28話:吉川君の相談事2
久保が家賃いくらと聞くと築35年、駐車場なしで12万円で3DKと答え
、高いなと言うと温泉の使用権と管理料が高いと言った。それでも、
そのマンションは源泉を使っていて以前、購入検討したいというと温泉に
入れさせてもらったが非常に良かったと話した。
新横浜から新幹線で18分と近く回数券買えば運賃も意外に安いと言った。
来客用に1室用意できるから遊びに来いと言ってくれた。どうせ、俺に話す
と言うことは、もう決めてるんだろと久保が吉川君に聞くと、さすが察しが
良いと笑いながら言うと、付き合いが長いから、直ぐわかるよと言った。
でも今日呼び出したのは、それだけじゃないだろと久保が聞くと、実は
そうなんだと困った様な顔で言った。なんだよ、もったいぶらずに言えよと
久保が吉川君に言った。それはな、もし、おれが女房より先に死んだ時、
女房には友人がいないんだ。彼女は北関東出身で実家には既に知り合いが
いなくて帰れないらしい。親しくしてた人達は全員都会に出て来て付き合いは、
ほとんどないし自分達だけ生きて行くので精一杯らしいと言った。
そこでだ、もし俺が死んだら、あと、久保、お前に世話になりたいと、
ズバリ言った。子供さんがいるだろうというと子供は女の子で上智大学出て
大手商社に入りアメリカに赴任中にアメリカ人と結婚して投資で成功して
ニューヨークの富裕層の仲間入りして以来、日本には帰ってこないと言った。
最近は連絡もなくなったと寂しそうに言った。
人間は金が入ると、その魔力で優しさというものをなくすようだと笑い
ながら言った。それで俺にどうしろと聞くと吉川君が遺言で財産を渡すと
書き、その時には相談にのってやってくれと言った。今でも、相談に
のってるだろ強く言うと、確かにそうだがと言い、でもと言い、口ごもった。
第一、俺は金で動く人間じゃない、嫌なことは嫌、良い事は良い、と言う
人間だと言うことを、お前も知ってるだと声を荒げた。すると、吉川君が、
そんなつもりで言ったんじゃない、俺としては、自分が死んだ後、女房が
心配なだけだと言い返した。わかったよ、お前の気持ちは良くわかるよ、
好きなようにしろ、俺は、お前の奥さんの相談にのることだけは約束すると、
久保は吉川に答えた。
すると吉川は悪いなと頭を下げた。それより死んだ後の話ばかりじゃなくて、
熱海に引っ越したら、引越祝い持って行くから連絡しろと、久保が笑いながら
言った。わかった、ありがとうと吉川が久保に言った。これで気が楽になった
と吉川が笑った。これで話は終わりだなと久保が言い、ビールを飲んでカラオケ
で、パーッと歌いたくなったと言うと吉川が付き合うよと言って店の精算を
してくれた。
その後、新横浜のカラオケに入って昔の流行歌を久保が楽しそうに歌い
ビールを飲んで中学時代、久保が吉川君と出会った頃、随分、口論して
喧嘩した話や彼女の話を懐かしそうに話した。帰り際に、久保が酔った勢い
で吉川、昔の元気の会った頃を思い出せ、しょぼたれた顔は見たくないと
久保が言うと、吉川が笑いながらそーだなーと言った。そして久保が
精算して店を出て別れた。




