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僕と俺の異世界漫遊記  作者: P・W
第一部 覚醒編
30/285

第29話 お金も貯めつつ冒険者としての技術も身に着けよう(4)


 次に森の中で遭遇したのはビックベアー4体に、毒大蛇が6体だった。

毒大蛇は討伐推奨クラスがD+でありビックベアーよりもやや高い程度だ。毎度のごとく毒大蛇の情報を頭の中の『魔物全集編』から引き出す。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


○毒大蛇  討伐推奨クラスD+

■形態:紫色をした2m程もある大蛇。

■生息地:密林 。

■性質:顎を外して《毒吐息》を吐く。

■対策: 毒吐息の射程外から魔法やスキルで遠距離攻撃すべき。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 かなりの数だったので翔太が毒大蛇を全部引き受けたいと言ったらフィオンは驚いたものの快く承諾してくれた。レイナからいくつもの感情が入り混じった視線を感じたが目の前の戦いに集中することにする。

 

 翔太は水刃と水弾の等級のアップのためにこの戦闘を使おうと考えている。

まずスキルの等級を上げる前提として、スキルの連射ができるかを試してみる。 スキルの連射ができれば比較的スキルは上げやすくなるからだ。

 毒大蛇は紫色をした2m程もある毒々しい大蛇である。

 この一匹の毒大蛇に向けて翔太は水刃をその個数と威力を最大限制限し5発同時にスキルを発動させてみる。

 威力と個数の制限の仕方は簡単だ。身体から引き出す力の量を少なくすればよい。だが翔太の目の前の空中に出現した水の刃は一個だけだった。どうやらスキルの同時発動は無理らしい。

 次に水の刃を毒大蛇の1匹に放ち、すぐに新しい水の刃を作り出す。すると水の刃を放つと同時に新しい三日月状の水の刃が空中へスーと出現した。おそらく水の刃を放つ事でスキルの発動が終了すると認識されるらしい。

 要するに同時発動は無理だが、連射と同様の状況は造り出すことができる。これが判明した事は大きな前進である。

 放たれた水の刃は毒大蛇の尻尾を僅かに切り裂き地面に衝突し爆風を巻き起し毒大蛇を吹き飛ばす。毒大蛇はまだ死んではいないがもう虫の息になっている。


(この水の刃、威力が高すぎる。少々使い勝手が悪い)


 次の一撃もしっぽを狙い放つ。そしてまたスキルを発生させ尻尾狙って放つ。これを繰り返す。

 2発目の《水刃》の行使で翔太の身体の中に力の塊が発生する。おそらく《水刃》の等級が挙がったのだろう。4発目に放った《水刃》で毒大蛇は完全に息絶えた。


 翔太が一匹目の実験という名の蹂躙が終了し周囲を確認すると、残り5匹が翔太を取り囲んでいた。 


(ありゃ! 取り囲まれてるよ。なんとか毒大蛇と一対一の状況を作り出さなきゃね)


 翔太は脚に力を入れ木の枝の上に跳躍し木の枝を高速で移動しながら、一匹の毒大蛇に狙いを定めて《水の刃》を発動し放つ。

これを繰り返す。

 手加減のコツがわかって来たのか、はたまた等級が上がったせいか、最小限の力では地面を少し削るくらいに威力の制限が可能となっていた。

2匹目の毒大蛇は6発目の《水刃》で息絶える結果と相成った。そして再度、《水刃》の等級が挙がる感覚がする。


(え? もうスキル上がったの? まだ十数回しかスキル使用してないよ。等級が低いうちはスキルも上がりやすいとは思ってたけどさ。ここまでだと若干引く……)


 《水刃》の等級が4級――最上級まで上がったので次に《水弾》の等級を上げることにする。

 5級――伝説級は世界に数人しかいないとフィオンが言っていた。とすれば等級が4級――最上級から上は上がりにくいのは間違いない。それなら万遍なくすべてのスキルを上げた方が効率的というものだ。


 毒大蛇は2匹の仲間の大蛇が一方的に蹂躙されるのを見て四方八方に一目散に逃げ出していく。

 野生の本能で翔太のヤバさが嫌というほどわかったのだろう。このままでは逃げられる。毒大蛇にも適度な隙を与えるべきだろう。翔太は木の上から地面に降り立ち《水弾》を最小限の力で創り出す。翔太の目の前にサーカーボール程の透明の水の球体1個が出現する。それを逃げ出す1匹の毒大蛇に向けて撃つ。


 ヒュッ――


 水の球体は文字通り弾丸のように風を切って毒大蛇へ迫り毒大蛇の身体を打ち抜き爆散させる。鮮血が辺り一面に飛び散り真っ赤な花を咲かせる。


(ば、爆破したよ! このスキルも威力が高すぎる? でも等級が高くなるほど制御がつくようになるらしいしそれに期待)


 仲間の毒大蛇の破裂により逃げることもかなわないと悟ったのだろう。他の3匹の毒大蛇は翔太に向き合い、一斉に顎の関節を外し大きな口を開けて、緑色の毒々しい息を翔太に対して吐いてくる。

 翔太は地面を蹴り高速でバックスステップしてこの吐息を避ける。


(っ! これが毒大蛇の持つスキル《毒吐息》ね。

 力が湧き上がり身体が作り変えられる感覚。こんなユニークスキルみたいなのもラーニングできるのか。

 でもさ。まさかこれ僕も使うとき顎外れるの? そんなのやだな……使うのが怖いよ)


 水の球体をまた一つ作りだし毒大蛇の長い尻尾の先へ狙い撃ちぬく。尻尾の先だけが破裂し、スキル《水弾》の等級が上昇する感覚がする。


(よし、これなら殺さないでスキルを上げられる)


 それから水の球体を作りそれを毒大蛇の尻尾に当てるという作業を繰り返す。

毒大蛇を尻尾の先から頭まで少しずつぶつけて破裂させていく。ターゲットの1匹が絶命するまで、6発を撃つことができた。その結果《水弾》の等級がまた一つ上がる。残りの1つにも同じように7発を撃ち殺す。《水弾》の等級がまた一つ上がった。

 翔太は顔をわずかに顰める。


(魔物といってもいたぶって殺すみたいでこのスキル上げ正直気持ちが悪いや。何も感じなくなっていきそうで怖いんだ。魔物に当てなくてもスキルが上がるならそれが一番いいんだけどさ。今更確認しようがないし。今日はもうスキル上げしなくてもいいよね)


 最後の毒大蛇に《水弾》を衝突させ大蛇の身体を爆砕させる。毒大蛇の血肉が真紅の花びらの様に舞い散るのを無感動に翔太は見ていた。

 

 翔太担当の戦闘が終了したのでポッケトからギルドカードを取り出す。


(スキル等級上昇の際の負荷はスキルラーニングや、レべルアップの際の負荷みたいな激しいものではないみたい。僅かに身体の中に何かが発生した程度のものだし。もっともスキルの等級が低いせいかもしれないけどね)



―――――――――――――――――――――――――――――――――――

スキル

《水刃(第4級)》   0/16

《水弾(第4級)》   2/16

《水耐性(第2級)》   0/4

《毒吐息(第1級)》   0/2


 EV:《水刃》と《水弾》がスキル進化の条件を満たしました。実行いたしますか?


<YES>  or <NO>


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(え…………? またまた、わけのわからない事が起こった。もう頭がパンクしそうだよ。《水刃》と《水弾》がスキル進化の条件を満たした? 実行するかと聞かれても……ものはためし。とりあえず実行してみる?)


 翔太はYESをタップする。すると翔太の身体の中で強烈な力が発生しのたうち回る。


(ぐっ! か、身体が……。これ……スキルラーニングや……レベルアップの際の……負荷以上かも……)


 翔太は身体の中から無尽蔵に湧き出る力に耐えつつギルドカードをさらに確認する。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――

スキル

《水龍(第1級)》    0/2

《水耐性(第2級)》   0/4

《毒吐息(第1級)》   0/2

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(《水刃》と《水弾》が消えて、《水龍》になった。《水龍》に進化したという事だよね? 

 進化条件って何? 今のところ考えられる進化条件は2つの同系統のスキルがあってかつ、両方のスキルが一定以上の等級になったときと考えて良いのかな? 駄目だね。まだこれだけではあまりに情報が不足している。証明不能だよ。とりあえず、今回獲得したスキルの詳細を見てみよう)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

スキル

『水龍(第1級)』

■説明:水の龍が一定範囲の敵全てを喰らい尽くす。

※水龍は敵を喰らい尽くすか敵に消滅されるまで消えない。

■必要使用回数: 0/2

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

スキル

『毒吐息(第1級)』

■説明:毒の吐息を相手方へ吹きかける。

■必要使用回数: 0/2

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(《水龍》、かなり強力みたいだね。だいたい※の『敵を喰らい尽くすか敵に消滅されるまで消えない』って……簡単な自動追尾機能って事じゃないの? どこまでチートなのさ)


 自分の進化させたスキルに少々自嘲気味になりつつも、フィオンとレイナの下に歩いていく。

 今回はディートがうまくレイナをフォローしてくれたらしく、翔太がレイナに近づく頃にはビックベアーはすべて倒されていた。翔太は御礼の変わりにディートの頭を軽く撫でた。ディートは気持ちよさそうに甘えた声を出す。

 翔太はレイナに『怪我はない?』と尋ねたが、そっけなく頷くだけで何も答えてはくれない。『頷いてくれただけでもましか』などと思いながらフィオンの指示により再び歩き始める。




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