結び
五話です!
今回はタイトルからは想像できませんが少し、ほっこりなお話です。そして、メインは先輩方です。主人公たちからスポットライトを外してみてのお話、ぜひご覧ください。
志帆がSmile部に入部してから、二週間ほどが経過した。
現在、六月中旬。学校内は、一週間後にある前期末テストで一色だった。進学希望の僕も当然、テストに向けて日々、コツコツと勉強をしている。そして今日も、放課後に学校の図書館………なんてありきたりな場所でやってたら人がたくさんきそうなので、あえて部室でやってた。なぜかテスト前なのに、活動あるって言ってたし。ただ、部室で勉強をやろうと考えたのは凶だったかもしれない。
「ねぇ、奏君。」
「ん?どうした志帆?」
現在、部室には僕ら二人しかいない。後藤部長はおやつを買いに、明智先輩は先生のところに行ってくるから遅れらと言ってた。
「奏君、何かしようよ〜。せっかく、二人きりなんだからさ〜。」
「志帆?一応教えてあげるけど、来週水曜日から金曜日までの三日間、全期末テストがあるんだよ?」
「うん!で、何かしようよ〜。」
「わぁ、スルーかぁ。なるほどー。ならもう一つ。志帆、僕ね、『弁護士』志望なんだ。だからね、勉強しないとなの。You under stand?」
「…奏君はさ。」
「え…?」
なんか嫌なパターンがきた気がした。もう、だいたい読めて気がした。
「私と勉強どっちが大事なの……?」
ほらぁぁぁーーーーー!!!!!!
めんどいやつだぁぁぁーーーーー!!!!!
回答に困ってしまう。彼女とかがよく使うあるある、「どっちが大事なの?」攻撃!!
正直言って、面倒くさい……。
「いや、でもさ…やっぱりどっもどっちだよ。志帆のことも大事だけど、勉強というか進学は僕の人生を左右するしね。」
「ふーん、そうなんだ……。私のことは大事じゃないんだ……。」
「僕の話、聞いてました!?」
この人の中では0か、100なのだろう。50と50では許されないのでしょうな。
でも、やっぱり進学は大事じゃない?え?お勉強大事。これは、小学校から教わってきたことだよね?
「ねぇ、こればっかりはわかってよ志帆。僕も進学かかってるし、まだ二年だけど……。」
「ぶぅ~~。わかったよぉ~。仕方がないなぁ。」
「ふぅ、ありがとうね。」
「そういえば、奏君てどこに進学するんだっけ?」
「あぁ、まだ絞ってないけど、法学部があるところかな。さっきも言ったけど、弁護士志望だから。」
「あれ?言ったっけ?」
はい!さっきの話、ガン無視でしたー!でしょうね!あのとき、僕の話を聞いてるようには思えなかったもん!
「でも、凄いね、弁護士なんて!」
「そう、だからたくさん勉強しなきゃなの。ね?志帆も一緒にやろ?さっきから言ってるけど、来週からテストなわけですから。」
「奏君、教えてくれる?」
「それは、もちろん!」
「じゃあ、やる!!」
よし!これで、落ち着いて勉強ができる!教えることは自分の復習にも繋がる。一石二鳥だ!
――あれから数十分。僕は、化学、志帆は数学Ⅱをやっていた。なんで僕ら、バラバラのをやってるのだろうか……。
「奏君、ここの問題分からない…。」
「どれ?……あぁ、因数分解か。簡単だよ(本当に。だってほぼ数Ⅰの内容だし)これは……」
「おぉ!倉吉先生よりわかりやすい!もう、倉吉先生、用済みだね!」
「いや、用はあるよ。まだ後、一年あるんだから…。」
でも喜んでもらえたようで良かった。
「今の要領でやったら、残りの問題も解けると思うよ。」
「うん!分かった!ありがと!!」
「っ!う、うん…。」
その無邪気な笑顔で言われたありがとうに、胸がドキッとしてしまった。
今、思い出したが、この人は僕の彼女で、よく見ると凄く可愛いのだ。あまりにも、恐怖というインパクトが強すぎて、そこを見失いかけていた。そうだった、僕の彼女は可愛いのだ。(見た目は!いや、中身も、うーん……)
―ガチャリ!
「よう、お前ら!ってなんだ、勉強してたのか?真面目かよっ!」
「自主性があるっていいことだろ。むしろほめろよ。」
「遅かったですね、先輩方。おやつ買うだけと、先生のところに寄るだけと聞いてたんですけど?」
「あぁ。俺はな、帰り道にな、迷子を探すのを手伝ってきたんだよ。」
「なるほど、それで、遅くなったんですね。」
「あぁ、そういうことだ。で、帰ってきて、部室に向かってきてる最中に真紀にあったということさ。」
「どういうことだったんですね。それで、明智先輩は?どういう事情でこんなに遅く?」
「……………。」
「明智先輩?」
「真紀?」
少し不安だった。こんな時、冗談でも明智先輩は、不穏な空気を作り出すような人ではない。だから、この状況に僕も、後藤部長も戸惑いが隠せない。
「何か言えよ…。」
「……………。」
「さすがにシャレになんねーぜ真紀…。おい!なんとかいえよ!!」
「部長!!落ち着いて!!」
僕は後藤部長を押さえつける事が精一杯だった。
「……皆、ごめん。」
「やっと話す気になったか真紀。」
「あぁ、すまなかった、仁。きっちり話すよ。」
「明智先輩、何があったんすか?」
「な、夏休みいっぱいでSmile部を抜けることになった……。」
その瞬間、僕も、志帆も、後藤部長も誰として声を発することができなかった。そして、少し間が空いた頃に、部長が切り出した。
「…理由があるんだろうな?納得が行く説明をもらうぞ。俺とお前は長い付き合いだ。もしここで納得のいく説明なしにやめるっていうんだったら、ここで一発、拳入れるからな…。」
「仁先輩!!相手は女の人ですよ!!」
「真紀、俺はいつもお前に部活でボッコボコにやられてきたよな?けど、お前と奏なら気づいてるだろ?いつも俺はわざとやられてるってことに。攻撃も手加減してることに。」
「そうなの!?奏君!?真紀先輩!?」
「あぁ、その通りだよ志帆。部長だって、男だ。特にこの人は、優しさの塊のような人だ。決してそんなことはしない。」
「……勿論知ってるよ。だから、ちゃんと理由も話すよ。」
「明智先輩……。」
「……留学が決まった。」
「………は?」「「………え?」」
「はぁぁぁああああ!!?」
「「えぇぇぇえええ!!?」」
「は!?ちょっ、まっ!えぇぇええ!?」
「奏にさ、放課後すれ違ったとき、先生のところに行ってから部活に行くって言ったろ?」
「えっ!?あ、はい!そうでした…!」
「あのあと、すぐに行ったら、この話だった。」
「留学って、どこに何ですか?」
「南アフリカ共和国。一年間。」
「「「アフリカぁぁあ!!!??」」」
「おい待て、真紀!色々待て、真紀!せめて、今しなきゃならない、てか今じゃなきゃならない質問ベストスリーを、一呼吸置いてからさせてくれ!」
「あ、うん…。」
「スゥー、ハァー。よし!じゃあ、まず一つ目、まず、何で留学のこと、言ってくれなかったんだ?こいつらならまだしも、俺にもなんて…。」
「それは…、行けるかわからなかったし、あまりおおごとにしたくなかったんだよ。」
「そういうことか。わかった。なら二つ目。一年間てことは、大学とかはどうするんだ?お前、もとは進学志望だったろ?」
「一年遅れて入るよ。浪人?て、ことかな?」
「それは……まぁ、それでいいか。わかった。なら三つめ。……そもそもなんだけどさぁ、何でアフリカなんだぁぁ!!?」
「それは、この部活のおかげだよ。」
「え?この部活?おかげ?」
「あぁ、この部活のおかげでボランティア関係に興味を持ったんだ。で、ちょうどうちらの学年の何名か対象に、留学の話が上がったんだ。名目は、各国で困ってる子供たちについて。」
「おまっ!?それって……!」
「条件としては、二年次の英語の成績が評価A以上であることと、留学帰宅後は自動卒業となるため、卒業に値する単位を履修することが可能か。そして、ボランティア及び、今回の名目について真剣に向き合えるか。」
「それを、明智先輩は満たしていた…。」
「仁には感謝してるよ。仁がこの部を作ってくれたから、私は目標ができたし、留学を決意することもできた。仁やこの部活のおかげだよ。」
「真紀……。」
「これが、私から言える全てだ。」
「真紀……やっぱり俺……お前殴るわ。」
「はっ!?ちょっ!?何言ってるんですか!?後藤部長!?あんた頭おかしいんですか!?素直に言いますけど、どこか知能低いな〜とは思ってましたけど、ここまでとは思ってませんでしたよ!」
「冷静になってください!仁先輩!」
「真紀、何で殴られるかわからないだろ?」
「……おそらく、この件について相談もなかったからかな?」
「…半分、正解だぁぁ!!」
その言葉とともに部長は右手の拳を振り上げた。僕は止めにかかろうとした時には遅かった。
そう思った。
「……え?」
先輩の拳は、とても、とても優しく、明智先輩の額に軽く当たっただけだった。
「言ったろ?いつも手加減してるって。」
「で、でも……。」
「半分は黙っていたことに対する怒り。もう半分は、頑張ってこいっていう、俺なりのエールだ。」
「ひ、と……し…。」
「頑張ってこいよ!応援してるからな!」
「う、うん…。ありがとう……。」
この時、僕は初めて明智先輩が涙を流している姿を見た。よほど、後藤部長からのエールが暖かく、胸に響くものだったのだろう。
いかがでしたでしょうか?
真紀、smile部からいなくなってしまうんですね…。
そして、仁が今回、頑張りましたね。
相手を思っているから言えないこと。相手が大切だから、心配で頼って欲しいと思う心。人というのは複雑ですね。
いつかこの二人が、互いになんでも分かり合える。そんな関係になれれば良いですね。これをみてる皆さんには、そういう人、いますか?
見ていただきありがとうございます!
ぜひ次回も読んでいただけると嬉しいです。




