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僕と俺の異世界漫遊記  作者: P・W
第一部 覚醒編
58/285

第54話 自分で武器を作ってみよう(3)

 ギルドハウスを出て直ぐエルドベルグ一の武具の店――カヴァデール店へ向かう。


 遠方からエルフ達の集団がこちらに向けてやって来るのが視界に入る。勿論お子様エルフ――ラシェルもいる。

 今日、ラシェルは仲間のエルフ達に囲まれているし、今日翔太は半端ではなく忙しいのだ。無視して通り過ぎることにした。

 通り過ぎる際にリーダーらしき金色の長髪のエルフが翔太に値踏みするような視線を向けてきた。もしかしたら、彼にはラシェルと知り合いであることがバレてるのかもしれない。

 エルフ達の横を通りすぎる。

 今日は何事もなく通り過ぎることができたと肩越しから振り返ると、ラシェルが地団駄を踏んでいるのが視界に入る。周囲のエルフ達も突然のラシェルの豹変に当惑しているようで、終始オロオロしている。

 だが遂に業を煮やしたエルフの金髪の青年がラシェルの後ろ襟首をズルズルと引きずっていく。かなり過激な人のようだ。

 十中八九、ラシェルの豹変は翔太がラシェルを無視したのが原因だろう。今度会ったときにでも謝ろうと思い再び歩き始める。


               ◆

               ◆

               ◆


 カヴァデール店に入ると店はいつも以上に熱気に包まれていた。今日は遂に、『日本刀工房』の完成日である。ガルトとディヴが翔太を待ち構えており、簡単なミーティングが開始される。ミーティングで、今日の大まかな予定は以下の通りに決まった。

 まず『日本刀工房』が完成するまでは午前中はひたすら【日本刀モドキ】を作る。

 『日本刀工房』が完成したら【日本刀】を試行錯誤して作る。

 『日本刀工房』が稼働初めは希望通りの【日本刀】が作れないかもしれない。まずは『日本刀工房』に慣れることが重要なのだ。また【日本刀】が上手く作れるようになったら実験したいことが翔太にはあった。

 そして今日のメインディッシュは伝説上の金属を出し惜しみなく用い最高の一品を作りだすことだ。今日時間はたっぷりある。レイナ強化計画の一環なのだ。翔太も妥協はできる限りしたくはない。

 この翔太のやる気が伝播したのかガルトもディヴも興奮で上気していた。





 さっそく翔太は【日本刀モドキ】を作り始める。今日は数をこなす事だけに集中し、スキルを【第7級――超越級】まで上げてしまいたかった。

 


 さらに時間は短縮し3時間程で24本もの【日本刀モドキ】ができた。

内訳は、【希少級(レア)】3本、特質級(ユニーク)18本、【伝説級(レジェンド)】3本だった。勿論、最後の三本は【第7級――超越級】に上がってからの作品だ。

 ポケットからギルドカードを取り出し確認する。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

スキル

《鍛冶(第7――超越級)》

■説明:適切な素材を用いれば超越級(トランセンデンス)の武器・防具まで作成可能

   超越級(トランセンデンス)までならば素材からできる武器や防具を予測することが可能

   超越級(トランセンデンス)までなら作成したい性能の武器・防具から素材を選択可能

   超越級(トランセンデンス)までなら武器・防具のクラスを識別可能

   ※ただし魔法の奇蹟を付与する事はできない。

■【心眼(鍛冶)50%】が解放されました。

■必要使用回数: 4/128


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(や、やった。やったよ。ついに最後の等級と言われる【第7――超越級】。

でも【心眼(鍛冶)50%開放】とか必要使用回数が4/128になっているし、まだ先がありそうなんだけど……まさかね。それに、【心眼(鍛冶)50%開放】がタップできそうだ。光ってるし)


 翔太は【心眼(鍛冶)50%開放】をタップしてみることにした。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【心眼(鍛冶)50%開放】

■武器の下級(ロー)から超越級(トランセンデンス)までの各クラスにもレベルがある。

 神話級(ゴッズ)までの各クラスのレベルを識別可能

■金属のより最適な加工の仕方を取得可能(ただしすべての金属の約半数のみ)

■鍛冶の最適な方法を導きだすことにより鍛刀(たんとう)速度が倍化

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(金属のより最適な加工の仕方と鍛刀(たんとう)速度倍化って……チート過ぎる。

 でも、やはりこの記載の仕方からしてもまだ先がありそうなんだけど。まあ、いいや。直にわかるでしょ。それよりできた【伝説級(レジェンド)】の【日本刀モドキ】の性能を簡単に見ていこう)


 完成した【伝説級(レジェンド)】の【日本刀モドキ】の3本の内、2本が大太刀で、1本が小太刀だ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【日本刀 大太刀】

■クラス:伝説級(レジェンド)

■レベル:3

■説明:異世界の刀。

■性能:切断、突きの両方に極めて優れている。

力+30、体力+30、俊敏性+10の特殊効果を持つ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【日本刀 大太刀】

■クラス:伝説級(レジェンド)

■レベル:2

■性能:異世界の刀。切断、突きの両方に極めて優れている。

    力+25、体力+25、反射神経5の特殊効果を持つ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【日本刀 小太刀】

■クラス:伝説級(レジェンド)

■レベル:2

■性能:異世界の刀。切断、突きの両方に極めて優れている。

    力+15、体力+15 反射神経+25の特殊効果を持つ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(なるほど。【伝説級(レジェンド)】にもレベルがあるのね。それによって、性能が若干変わって来るというわけか。確かに【特質級(ユニーク)】にも【伝説級(レジェンド)】に匹敵する性能のものもあった。なるほどこういうわけだったわけだ。じゃあ、きばって後半戦一気に駆け抜けよう)


 翔太は鍛刀(たんとう)に集中していく。


 【心眼(鍛冶)50%開放】の効果により、鍛刀(たんとう)速度が倍に上がった翔太をガルトとディヴは心底呆れ果てた表情で眺めていた。もう驚くのに疲れたのかもしれない。

 


 もう4時間で40本もの【日本刀モドキ】を作成した。【特質級(ユニーク)】3本、【伝説級(レジェンド)】が37本だった。【神話級(ゴッズ)】はどんなに丁寧に作ってもできなかった。どうやら【日本刀モドキ】では【伝説級(レジェンド)】が限界らしい。所詮モドキだ。仕方がないだろう。

 だがその最後の方は殆ど、レベル4の【伝説級(レジェンド)】であり実力は確実に上がっているといえる。一番高いレベル4の大太刀、小太刀、脇差の【伝説級(レジェンド)】は以下の通りの性能だった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【日本刀 大太刀】

■クラス:伝説級(レジェンド)

■レベル:4

■説明:異世界の刀。

■性能:切断、突きの両方に極めて優れている。

筋力+35、体力+35、反射神経+15の特殊効果を持つ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【日本刀 小太刀】

■クラス:伝説級(レジェンド)

■レベル:4

■説明:異世界の刀。

■性能:切断、突きの両方に極めて優れている。

筋力+25、体力+25 反射神経+35の特殊効果を持つ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【日本刀 脇差】

■クラス:伝説級(レジェンド)

■レベル:4

■説明:異世界の刀。

■性能:切断、突きの両方に極めて優れている。

筋力+20、体力+20、俊敏性+45の特殊効果を持つ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 必要使用回数は44/128となった。

 ガルトは『がははははははぁああ! 【伝説級(レジェンド)】が一杯一杯じゃあぁぁぁぁ~~~~~!』という奇声を上げながら天を仰いでいた。ディヴは当の昔に蟹のように泡を吹いて気絶している。

 そんなコントのようなお茶目なオーバーリアクションをする二人を尻目に、遂に『日本刀工房』が完成してしまった。

 何とか二人を正気に戻して【日本刀工房】を稼働させる。ガルトとディヴが息を呑む音か聞こえる。

 

 まず翔太が作ろうとする【日本刀】の作成過程は【日本刀モドキ】とは全てが異なる。

 第一、質の高い鋼を「たたら吹き」などの設備を用いることにより作る。

 第二、鋼を適切な種類に作り分け、余分なものを除きつつ組み合わせる。

 第三、作った鋼を用いて鍛刀(たんとう)を行う。これだけが【日本刀モドキ】作成と同様の技術を用いる。もっとも、加熱した刀身の極めて緻密な温度管理が最重要であり、【日本刀モドキ】とは要求されるものが全く異なる。前の設備ではどうあがいても精密な温度管理は不可能だったのだから。

 第四が仕上げとなる。仕上げも【日本刀モドキ】の数倍の時間と手間をかける。この仕上げも【日本刀工房】の設備があればこそ実現できたものだ。


 翔太は集中していく。まずは試しの一本だ。おそらくまだ【日本刀工房】に慣れていない。出来るのはよくて【伝説級(レジェンド)】だろう。

 【第7――超越級】に上がった《鍛冶》スキルと【心眼(鍛冶)50%解放】のおかげで、最短最適な【日本刀】作成の方法が頭に浮かび、身体がその方法に従ってまるで自動機械のように動いて行く。





 そしてついに一振りの【日本刀】が完成した。この【日本刀】の出来には作った翔太本人でさえも驚きを隠せなかった。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【小狐丸】

■クラス:神話級(ゴッズ)

■レベル:1

■説明:稲荷明神が童子に化けて相槌を打ったといわれる刀。


■性能:切断、突きの両方に極めて優れている。

    切りつけたものの治癒力を4分の1減少する。(神罰)

    筋力+40、体力+40、反射神経+40の特殊効果を持つ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(……【伝説級(レジェンド)】と全くの別物じゃん。こんなチート武器、ポンポン作れるなんてこの世界どうなってんの? パワーバランス簡単に崩壊するよね。

しかも、切りつけたものの治癒力を4分の1減少する? 無茶苦茶だよぉ~!)


 ガルトとディヴは押し黙っていた。今まで天を向いて喚く、泡をブクブク吹く等過剰気味のリアクションをしていた二人であったが、無表情、無言であった。


「あの~、ガルトさん? ディヴさん?」


 二人は何の反応もない。オーバーリアクションの塊の二人がノーリアクション。かえって不気味だ。近づいてみる。虚空を眺めている。目の前で手を振ってみる。反応なし。なるほど、最強のリアクション――気絶だった。

 翔太は声が枯れるくらい大声を上げて現実に生還してもらう。これから彼らの協力が必要なのだ。気絶している時間などない。

 やっと現実に帰還したので、【小狐丸】の性能の説明をするが、聞いた二人とも再度気絶してしまった。どうやらガルトさん達のファイナルリアクションが気絶らしい。

 気絶から覚醒したガルトは独り言のように呟き始める。


「……神話級(ゴッズ)。アースガルズ大陸で5本しかない神々の武器。

人間種で持つのは魔王、獣王、竜人王のみとされる最強の武器。それを砂鉄でつくる? 

 なあショウタ、お前は本当に人間なのか? 神の化身だと言っても儂は驚かんぞ。いやその方が今までの事がすべてしっくりくる――」


「ガルトさん。現実逃避しないでください。僕は人間です。それにガルトさんにお願いしたいことがあります」


 再び、空想の世界に旅立とうとするガルトを無理やり現実に繋ぎ止める。


「儂にお願い? ショウタのレベルに儂ごときがついて行けるとは思わんが――」


(駄目だ。ガルトさん。卑屈になってしまった)


「そんな事がありませんよ。ガルトさんはすでにこの【日本刀工房】を適切に使えば【伝説級(レジェンド)】を作ることができるんです。【神話級(ゴッズ)】ももうじき作れるようになれますよ。僕が保証します」


 これはハッタリではない。ガルトはすでに《鍛冶》スキルが等級【第5級――伝説級】だったのだ。本来適切な設備と金属を用いていて適切な方法で鍛刀(たんとう)をすれば【伝説級】を量産できてもおかしくはない。

 それに今までスキル等級が上がりにくかったのはガルトが金属至上主義に陥っていたからだろう。だがこの【日本刀工房】は金属を加工することに重点を置いた工房だ。スキル等級も遥かに上がりやすいはずだ。現にガルトもメキメキと鍛刀(たんとう)の技術が上がっていると言っていたではないか。だからこれは励ましではなく、ただ事実を言っただけだ。


「そ、そうだな。実際に【神話級(ゴッズ)】を作った翔太が言うのだ。それは事実なのだろう。そうか……。そうかぁ~~! 儂もいつかは【神話級(ゴッズ)】を作れるよういなる! ぐはははっ! 燃えてきたぞ! ショウタ、儂は何をすればよい?」


 ガルトはすっかり立ち直ったらしい。目に強い意思が揺らめいている。これなら話を進めやすいだろう。


「これはあくまで僕の予想ですが、砂鉄のみの材料では【小狐丸】しかできないと思います。

 勿論慣れてくれば、より高度な【小狐丸】を作れると思いますが。それではつまらないでしょう?」


「ぐふ、ぐははぁあははっ! そうだな。それではつまらない。わかったぞ。いろいろな金属を砂鉄に混ぜて作るのだな!」


「さすがガルトさん! その通りです。いろいろな金属と砂鉄とのバリエーションを試して、どんな【神話級(ゴッズ)】の武器ができるか試してみたいのです。もし、お金が必要ならばこの【小狐丸】を売り払えば金属を買う金にはなるでしょう?」


 ディヴが翔太に唾を飛ばしながら捲くし立てた。


「この武器――【小狐丸】は売れませんよ。仮に売れても小国を兵士ごと買うくらいの天文学的な金額になります。金属を入手するのにそんな大金不要です。ほとんどの金属が今までショウタさんが作ってくださった【特質級(ユニーク)】を売るだけで手に入れる事が出来ます。あれだけで、数億Gにはなりますから。私が足りない金属を買ってきます。ショウタさんと親方は細かな事はご心配なさらずに、鍛刀(たんとう)のみに集中なさってください」


「ありがとうございます!」


 こうして翔太達の挑戦は始まった。翔太の《鍛冶》スキルと【心眼(鍛冶)50%解放】、ガルトの金属の基本的な知識を用い、試行錯誤しながら多数の武器を生み出していく。

 今日はヴァージルの護衛はデリックに任せている。

 明日の朝まで時間の許す限り【日本刀】を作成し続けることができる。

 


 明日(8月3日)が仕事が休みなのでその時にでも一気に投稿します。近頃、特に忙しく予定通り進まなくて申し訳ありません。

※表題を修正しました。

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