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第1話 黑刀(こくとう)の悪役貴族

 黑色こくしょくが好きだ。


 ダークヒーローみたいでカッコいいし、影の実力者になった気分に浸れる。


 髑髏しゃれこうべみたいな人相にもなれる気がするからだ。


 花林糖かりんとうが好き過ぎるくらいに好きだ。黒色だから。それに甘い……いっきに食べ過ぎてしまい、喉を詰まらせて呆気なく俺は死んでしまったようだ。


 ……なんと情けないことか。だが、そこもご愛嬌。チャーミングではなかろうか?

 

 悔いのない楽しい人生だったので、前世はこれで良し。


「ふむ。というわけで、唐突に前世を思い出し、思い出に浸っていたのだが。今の俺の名前は、リーン・シュラハン。公爵家の悪童……か」

「どうされました?リーン様」


 俺の目の前には、金髪で巨乳な幼さが少し残る美少女メイドが、不思議そうな顔で俺を心配そうに見つめている。ふむ、美しい美少女だ。ぜひ、とも俺のものになってくれと叫びたい……が、がだ。


 このメイド美少女。どこかで見たことあるぞ。思い出せ、我が至宝の頭脳(気のせい)”リーンブレイン”よ。


 この女が誰なのか思い出せっ!


「…………あっ! 君はユリセントさんか」

「へ?……は、はい。私はリーン様《《専用メイド》》のユリセントです。夜も一緒に添い寝してあげましょうか?」

「いや、それは拒否しよう……」

「むっ! なんで拒否するんですか?……リーン様の意地悪。シクシク……」


 ……誰にでも分かるような。泣いたふりは止めてほしいものだな。


 ふむ。この娘は、あれだ。生前、死ぬ前にプレイしていた十八禁ゲー『ダーク・イリュージョンエローライフ』の登場キャラだな。しかもヒロインの1人ときている。


 名前をたしか、ユリセント・カフェテリアだったな。


 シナリオでは、残虐非道な悪役の俺を裏切って、主人公達の味方になるキャラだったか。


「ふむ。……今の俺の年齢は、12歳。3年後に主人公に会い、敗北し、悪役行動を本格的に始めるまで時間の猶予はあるのか」

「……リーン様。お疲れみたいですね。ベッドの上でお眠しますか? 私が添い寝してあげますよ」

「いや、断固拒否させてもらおう。ユリセントさん」

「チェ~!」


 明らかにふて腐れている……たしか、ユリセントが悪役《俺》を裏切る理由は。


 幼馴染みの俺に振り向いてもらえなかった仕返しが原因だったか。


 そんな阿呆あほうな理由で裏切られてたくないものだ。ユリセントさんのフラグ管理もしっかり行わなくてはな。


 いや、でも……実際、ユリセントさんは美少女だ。なんなら、俺の好みのどストライクでもある。


「……………ふむ」

「?……な、何ですか? リーン様! さっきまであれだけ私の誘惑に乗らなかったのに、いきなり手のひらのお返しですか? も、もう、今日は駄目です。私へのアプローチは、明日からにして下さいね」

「……………うむ」


 首まで伸びた金髪をクルクルと巻きながら、ドキドキしているようだな。分かりやすい女の子だな。ユリセントさんは……まぁ、ユリセントさんとの、これからのあれやこれやからの裏切り阻止対策は明日からやっていけばいいか。


「今はそれよりも……」

「……それよりも?」

「悪役なんて止めだな。止め……俺は、悪役行動なんて止めて好きに生きる」

「……は、はぁ、そうなんですか」

「あぁ、そうなんだ。ユリセントさん……そうだな。まずは黑色を……このエロゲー世界の魔法やアレやコレやを極めようか」

「黑色?……ですか? ???」

「そう。俺の一番好きな色だな。まずはそれを極めよう。なんたって、ここは剣と魔法のファンタジー世界なのだからな。フハハハハ!!」


 あぁ、ちなみにこの世界は、一部の異常者を除いた男は女性に全く興味が無く、不能に近いためあまり立たない。男女の貞操概念が少し可笑しくて、ちょっとダークでエロゲー世界だったりする。


 いや、俺は普通に立つが……まったく。変な世界に産まれ落ちてしまったものだ。


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