06怖くないといったら嘘になる
ふぅとため息をつき空を見上げると、木々の隙間からまだ明るい空が覗いている。
この世界に来てから体内時計で大体3時間ちょっとって感じだ。
もしこの世界の朝方にここに来ていたのだとしたらそろそろお昼だし、昼ごろここに来ていたのだとしたらそろそろ夕方、日が傾きかける時間だ。
物事は悪い方を想定して動いた方がいいはず。あと数時間後には夜になるのだと想定して行動を開始する。
「荷物はこんなもんかな?
シャワーヘッドをこのカバンの中に入れてっと」
俺は虹の橋を渡った2人分の荷物を1つのカバンにまとめて、最後にシャワーヘッドをそのカバンに突っ込んだ。
シャワーヘッドは俺にとって水筒代わりだ。これで、俺は日本の安全な水をいつでも飲むことができる。
「飲むことが出来るのはありがたいんだけど…
これ、常に41度ぐらいなんだよな」
そう。この世界に来て何度かシャワーを放出したし、今さっきも荷物まとめた後の手を洗うためにシャワーを使った。
そこで気付いたのは、このシャワーは常にぬるい湯が出てくると言うこと。恐らくそれは我が家の風呂の設定温度、41度。暑過ぎず冷た過ぎず、ちょうどいい温度の湯なのだが、これはごくごく飲むにはちょっと抵抗がある。
「風呂の湯だと思うと飲みにくいんだよなー
まぁ、新鮮な水だとは思うんだけどさ。」
俺は来た道とは反対の方向へ歩き出す。それはつまり、謎の生き物とそこで眠る二人が辿ってきた道で…。
「ゴクリッ」
怖くないといったら嘘になる。でも、一歩でも進まなければ俺はこの世界に来ただけで、何もできないままのたれ死んでしまうだろう。それこそ、この世界に来た意味がないと言うこと。
それよりは少しでも生き残れる方を選びたい。
俺は震える足をなんとか持ち上げて歩き始める。
「さっきまではフィジカルな理由で震えてたけど、
今はメンタルな理由で震えてるんだもんなー、ハハッ…」
こんなくだらないことでも喋ってないと乗り切れないぐらい、今の状況は怖い。
こんな恐怖は日本で体験したことがない。
日本で胃が痛いほど辛かったのは大学入試の前1ヶ月とか位だったし、今はそれとは比べ物にならないぐらい怖い。もう直ぐにでも胃に穴があきそうだ。
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