7.ヒロインも転生者!?
………町へ行きたいなあ。
前世では普通に行っていた町へ、あまり行けなくなってしまった。
叔父様に頼んでみたら、みんなで行くことになった。
「町なんて久しぶりだな…」
と叔父様が呟いた。
まあ、最近は忙しかったからだろう。お義兄様も、キョロキョロしている。
……………それにしても、すごく注目されている気がする。
その理由は多分、私達が家族に見えない&目立つからだろう。
両方、容姿のせいだ。
叔父様は高身長ですらっとしているが、元騎士なので筋肉ムキムキだ。
髪は癖っ毛な茶髪、目の色は琥珀色で、顔つきは美形で情熱的な人の顔だ。
お姉様はお父様譲りで身長は少し高めで、体型もすらっとしていて胸は小さい。
髪もお父様譲りの黒髪ストレートのロング。目の色はお母様譲りの紫色。
顔つきはお父様譲りでツリ目など少しきつい印象を受けるが、すごく綺麗で美形だ。
お義兄様は身長は少し高めで特に特徴のない黒髪、目の色も黒色で、顔つきはお人形のように整っている。
あと魔性の魅力がすごく、老若男女が見惚れ、目があった者の大概が恋に落ちる。笑顔などを見た人や話した人は、失神してしまう。
私はお母様譲りで少し低身長で、体型はすらっとしているが胸は結構大きい。
髪もお母様譲りで、ゆるくウェーブがかかった金髪ロング、目の色はお父様譲りの金色。
顔つきはお母様譲りで、自分で言うのもだが、かなり可愛い(笑)
全員まっったく似ていない。そしてお義兄様が1番注目されて、町の人を恋に落としまくっている(笑)
あと、勘づいている方もいるかもしれないが私の髪色は、、、ヒロインと被っている!!
ヒロインは、金髪でピンク色の目なのだ。なぜ被るのだ!運営め!
まあ、こんなふうに注目されながら町を見てまわっていたら、なんと、ヒロインを発見した。
ヒロインの実家はパン屋だ。
あれ?パン屋だー、なんて感じで見ていたら中からヒロインが出てきて、びっくりしすぎて尻もちをつきそうになった。
お義兄様がとっさに支えてくれたおかげで尻もちをつかずにすんだ。よかった。
するとパン屋に気付いた叔父様が入るか、と言いだし、入ることになってしまった。
私が震えているのに気付いたお義兄様が手を繋いでくれて、私はなんとか平常心を保ってパン屋に入った。
私達が入ってきたことに気付いたヒロインがいらっしゃいませ!と言いながらこちらに振り向き私達を見て、固まった。
私はその態度に違和感を覚えた。私達を見たところで、固まる要素はないからだ。
見た感じ、お義兄様の魅力にあてられたわけでもなさそうだし。
その後、やっと動き出したヒロインは、私とお義兄様を見比べていた。
3人はそんな私達の様子には気付いておらず、叔父様とお姉様はもうパン選びを開始して、お義兄様は一歩も動かない私と手を繋いだままなので、パンを眺めている。
私とヒロインの目が合う。ヒロインの目が、鋭くなった。
もしかして、ヒロインも………
ヒロインがこちらへ歩いて来て、耳元で囁いた。
「どうして悪役令嬢の『妹』が、攻略対象と手を繋いでいるんでしょうねぇ?(笑)」
その瞬間、私はバッとお義兄様の手を振り切り、パン屋の外へ飛び出してがむしゃらに走った。とにかく怖かった。
元々、ヒロインと会ったらこの幸せが壊れるのではないかと、すごく怖かった。今、それが一気に強まり恐怖に変わった。
ひたすら走った。気付いたときには知らない路地にいた。
ズルズルとその場へへたり込み、恐怖と疲れでしばらく放心状態になっていると、お義兄様が来た。
「マリン!急にどうしたんだ……って顔真っ青だぞ!大丈夫か!?」
と言われたが恐怖で震え答えられず、座ったまま力の入らない腕でお義兄様に抱きついた。
ブルブルと震えているとお義兄様がしゃがみ込み抱きしめ、
「大丈夫。大丈夫だ。」
と頭を撫でてくれた。すると安心して思わず泣いてしまった。
お義兄様は私が落ち着くまでずっとそうしてくれた。
その後、叔父様達と合流して知ったのだが、みんながすぐに追ってこれなかったのは私のせいらしい。
ほとんど無意識で走っていた私は魔力制御が甘くなり、猛吹雪を巻き起こしながら走っていたらしいのだ。
そしてお義兄様も私が心配なあまり魔力のコントロールが出来なくなり、吹雪を飛ばす為に起こした風が竜巻となり、叔父様とお姉様は追ってこれなかったらしいのだ。
そのことを初めて知り、驚いた。
家へ帰ってきて今日起こったことを整理し、やっぱりヒロインも転生者なのだと確信した。
(あの人、性格悪そうだったな…………)
中々寝付けないので庭へ出てそんなことを考えていたら、お義兄様が来た。
「大丈夫か?」
と聞かれたので作り笑いを浮かべ
「もうだいじょうぶです。」
と答えるとお義兄様が私を引き寄せ、頭を撫でてくれた。なんだかすごく安心した。
«リアン視点»
義父様と義姉様がパン屋ヘ入っていくなかマリンだけ入らず、なぜか震えていた。
何かに怯えているようだったので手を繋ぐと、潤んだ瞳で上目遣いに見上げてきた。
うっ……………可愛い……
そんなことを考えながら人生初のパン屋へ入った。キョロキョロとパンを眺めていると急に手を振りほどかれ、振り返ると猛吹雪を起こしながら走って行く姿が見えた。
すぐに追おうとしたが猛吹雪のせいで進めず風魔法を使ったらマリンが心配なあまり魔法のコントロールが出来なくなり、竜巻になってしまった。
それでも追いかけたら、狭い路地で座り込んでいた。
声をかけると真っ青な顔をしながら震える手で抱きついてきた。
抱きしめると泣き出してしまった。
なだめた後義父様と義姉様と合流し、マリンはそこで初めて魔法の暴走に気付いたようだった。
家に帰った後寝付けず庭ヘ出ると、マリンを見つけた。
そこでしばらく会話し、マリンの心の底からの笑顔を見たとき、自分の気持ちに嘘はつけないと実感した。
…ああ、俺は、あのときからずっと、マリンのことが---------




