第二話弟子との邂逅
第二話弟子との邂逅
すでにヴァルが私の服を買いに行くと走って行って三十分が経とうとしている。
私はヴァルが言っていた通り待っていたのだが、さすがに遅すぎるのでちょっと近くをぶらぶらすることにした。
テクテク
「本当……懐かしい。……あっ、この木の傷は、ツバキちゃんとつけたやつだ」
この傷具合をみるに今日はツバキちゃんが私に初めて悩みを言ってくれた日だな。
ってことは明日は私とツバキちゃんが魔術師のラシュウと戦士のギンジに初対面した日かぁ。
…………本当は会いたいけど、本来の目的を忘れてはいけない。
パン!!
「よしっ!!」
ヴァルを探さないと。
そういえばヴァルの性別が変わったのはどうしてだろう?
時間移動魔法は本来個人用……今回はイレギュラーでヴァルも一緒に移動してきたから、それも関係あるのかもしれない。
「あの、どうして師匠がここに? この木がどうかしたのですか?」
この声は
「あぁ、この木ね、ツバキちゃんと一緒に彫ったやつなんだ。それでミューラこそどうしたの?」
「ツバキちゃん?……今のお弟子さんのことですね。そういえば師匠、魔王の件聞きましたか?」
「ヴァルがどこにいるか知ってるの!?」
「……!? 師匠どうしたんですか、それに……ヴァルって誰ですか、まさか恋人ですか!?」
そうだったこの時代にヴァルは生まれてない。
ヴァルが生まれるのはこの時代から三百六十六年後の私が千二百九十一歳の時だ。
「ヴァルは恋人じゃないから!! そっそれで魔王の件だよね」
先代魔王のヴェルワルドのことなら
「魔王が新四天王を選んだ件だよね」
「そうなのそのせいで私も駆り出される始末なんです。それはいいんですけどね、少し悩みを聞いてもらえませんか師匠、私念願の騎士団長になれたのは嬉しいんです。ですが最近訓練所で全く私の指南を受けてくれる人がいないんです!! みんなタニアの指南ばかりなんです……どうすれば良いですか師匠!! 自分で考えなきゃいけないことは分かってます、せっかく九年ぶりに師匠に会えたんです……せめてこの一時でいいのでまた昔みたいな関係に戻りたいんです!! ダメですか?」
「いいよ……というより、いつでも私のことを頼ってくれていいからね。ミューラは私の弟子なのは変わらないんだから。それで指南の件だよね、ミューラは指南の際どんな風に教えてるの? ミューラとそのタニアさんの指南の違いをまずは知りたいから教えて」
「私はまず一対一で一時間打ち合って十分ほど休憩して三十キロ走るその後二十分休憩して二十分魔力戦をして終わりです。タニアはまず指南を受けにきてくれた人のご褒美を話し合って決めてその後剣・魔・体・戦術の講義をして一時間ほど実戦、その後再び講義で終わりです。終わったら決めたご褒美を渡すみたいです」
そして私は昔のようにミューラが満足するまで教えた。
「師匠本当にありがとうございましたっ!! それでまた相談したい時……どうしたら……次は本当に聞いてもらうだけにするので…………あっ、そういえば昔師匠"魔力通話"について教えてくれましたよね。あれって今でも使えますか?」
「できるけど、まだミューラは血液登録してないけど……やり方は前に説明したよね、どうする今する?」
「します!!」
魔力通話とは私の念話のスキルを応用した物で、私の身体に念話したい人の血液を取り込むことでいつでもどこでも念話が出来るというものだ。
念話のスキルは私以外にも持っている人はいるが、その人たちと私に共通した悩みが念話が盗聴されることだった。
そこで私は血液で念話をする相手を登録しその血液の持ち主とだけ念話が出来るようにしたのだ。
今の形になるまで四十八年間試行錯誤を繰り返したけど、今では盗聴されることはなくなった。
そして特定の相手とだけ通じて念話を出来ることから"魔力通話"と名付けた。
血液を登録する方法は簡単だ登録する相手の血液を私が直に飲む……そう直に飲むのだ。
まあ説明はこれくらいにしておいて
「それでミューラ……どこがいいの?」
「指がいいです!!」
ミューラはニヤけながら指を切った。
「それでは、いただきます」
私はミューラの指から血を飲んだ。
「師匠に指を咥えられてなんだかイケナイことしてるみたいで興奮します!!」
本当に興奮しないで、私だって恥ずかしいから。
私が血液登録に必要な量取り込み口を指から離した。
「……ふう、これで登録完了っと。それじゃあ魔力通話してみるから」
私がミューラに『いつでも私を頼っていいからねミューラ』と試しに伝えてみた。
ミューラは私に『ありがとうございます師匠頼らせていただきます!!』と叫んで返事した。
ミューラはその後『今日はありがとうございました、また相談させてください!!』と叫びながら去って行った。
私はミューラを見送った後ヴァルを再び探すことにした。
「それにしても師匠"際どい服"に変わってて……ああいう師匠もだいぶ興奮して私的にはあり寄りのあり!!」
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来る時にしますね