文化祭の朝
野田ちゃんと別れた後、私も家に帰った。明日のことを考えるとじんわりと緊張してくる。食欲が失せ、夕飯を残してしまった。湯船につかって私は考える。…私は何が怖いのだろう。これをきっかけにクラスの人とも話せるようになるんじゃないかと考えたこともあったではないか。わからない。私はお風呂から出て、パジャマに着替えた。私はもう寝ることにした。次に目が覚めると、あたりはまだ暗かった。目をこすりながら、枕元の目覚まし時計を見るとまだ朝の4時だった。そうだ、今日は文化祭だ。目を覚まし、真っ先に頭をよぎったのがそのことだった。すっかり目が覚めてしまったので私はベッドから這い出した。何もしないのも落ち着かないので私はギターの練習をすることにした。私はギターをケースに入れ、家族を起こさないようにそっと家をぬけだす。近くに小さな公園があるので、私はいつもそこでギターを練習していた。朝の空気はひんやりしていて気持ちがよかった。新聞配達のバイクの音が静けさの中に響く。公園に着くとベンチにギターケースを置き、中から音叉とギターを出した。ケースの横に腰を掛けて、ギターを抱える。音叉を響かせ、ギターのチューニングを始めた。しばらくすると、一人の老人が公園に入ってきた。老人はジャージ着で汗だくだった。ランニングでもしていたのかな。老人がこちらに向かってくる。
「隣、座ってもよいですか?」
「あ、はい」
私は急いでギターケースをどかして、ベンチを空ける。
よっこらせっと腰を掛けながら老人が話しかけてきた。
「あなた、よくこの公園でギターを弾いていますね」
私が驚いた顔をすると老人は笑いながら言った。
「いや、ストーカーとかではないですからね。僕、この時間帯と夕方は毎日、散歩かランニングをするんですよ。そのときに、ね?」
「あ、そうでしたか」
「ギター好きなんですねぇ」
「……へ?」
私は素っ頓狂な声を出してしまった。ギターが好きかどうか何て考えたこともなかった。私はただ、千歳に憧れてギターを始めたに過ぎない。黙ってしまった私をみて、老人は目を細めて優しく言った。
「好きかどうか何て分からない、とあなたは思うかもしれませんね。でもね、そこまで上手に弾けて嫌いということはないでしょう?……じゃあ、好きなんですよ」
私はいまいち納得できなかったが、反論する気が起きなかった。とにかく今日のライブのことが嫌で、私はテンションが降下中なんだ。あれ?ライブが嫌なのにライブのためにギターを練習をしてるのって変?
「では、失礼しときますね。練習の邪魔をしてしまってすみませんでした」
老人はそういって公園の出口の方に消えていった。私といえばまだ考え込んでいた。ライブ…。人前…。他人…。知り合い…。自分…。 結局、何の結論も出なかったけど、時間が無くなってきた。私は急いで家に帰って、学校に行く支度をしなくては。
人の心情の変化を書いていきたいのですが、難しいです。




