04早く体に何か巻きたい
この世界は、どうやら俺が呑気に歩き回っていられる程平和な世界ではないらしい。
目の前の亡骸を見る限り、この世界にも人間はいるみたいだ。
だけど、それをペロリとしてしまうような生き物も存在しているらしい。
ぶるり
俺は本日2度目の寒気を感じる。
「出来れば帰りたい。
出来ないのであればせめて服を着たい」
それは俺の切実な願いだった。
「まさかこの世界の人間は軒並み服を着ていないなんてことはないよな?」
それはこの頭しかない亡骸からは判断できな…
「あー!荷物が落ちてる!!」
なんと言う奇跡だろうか。得体の知れない足跡や爪痕のある方に目をやれば、視界の端になんと布袋のような荷物が落ちている事が確認できた。
俺は急いでその荷物に駆け寄る。いや、荷物が逃げるとかは考えていないんだけど、もう俺の体はとっくに冷たくなっているのだ。早く体に何か巻きたい。
「着替えないかな…、
コートとかマントみたいなのでも…、
この際だから大きめの布があれば文句言わない…」
俺は布袋の中身をガサゴソと漁る。
きっとこの荷物はあそこで眠る亡骸のものだろうが、そんなことは一旦忘れさせてもらおう。
亡き者に鞭を打つとか、辱めをするとかそう言う事をするつもりはないのだ。
ただ、俺と言う生きている人間のためにちょっと荷物を拝借するだけだ。
「お!服あんじゃん。
ズボンと、シャツ。
これは肌着か?ステテコみたいだな」
俺はアースカラーの服を何枚か手に取る。
日本で着ていた洋服よりもゴワゴワとして、なんて言うか“一昔前”感がある。
とりあえず体を早く包みたい俺は、生成りのシャツに袖を通す。これで全裸は回避できた。
が、
「ステテコがパンツだとすると…
抵抗あるよな…」
日本でTシャツやジャージの貸し借りはしてきた俺でも、パンツの貸し借りはしたことがない。
しかもこの世界、どんな洗濯事情なのか分からないのに名前も知らない他人のパンツは結構抵抗がある。
「でもこのシャツチクチクするし、
ノーパンでズボン履いたらボーイが痛いよな…」
俺は喉をゴクリと鳴らした後、覚悟してステテコに足を通した。
「うっわ、ステテコもゴワゴワチクチクすんじゃん…」
俺の心のパラメータは一気に0に近づいた。
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