表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/82

お兄ちゃんとの飲み会を開催しました


 居酒屋で、香菜さんと麻さんの兄、そして麻さんが待ち合わせていた。

 居酒屋に入ると、店員が香菜さんに聞いてきた。

 「いらっしゃいませ。お1人ですか?」

 香菜さんが答えた。

 「あ、いえ、待ち合わせで。ガタイの良い男性なんですけど……。吉田ぁ……」

 「あ、はい。予約された吉田様ですね。こちらです」

 案内されて、4人しか座れない、仕切られた個室空間に通される。既に兄は飲んでいた。席に座りながら香菜さんが言う。

 「もう飲んでたんですか?」

 「ああ、喉が渇いたから」

 「何か食べ物をオーダーしました?」

 「あ、ポテトと焼き鳥だけオーダーしておいたよ」

 香菜さんが店のオーダー用タブレットを覗き込んだ。

 兄が聞いた。

 「何飲むの?」

 「私はね。烏龍茶です」

 「飲まないの?」

 「仕事で毎日飲んでいるから。肝臓がヤバいから」

 「あーそうだよね。俺はぁ、もういっぱい。その焼酎をカートに入れてくれる?」

 

 香菜さんが驚いて言う。

 すでに空のビールジョッキが2つ並んでいたからだ。

 「え?ペースが早くないですか?」

 「いいだろう?俺やっと南央美の束縛から逃れたんだ。小遣いもろくになかったんだ」

 「南央美さんがいなくなって、お金がまた使えるよになったわけなんですね?」

 「ああ。店をオープンさせるのに、節約していたからな」

 

 香菜さんが不思議に思い聞いた。

 「それで、その貯めたお金はどうなったの」

 「せんぶ、あげた」

 「あげた?」

 「上げたって、幾ら?」

 「うーん、二人で1000万貯めたんだけど。全部あげたんだ」

 「なんで?全部あげたの?」

 せつなそうな顔で兄が言う。

 「可愛そうだろう?」

 「何が可哀想なの?」

 「南央美と子供がさ。これから大変だろう?生活がさ」

 「でも、南央美さんは、新しい男と住んでいるんでしょう?」

 「でも、可愛そうだからさ。俺はこれからまた自分で働けば良い」

 

 香菜さんが聞く。

 「南央美さんが、好きなんですね」

 「好きは、好きだよ」

 「じゃ何で別れたんですか?」

 「好きだけど、もう女として見られなくて。俺は南央美とは家族になれても、それだけだから。それが南央美は不満でさ。だから南央美は浮気したんだと思う」

 香菜さんには理解出来ない。

 「どう言う事か分からないわ」

 「夫婦って難しいんだよ。まぁまだ婚姻届出してなかったから、夫婦じゃなかったけどさ」

 

 香菜が言う。

「そう言う深い関係になった事ないから、分からないです」

 兄が話を変えた。

「それで、なんか頼み事があって、香菜さんは俺と飲みたかったんだろう?何頼み事って何?」

「私、彼がいるんです」

 めちゃ興味なさそうに兄が言う。

「あー、そうなんだぁ」

 

「でもそいつとは別れたいんです。でも私のマンションにい座って出て行ってくれなくて。私が逆に自分のマンションに住めないでいるんです」

「え? そんな事あるの?」

「あるんですよ。驚いちゃいますよね?それでその彼をなんとかしたいんです。協力してもらえないかと思って」

 「う――ん。俺みたいな部外者が、香菜さんの問題に立ち入っていいの?」

 「お願いします。他に頼る人がいないんです。警察も当てにならないし。だからと言って、私用にお店の男の子を使うわけにもいかなくて。お礼はします」

 「そうかぁ。そんなに困っているの?」

 「困ってます。もう数ヶ月自分のマンションに帰ってないんです。私のマンションがどんな状態になっているか心配です」

 「具体的に、俺は何をしたら良いの?」

 「彼氏をマンションから追い出して、二度と私の前に現れないようにして欲しいんです」

 

 兄は無言になった。

 しばらく喋ろうとしない兄に、香菜さんが聞いた。

 「やっぱり、駄目ですか?」

 「駄目じゃないけどさぁ。やっぱり、いいのかなと思って。香菜さんの男関係に、無関係な俺が関わってさ。その彼氏さんは、俺が出てきて、納得するのかなって」

 「でも、もう、どうしようもないじゃないですか?」

 「なんで、そんな面倒な男と付き合ったの?」

 「私、駄目な女なんです」

 「自分が駄目な女だから、駄目な男と付き合ったわけ?」

 香菜さんが自分の心境を説明した。

 「多分、楽なんです。だめな男といると、気楽なんですよ。お金あげてたら、機嫌よくそばに居るし。なんか人間のペットみたいで」

 

 訝しげに兄が言う。

 「……人間のペット?」

 「そうです。おかしいですよね。私も自分で正気じゃないって思います」

 「まぁ、俺に、香菜さんをとやかく言う立場もないし……。でももう変な男と付き合うなよ」

 「……出来るかどうか……」

 「変な男と付き合わないなら、今回だけ手を貸してやる」

 「本当ですか? だったらなんとかそう言う方向で頑張ってみます」

 「うーん、返事の内容が弱いな。でも、このままってわけにも行かないからな。明日、一緒に香菜さんのマンションに行こう。俺色々準備しておくよ」

 

 「準備って?」

 「まぁ、色々だ。今日はもう良いじゃないか。俺は飲みたいんだ。飲ませてくれ」

 香菜さんがハイと言って、オーダー用のタブレットを兄に渡した。

 兄が追加の酒をカートに入れた。

 そこに遅れて麻さんが現れた。兄が文句を言う。

「遅いぞ」

 

 麻さんは何か不満顔だった。

 兄が聞く。

「何かあった」

「洋さんがさぁ。連絡取れなくて……。さっきやっと繋がったら、日曜日にこっち来られなくなったって言うんだ」

 香菜さんが驚いて言う。

「え?また?」

 兄が言う。

「そう言う事もあるだろう?」

 香菜さんが言う。

「それが最近、ドタキャンが多いんですよ」

 麻さんが言う。

「うーん。きっと仕事が忙しいんだと思う」

 

 麻さんもオーダー用のブレットを見始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ