやる心がある。



 それを知っているのは、わたしだけでいい。



 誰にも彼を取られたくないから。



 ――だから。



「陛下、わたし……」

「こんな僕を好きになってくれるのかい? 僕は悪逆皇帝だよ」


「わたしは知っているから……陛下が優しいって」


「僕と付き合えば友達や家族すら失うかもしれない」

「構いません。その覚悟がわたしにはあります。陛下を支えたい……」



 その思いを強く伝えると、陛下は嬉しそうに微笑んだ。



「クレメンタイン、僕と一緒にしてくれるかい」

「はい、ずっと……」



 わたしと陛下は幸せになった。

 わたしは悪逆皇帝でも愛したい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ