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すれ違いの中でも、ボクはキミを見つけに行く〜自分の為に嘘をつく詐欺(ペテン)師達は〜  作者: 華御羅


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10/15

8 過去

これで10作品目となります……。いつの間にか飛鳥の話じゃなく仁ノの話になってる気が……。とりあえずもう少し優衣たちの話になります。

「アタシね、ずっと優衣の事が好きなんだ」


 しばらくしてから、飛鳥ちゃんに言う。


「やっぱり? 見た時からそんな気がしたんだよね〜」


 アタシにメイクをしながら、優しく笑ってくれた。

 ウィッグを付けるのが面倒くさくなったのか、今もショートカットの飛鳥ちゃんだ。


「……なんで、アタシの事を助けてくれようとしたの?」

「え?うーん……そうだなぁ」


 上を向いて悩みながら、下にあるメイク道具を取り出す。


「オレみたいな苦しい道を、歩いてほしくなかったから、かな」

「苦しい……?」


 上を見上げる飛鳥ちゃんは、どこか悲しげで、しんどそうで、辛そうだった。


「うん。オレ中学の頃、スカートをはいて学校行ったら……いじめられてね」


 あははと乾いた笑い声をあげて、また微笑む。



 なんで、飛鳥ちゃんは笑っていられるの……?



 『いじめられた』そんなこと、笑って飛ばせるようなことじゃない。


「そんなことより、仁ノちゃんはなんで本当の自分を隠そうとしたの?」

「……それは……」


 飛鳥ちゃんに説明しながら、アタシも記憶の中へと潜り込んでいく。





 遡ること3年前





 アタシがこの感情を持つようになったのは中学1年生の文化祭。




「……女装コンテスト?」




 人生初めての文化祭で訳の分からないことをしないといけないんだよ。

 あー、面倒くせ〜。なんで俺が女装コンテストに出るんだ……。

 いやいや言ってたけど、優衣になだめられて結局出ることになってしまった。


「仕方ないでしょ〜。この学年で一番可愛い男の子、仁ノしかいないんだから」

「俺様を可愛いとか言うんじゃねえ!」




 俺はこの中学……いや日本全国のなかで一番強いヤンキーなんだよ!!!




 『そう。そうだ。あの時のアタシはオラオラ系のヤンキー男子だったんだ。髪も今より長くって、本当にパッと見怖い感じだったんだ』


「絶対嫌だー!!!」


 そして迎えた文化祭当日。


「うぅ……なんで俺がめーど服なんかを着ないといけないんだよ……!」


 ……でも、変にしっくりくるな……。こういうのも、ありかもしれねぇ。

  って、何思ってるんだ俺!変なキモいやつじゃねえか!




「…………可愛い……」




 鏡の前にいる俺は、いつもみたいに長い髪じゃなくて、下でお団子……なんていう名前かは知らないが、とりあえずそんな感じの髪型だ。


 慣れないフリフリのスカートに、レースの髪飾り?帽子?でも、それが別に嫌じゃなかった。



 ……むしろ……。こっちの方が……。



 だーかーらー! ただの変なキモいやつじゃんって!

 ……俺、どうかしちまったのかよ……。


「あ、アタシ……」




 鏡の前で両手ハートを作ってみる。




 やっぱり、全然嫌じゃない。




「仁ノー? どうかした〜?」


 外で待っていた優衣が更衣室に入ってきた。


「うぉ! な、なんでもねぇ!」


 あっぶね……。バレたら引かれるだろ……。危ねー。マジで危なかった……。

 ハートのポーズをしていたことをバレないように、両手を後ろに隠して目を泳がす。


「って、可愛い! ノーメイクでそれは完璧すぎるって!」


 ノーメイク……、じゃあメイクをすれば……。

 もう一回鏡に視線を落として自分と向き合う。

 





 もっと可愛くなれるってことか……?






 今の俺よりも、もっと……。


「仁ノ? どうしたの?」

「いやっ! なんでもねぇ!」


 『アタシ』も、アイドルみたいに可愛くなりたい……。






「って言う感じかな」


 今振り返ってみると我ながら黒歴史……。


「すごっ! めっちゃかっこいいじゃん!」

「そ、そう?アタシにとってはただの黒歴史だよ」


 すごい褒めてくれるけど……、うちの学校がおかしいだけだよ。文化祭に女装コンテストなんて、馬鹿げてるね。


「優勝したの?」


 飛鳥ちゃんはキラキラした瞳で聞いてくるけど、アタシはあんまり嬉しくなかった。というか、恥ずかしい。




「え、あ、え、優勝して……、ま、魔法国男子コンテスト20XXに出場して…………、ぐ、グランプリはとった……」




 アタシは、女子コンテストの方に出てみたかったけど……。流石にね……。


「えっ!? 魔法国男子コンテスト20XXってあの!?」


 カラン


 飛鳥ちゃんが持っていたメイク道具が音を立てて落ちる。


「め、メイク道具大丈夫!?」


 落ちた音が大きくて、かがんで取ろうとした。

 そんな驚くことじゃないと思うけど……。


「あ、大丈夫。とりあえずメイク変になっちゃうから座っといて」

「え、あ、うん」



 アタシの声にハッとしたのか、申し訳なさそうにメイク道具を拾った。


「……仁ノ……仁ノ……仁ノ…………NINO!」


 何回アタシの名前を連呼するの!?


「もしかして仁ノちゃんNINO!?」

「う、うん……」


 『NINO』これはアタシのペンネーム的な名前。ゲーム配信とかそういう活動名のときに使うことが多い。


「超有名ゲーム配信者&魔法国男子コンテスト20XXグランプリをとってる……あのNINO……」


 衝撃的すぎたのか、2、3倍くらい大きな声でアタシのことを見た。

 アタシは学校に行ってない間、男の娘よりの男の子でゲーム配信をやってる。



 まあまあ人気……?のはず。




「すっごい!え!?そんなNINOにメイクできるなんて……オレもう一生誇りに持つよ!」

「ほ、誇りって、流石に言いすぎだよ……」


 褒められてちょっと恥ずかしいけど、悪い気はしないなぁ……。


「よし、あとはこれを被って」

「これって……」


 アタシの髪色と同じ青の……ウィッグ……。

 恐る恐るウィッグを受け取って、頭に被る。


「はい。これ、鏡」


 飛鳥ちゃんは、アタシの鏡を持ってきてくれた。


「これが……、アタシ……?」

仁ノの過去、そして今の仁ノのことを知っていただける話だと思いました。

10作品目というめでたい(?)節目ことで、これまで読んでくれた方々には心より感謝しています。正直、ここまでやってこれたのも、皆さんが読んでくれたからだと思っています。(私は完結までいっていない作品を終わりのように語っているのはなぜだ?)

次回もよければ見てください!

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2026/04/22 19:28 退会済み
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