疑い
僕とヨックも教室の中に入った。
「嘘ではないと思いますが、一応確認したいです。捕まえた人達はどこですか?」
先生が聞いてきた。
「マナブの魔法の中に入ってますよ!彼すごいんです!魔法で黒ずくめの人達をあっという間に倒していました!」
「ほう。魔法を使いましたか」
「危険だったからいいじゃないですか!私を守る為に使ったんですよ!」
「いえ、そこではありません。魔法を使ったのなら危険視されてこれから先も襲撃される可能性があると思います」
「そういえば印をつけたと言われました。僕と戦った黒ずくめの一人が喋ったんです」
「印ですか。何でしょうかね」
先生もわからないのか。
「うむむ。どうしましょうか」
僕は考える。先生が話しかけてきた。
「研究者を倒しにいきますか?」
「え、先生そんなことできるんですか?」
「頑張れば行けますよ!」
「え、じゃあなんで倒さなかったんーーー」
ヨックに口を塞がれた。
「わかりました。僕達も一緒に行きますか?」
「もちろんです!」
先生は生徒に話しかけた。
「今から自習です。教科書を読んでおいてください」
この人達には教科書があるんだな。僕達にはないけど。
僕達は教室を出てドームに来た。
「マナブ、あなたが捕まえてくれた人を見せてください」
「わかりました。収納魔法 ストレージ」
僕は空間の中から捕まえた人達を出した。先生の顔が驚愕を表現していた。
「いきなり襲ってきたんですよ」
「証拠はありますね。では、行きましょう」
「なんで行き先を知っていーーー」
またヨックに口を塞がれた。なんだよもう。
「わかりました」
ヨックが答えた。
僕達は研究者を倒しにいくことになった。
先生についていく。その途中、ヨックは声を潜めてヨアと僕に話しかけてきた。
「なんか先生怪しくない?」
「え?」「なんでだよ」
「だって、印はついていなかったよね?それにいつ僕達につけたんだよ?」
「確かに」「先生を疑うのか!」
「マナブ、声が大きい。だけれど怪しすぎるんだ。先生は倒しに行くと言った。僕達を連れてね。
「忠告してくれる程生徒思いだった先生が危険な場所に連れて行かせるかな?」
「あとは、先生は僕達が生きていることを喜んでいなかったことかな」
信じたいけど、怪しむ材料は揃ってる。僕は疑いたくないよぉ。
「先生を…疑うのかぁ…」
「マナブ、泣かないで。僕達はおそらく敵の本拠地に行く」
「先生は僕達をどうするつもりなんだ」
「研究者に渡すと思う」
「あぁあぁあ」
「落ち着いて。本拠地についた時に襲撃されると思う。君が頼りなんだ、マナブ。君が倒してくれないと僕達は一生実験台だ」
子供達に励まされてるんだ。落ち着かないと。
僕は深呼吸をした。
「うん、わかったよ。ヨックとヨアは大丈夫なのかい?」
「覚悟はできてるわ」「大丈夫だよ」
みんな強いな。僕とは大違いだ。
先生と戦うことになる。怖いけれど頼ってくれる人がいるから戦わなくちゃいけない。