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第7話 選別の基準

 該当プレイヤーの抽出は、完了していた。


「対象、計二十三名です」


 オペレーターの報告に、

 マアトは画面へ視線を向ける。


 転送異常の発生ログ。

 そこに紐づくプレイヤーリスト。


 数は多くない。


 だが――一人ではない。


「発生回数の内訳を」


「一回のみが大半です。複数回は……三名」


 表示が切り替わる。


 該当三名のログ。


 いずれも、

 同様の異常を複数回経験している。


「共通点は?」


「現時点では確認できません。プレイ時間、装備、スキル構成、いずれも一致していません」


 想定通り。


 特定の条件には依存していない。


「戦闘ログを表示して」


「了解」


 即座に別ウィンドウが展開される。


 三名の戦闘履歴。


 数値が並ぶ。


 ダメージ量。

 回避率。

 反応時間。


 どれも平均以上。


 ただ――突出しているわけではない。


 マアトは静かに視線を動かす。


 この段階では、まだ判断材料として弱い。


「時系列を同期して」


「同期します」


 同一タイミングのログへ切り替わる。


 異常発生前後の戦闘。


 そこに――


 一人だけ、

 既に目を付けていた挙動と一致する。


 マアトの視線が、わずかに止まる。


「……この数値」


「反応速度が急激に上昇しています」


 オペレーターが補足する。


 該当プレイヤー――ネメシ。


 やはり、という確信が静かに積み上がる。


 異常発生の前後で、

 明確な変化がある。


「他の二名は」


「変化は見られません。誤差範囲内です」


 比較結果は明白だった。


 異常に遭遇しただけでは、

 変化は起きない。


 だが――


「……このプレイヤーだけ、反応していますね」


 マアトは小さく言う。


 断定ではない。

 だが、否定もしない。


「継続性は」


「確認できます。以降の戦闘でも同様の傾向です」


 単発ではない。


 再現されている。


「偶然とは考えにくいですね」


 静かな結論。


 数値として成立している以上、

 これは“現象”。


「対象を絞ります」


 声のトーンは変わらない。


 だが、判断は確定していた。


「ネメシを優先対象に設定してください」


「了解。フラグ付与します」


 処理が走る。


 リストから、

 他の名前が外れる。


 残るのは一つ。


 ネメシ。


 マアトはそのログを見つめたまま、

 わずかに目を細めた。


 理由はまだ不明。


 だが結果は明確。


 選ばれているのではない。


 ――適合している。

第7話までお読みいただきありがとうございます。


変化は一様ではなく、

わずかな揺らぎを伴っています。


その不安定さも含めて、

今後に繋がっていきます。

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