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僕と俺の異世界漫遊記  作者: P・W
第二部 建国と変貌編
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第175話 大戦の契機 深淵の偉大なるもの

 深淵の偉大なるものは巨大な空虚な部屋の一室の玉座から身を乗り出して、目の前の風景を凝視していた。

 

「四界の東の空席が……埋まった」


 深淵の偉大なるものに今までのような狂喜はない。深淵の偉大なるものにとって田宮翔太は今まで三竦みを終わらせる単なる駒にすぎなかったはずだ。真理(トゥルース)の裏をかく傀儡にすぎなかったはずだ。

 それなのに種子が発芽し生まれたのは想像を絶する怪物だった。

 まず奴のステータス。才能値が二万近くあったのだ。才能一万の壁は四界の一角を統べるための前提条件、だから発芽すれば一万を超えるであろうことは想像していた。それが二万? 冗談じゃない。既に才能だけなら深淵の偉大なるものさえ超えている。下手をすればあの憎たらしい混沌(カオス)にすら匹敵しているかもしれない。

 さらにその才能さえ霞むような奇跡。それはあの田宮翔太の発動したスキル。それが奴の種子が目覚めた瞬間、まるで今まで覆っていた霧が取り払われるかのように、奴のスキル欄に二つのスキルが生じる。

《万物破壊》と《万物変換》。思わず目を疑った。最強系スキル――万物系。この世とあの世の(ことわり)さえも捻じ曲げる最強にして最凶の奇跡。四界の王とて所有するのが許されたのはたった一つのみとされる最大禁技。それが二つだ。

 万物系を持つ、四界の王にナイアーテップごときが太刀打ちできるはずもない。

 散々なぶられた挙句、奴の《万物破壊》により、ステータスはゴミ虫以下のものとなる。おまけに深淵級(アビス)のスキル《精神支配》により奴に精神支配され、あろうことか深淵の偉大なるものの情報を奴に与えようとした。すんでのところで、ナイアーテップは始末し得たが、一歩でも遅ければ奴に深淵の偉大なるものの情報は筒抜けになっていた。

 さらに《神眼解析》による追跡は続けるも、奴が作り出す出鱈目な魔道具(マジックアイテム)により、逆探知されそうになり、大慌てで接続を切ったところだ。

 《神眼解析》による解析では種子を発芽する直前の奴の才能はナイアーテップと同じ四千、スキルもほとんどが固有(ユニーク)であり、僅かに超越(トランセンデンス)がある。こんな状態だったはずだ。

 種子が発芽したからといってスキルまで進化するわけではない。つまり、このスキル群は元々奴が有していたもの。

 あの不自然に靄が晴れるかのようなステータスの出現。十中八九、田宮翔太のステータスには外部からの解析系のブラフ情報を与えるスキルでも用いられていた。奴と奴の配下が自然に解析スキルを用いていたことから察するに奴とその眷属以外の全てに効果がある誤認情報付加のスキルのはずだ。

そして、これはこの深淵の偉大なるものが謀れていたことを意味する。

しかし――いつからだ? いつから《神眼解析》にノイズが混じっていた? 

 田宮翔太がこの世界に来たときからだろうか? いや、当初は《神眼解析》の解析に不自然なところはなかった。思い当るのは一つ、グラシルとかいう猿共の街で種子が目覚めかけたとき、あのとき第三者の介入があったとみるべきだろう。そしてその第三者はこの場合一柱(ひとり)しかありえない。

 要するに――深淵の偉大なるものは嵌められたのだ。


混沌(カオス)ぅぅ!!」


 怒気を籠めた声を口から絞り出す。

 一寸の隙もなく描いたはずのゲームメイク。それがここにきて根底から覆された。

 この度生まれたのは真の怪物。あの真なる怪物と正面からドンパチできるのは混沌(カオス)くらいだろう。

 すでに事態は動きだしてしまった。四界の最後の空席が埋まった以上、真理(トゥルース)も確定的にこの世界の存在に気付いた。そして混沌(カオス)もとっくの昔に気付いている。

 真理(トゥルース)も次期にこの世界に十二神祖と、最終兵器(あのおとこ)を送り込んで来る。最終兵器(あのおとこ)の純粋な戦闘能力は目算で真理(トゥルース)をも超える。

既にこの世界の存在に気付いていた混沌(カオス)も虎視眈々とこの世界に対する侵攻を開始しているはずだ。

 つまり、本当の意味で大戦がはじまるんだ。過去に『神界』であった茶番(ラグナロク)などが御遊戯に思える程の大きな戦争が――。

 ストーリーを組み立て直さなければならない。今度こそ盤石で確実なストーリーを。

 ここから先は紡ぐストーリーに少しでも綻びがあれば深淵の偉大なるものとていとも簡単に滅び去る。そんな真の意味でのデスゲーム。

 面白い! ゲームはこうでなくてはならない。勝利は困難なほど、手に入れたときの喜びは大きくなる。


「戦争だ」


 深淵の偉大なるものは玉座から立ち上がり、両手を広げ宣言する。

 異形の超越者達が一斉に跪き、新たな舞台の幕はゆっくり上がって行く。


 ここまでお読みいただきありがとうございます。

 これで二部がようやく終了です。やっと終わり正直ほっと一息ついています。

 三部で地球の翔太の同級生達召喚組がようやく登場します。ラスボス的存在に至ってから翔太と日葵達や柚木達と再会します。さらには魔族の勢力も。

 そして深淵、混沌、真理等の他の三大勢力も着々とこのアースガズル大陸で動きを活発にしていきます。

 ヴァージルとオットー、さらにレイナも登場します。ちなみにプロットでは三部のヒロインは同級生やレイナがメインとなりますで若いです。


 それでは、三部でお会いできるのを楽しみにしております。

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