第9話 悪ふざけ
更新遅れて申し訳ございませんでした
と、いうわけで、速攻で洗い物を終わらせました。
それはもう黙々とやった、いや姫衣さんが怖かったんじゃなくってやっぱり、ご飯をごちそうになったからで、うん怖いわけじゃなっかたんだよ? 本当マジでマジで、肩が震えてるよって? アレかな食器の拭きすぎかな?
そう心に言う中、姫衣から声がかかった。
「ではヒロさん治療を始めたいと思いますのでこっち来てもらっていいですか? はい、そこの椅子に座ってください」
「ひゃ、はい」
若干返事が裏返ったが姫衣に言われた通りにヒロが椅子に座ると、姫衣は向かい合うようにヒロの正面の椅子に腰を下ろした。
それから、
「といっても治療といいましたがやることはそんな難しいことではないんですね、ですのでそんなに緊張しなくてもいいんですよ? 一旦深呼吸しましょうか」
はい吸ってー吐いて―と姫衣は安心させるように笑顔で促した。
ポヨンポヨンっと擬音をつけながら。
別に緊張してるわけじゃ…チラッ、なくてこわばってるのは別の…チラッ、理由というかさっきの姫衣さんの…チラッ
「ああ~男子だね~」
「ふふんっこのスケベめ」
「……ヒロ?」
2人分のニヤニヤした視線を背に受けたが気にしないことにした
段々と雰囲気がわかってきた気がする。
「二人とも…何してるんですか?」
「ちょっと治療を見てようかと思ってな」
「精神的には満タンそうですけどね」
「何を言ってるんですか……それでは気を取り直して始めますね、方法としてはヒロさんの体内に直接魔力を流し込んで強制的に目覚めさせようと思うんですけど……あっ別に痛いものではないのでそんな怯えないでください。 むしろ気持ちいいらしいので」
そういうと姫衣は先ほどと同じようにヒロの手を取った。
しかしさっきと違いこんどは両手でその手を包み込む。
「落ち着いて、ゆっくりと息を吸ってくださいね」
指示に従いさっきと同じように深呼吸を始めた。
すると包み込まれた手から何か温かいものが流れ込んでくるのが感覚的にわかった。
言葉で形容できないだが決して不快なものではなく、むしろ少し心が落ち着くような感じだ。
姫衣が言っていたような気持ちよさに身を預けること数分。
「どうですか? 今のところ何か変化ありました?」
「……姫衣さん」
「なんです?」
「ぎぼぢばるいです」
「は、はい?」
さっきまでは気持ちよかったのだが急に車酔いにあったように吐き気が襲ってきた。
「え、え、ちょっと待ってください!? だれかゴミ箱取ってきてください!」
「いやそれよりも魔力止めるのが先じゃないのか?」
「そうでしたね、ヒロさん一旦止めますよ?」
「……うぷっ」
「もうダメそうだね」
「ああ、崩壊寸前だ……アーメン」
「なにに祈ってるんですか! 早くゴミ箱を!」
「姫衣、これ」
「アリシアありがとうございます、はいヒロさん!!」
必死の形相で差し出されたゴミ箱、それに向けてキラキラキラキラーと勝手に効果音をつけながらせっかくのご飯を無駄にしてしまった。
♢
「すいませんでした」
「そんな、こちらこそすみませんでした」
謝りながらも出したものを片して椅子に座った。
さすがに自分のブツに関しては他人に処理させるのは申し訳ないしなんというかその、恥ずかしいので自分で処理した。
「もう気分は大丈夫ですか?」
「うーん、まだちょっと気持ち悪い感覚が残ってるような……」
椅子に戻ると姫衣が申し訳なさそうに声をかけてきたが、心配させないように返事をしたのだが。
少し、というか結構余韻が残っている感じが。
そんなヒロの様子に、
「その、たぶんなんですけど、気持ち悪くなったは原因なんですけど、魔力酔いだと思うんです」
っと説明した。
「魔力酔い?」
「はい、空気中に魔力が多くある所に行くとよく起こる現象なんですが、今回はヒロさん自身が魔力に慣れていなくて、急に体内に流し込んだことが原因だと思います」
姫衣がキッチンで用意してくれた濡れたタオルを額に乗せながら続きを聴く。
「そういえばヒロヒロは魔力のない世界から来たんだっけ?」
「ああ、アリシアがそんなこと言ってたな」
「はい、ですので急に体内に魔力を流し込まれたせいでいわば体が拒絶反応に近いものを起こしたんでしょう」
拒絶反応ね、なんだろう二十歳になった大学生がビール一気飲みして急性アルコール中毒になったものと同じように聞こえてる。
考えながら少しぬるくなったタオルをそばにある桶でもう一度水を含ませて絞ってから額に乗せる。
ああー気持ちいい……なんか風呂上がりのオッサン見たいだ。
「これ以上はさすがに無理そうですので今日の治療はいったんここまでにしましょう」
「ん? 結局ヒロの体質はどうなったんだ?」
「十分ではないですけど少しは治ったと思います、けど……んー最後に確認だけしときましょうか、えーとヒロさん測るだけで魔力は流しませんからもう一度右手を借りてもよろしいですか?」
「あ、はい、大分気分も落ち着いて大丈夫なんで、どうぞ」
♢
姫衣がさっきと同じようにヒロの右手を取る。
大丈夫とは言っていますがまだ少し顔色が悪いですね、っとタオルから覗くヒロの顔を見ながらそう思った。
私としたことが体内の魔力がゼロに近いとわかった時点である程度は予想できたはずなのに、そうじゃなくてもアリシアからも彼が異世界から来たってことは事前に聞いていたのだ。
本当に申し訳ないことをしてしまった。
再度そう自分を責めながら姫衣はヒロの手に魔法陣を発動させた自分の手を重ねる。
「そういえばベゼルとバゼットはどうした?」
「あー食器片し終わると、確かベゼルは換金所、バゼットはサーシャン連れて城壁の補修行ったはずだよ」
「ベゼルはわかるがバゼットが補修? 何してんだあいつは」
「なんか報酬のいい依頼なんだってー」
背後でそんな二人ののんきな声を聴きながら姫衣はヒロの魔力を測る前に少しだけ体の調子を調べた。
やはり……魔力酔いで間違いなそうですね、それに少しだけまだ残ってるようですし、大丈夫とは言ってましたがやっぱりさっきのは強がりでしたか。
青くする顔チラッと見ながらそう思った。
そして同時に改めて実感もした。
……本当に異世界人なんですね今まで魔力を使った形跡がないなんて、魔力のない世界、一体どんな世界なんでしょうか。
魔力的な意味で綺麗な体をしてるヒロに感心しながら次に予定通り魔力の測定にうつる。
いけない、少し横道にそれ過ぎましたね、それでは測定しましょうか、さて少しは回復しているいいのですが………………え?
だがそこで姫衣は心の中でポカンとしてしまった、なぜなら。
な、なんですでに4割も魔力を回復しているのですか?
さっき測ったときは確かにほぼゼロに近い状態だったはず。
測り間違い? と思ったがすぐに否定する。
自分で言うのなんだが魔力の扱いに関しては相当の腕を自負しているからだ。
普通この世界の平均としては一晩寝ても一部を除けばだいたい5~8割位しか回復しないものだ、なのでアイテムなどが重宝されるのだがこれは一体どういうことなのだろうか。
姫衣は感じた、この回復力はおかしいと。
長年冒険者を務めていたがここまでの回復速度は見たことがない。
だがなによりもおかしいのはこれで完全に治ってはいないということの方だ。
これは言ったほうが……いや更に混乱するだけでしょうから今は言わないほうがいいですね。
幸い顔には出ていなかったらしく、顔を上げるとヒロはナディアとスミレに、額の上にタオルを山のように乗せられている最中だった。
…………って!
「なにしてるんですか!」
「ん? 何って介抱してるんだぞ」
「全然そうゆうふうには見えないんですけど!?」
「いやなんだ、まだ顔色悪そうだったから追加でタオルを乗せたんだが」
「どれだけ乗るのかな~なんて思ってたら止めどころ見失っちゃって、とりあえず今30枚は乗ったよ!」
「いやいやいやいや、何やりきったみたいな顔しているんですか! 早くタオルどかさないと」
「待ってくれ! これから40を目指すところ何だ…」
「目指さなくていいです、まったくもうヒロさん大丈夫ですか?」
急いで二人と一緒にタオルをどかしていく。
全くこれだけのタオルどこから……
そう思っていると
「…あれ、タオルもういいの?」
「アリシア、あなたでしたか」
ため息を吐きながら何枚かまとめてどかしていく。
というか全然減らないですね。
ああもうっとめんどくさくなり最終的にはまとめてそばの樽に投げ込む。
「ヒロさん本当にすみませんでした、二人にはあとできつく言っておきますので」
毎度毎度ろくなことしませんね。
そう思いながら彼に謝るのだが、おかしなことに返事がえってこない。
そのことに疑問を覚え恐る恐る顔を上げる。
「……ヒロさん?」
そう呼びかけながら見ると……………………ヒロは背もたれに体を預けグッタリとしながらピクリとも動かなかった。
「ヒロさん!!!」
「え、ちょっヒロヒロ!!」
「ヤバイヤバイ、おい大丈夫か!!」
ヒロの様子に冗談抜きで焦る三人。
急いで状態を確認に入る、そして幸いなことに気絶してるだけだったので必死に介抱してなんとか意識を取り戻したのだが、タオルに埋もれていた時の記憶はなくなっていたらしい。
そして遅れながら気づいたことがある。
…っというかこのタオル! 少し濡れてるじゃないですか!
コレでは息が出来なくなって当然ですよ!
そして、
「いいですか二人とも! 今後よく考えてから行動するように! わかりましたね!!」
「「……はい、すみませんでした」」
ナディアとスミレはきっちり絞られてこの事件は終わりを迎えた。




