『雷光のケモノ』 其の二
雷獣とは、落雷と共に現れるといわれる物の怪である。
その外見は、体長2尺前後(約60cm)、容姿は子犬又はタヌキに似ているとされ、長い二叉に分かれた尾を持ち、鋭い爪を有するケモノと言われているが、伝承によってはキツネやイタチ、ネコ等に似ているとされているモノもある。
激しい雷雨の日に雲に乗って空を飛び、地上に落ちると落雷をもたらす。
各種伝承に記録されている特徴などがハクビシンと共通することが多く、ハクビシンが雷獣の正体とする説がある。
「つまり、ハクビシンっぽいピリピリしているこの子は雷獣・・・と?」
「確かにこの子は、雷が落ちた後に見つけました。それで、怪我をしているようだったんで連れ帰って手当てしたんです。」
「それで・・・やーっぱり普通の小動物って感じじゃ無かったんで、香奈さんに相談しようかと。」
成程ね。
でも何か引っかかるなぁ・・・
私は腕を組み考え込む。
・・・
・・・
・・・
あれ?雷獣って激しい雷雨の日に出るんだよね?
この1週間程続いてる豪雨の原因ってもしかして・・・
「あの・・・ひょっとしてですけど、今続いてる豪雨ってこの子の所為なんじゃあ?」
(いや、この雷獣のチカラでは豪雨を降らせ続けることは出来まい。)
(まだ未熟・・・子供なのではないか?)
「雷獣の子供・・・か。」
・・・ん?
子供って事は当然・・・親が居るよねぇ
つまり、この豪雨の原因は・・・
「成程。謎は全て解けた!ってヤツだね。」
「え?え??何の事ですか?香奈さん。」
事情を分かっているかのんさん以外はハテナマークを・・・あ、千佳ちゃんもちょっと察したようね。
「かのんさんと・・・千佳ちゃんは察したようだけど、この豪雨の原因が分かったって事だね。」
「やっぱりこの子です?」
「まあ、豪雨を降らせてるのは違うんだけど、この子が原因でもあるね。」
「要は、この子の親の雷獣が、この子を探してこの辺に居るから豪雨が続いてるって事。」
「だから、その子を親に返せば晴れて太陽が拝めるって訳。」
(問題もあるがな。)
「ですね。」
そう、問題が少なくとも二つある。
一つは、依子ちゃんの問題。もう一つは親の雷獣の問題。
「ねぇ依子ちゃん。この子・・・親元に帰しちゃって良いんだよね?」
「へ?」
なんで?って顔をする依子ちゃん。
・・・やっぱり飼うつもりだったのかなぁ?
「そんなの当たり前じゃ無いですか。大体・・・」
(「「「大体??」」」)
「うちの寮ってペット禁止じゃないですか。」
そこかい!!
ってまあ、特例でーって出来ないこと無い立場だけどさ・・・流石に示しがつかないもんね。
にしても・・・案外ドライね。依子ちゃん。
「じゃあ、親元に帰すって事で。」
さて、残る問題は一つか・・・
「かのんさん。この子の親・・・ぜぇぇぇぇぇぇったい機嫌悪いですよねぇ?」
(・・・うむ。)
(寧ろ正気を失ってる可能性すらあるな。)
はぁ・・・コレは大変そうだ・・・
最悪の場合一戦交える羽目になるって訳ね。
何にしても、準備は必要ね。
やっぱり無難なのは、今着ている『ゴシックプリンセス』かなぁ?『魔術』なら雨でも何とかいけるし。『姫薙』の『符術』は水に弱いからねぇ・・・
でも、この服・・・水吸ったらすんごく重そう。
「香奈ちゃん。雨の戦闘を想定しているのならオススメのがあるよ?」
「あれ?そんな服あったの?」
「今持ってくるね。」
と言って、花子さんは奥の扉を『衣装部屋』に繋げる。
私用に手直しした服って、ゴシックプリンセスと姫薙とフォーチュナー位で後は外套とかだけだった気がするんだけど・・・
なーんて考えていると、花子さんはオススメの服とやらを持ってきた。
紺色のアレって・・・
「はい、香奈ちゃん。」
「・・・って!スク水なんて着れるかぁぁぁぁぁ!!」
ビシィィィィィ!
うん、全力でツッコミを入れたよ。多分、逆水平ってヤツで。
ちょっと涙目になってる花子さん。
だって、そのスク水・・・ゼッケンに『6の2 ももいかな』って書いてあるんだよ?
つうか、6年生だったら桃井香奈って漢字で書けるんじゃね?そうじゃね??
そんなの大学生にもなって着れるかぁぁぁぁぁぁぁ!!
はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・
・・・
・・・
・・・
「・・・花子さん、大丈夫?」
「・・・大丈夫じゃ無い。」
「っていうか、切れ味良すぎだよ・・・ほんの冗談だったのに。」
「ごめんなさい。」
閑話休題。
「で、こっちが本当のヤツね。」
と言って透明なビニールぽい服?を渡される。
ああ、これ『レインコート』ね。
「ちなみに、この前の外套と同様に瘴気を内包しているから単純に火力アップにもなるよ。」
「かのんさん。いつの間に用意したんですか?」
(いやなに、この前の香織の一件でイロイロとあった方が良いだろうと思ってな。)
(他にも、私が昔使ってた服を香奈用に手直しをしている所だ。)
「ありがとう、かのんさん。」
かのんさんもこの間の一件での、私のチカラ不足をどうにか補おうとしてくれているみたい。
私もこの後のゴールデンウィーク辺りに考えていた事を実行しようと思っている。
ソレは兎も角。
今は雷獣の件だね。
私は早速レインコートを羽織る。
うん、この前の外套同様にチカラがみなぎるのを感じる。
準備完了だね。
(香奈。今回は私が共にゆこう。)
「わかりました。皆は店で留守番しててね。」
「依子ちゃん、雷獣を預かります。」
「・・・いえ、私も行かせてください。」
「駄目よ。危険だわ。」
依子ちゃんの決意に満ちた表情。この子を親元に帰す事にクールな対応って思ったけど、内心ではやっぱり・・・思うところがあったんだね。
「行かせてください。・・・いえ、行きます。」
「・・・そう、分かった。」
「でも、万が一戦闘になった場合は、かのんさんと一緒に避難する事。・・・いいかな?」
「はいっお願いします。」
依子ちゃんにもレインコートを貸して着て貰う。
危険を多少は減らせる上に雨も凌げる・・・筈。
「じゃあ、留守をお願いします。」
「いってらっしゃい。香奈ちゃん。」
私達は花子さんと千佳ちゃんを残して店を出た。
外は変わらずの豪雨そして雷。
「うん、機嫌・・・悪そうだね。」
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基本的に1週間に1回の更新になります。
次回更新は12月11日の14時30分頃になります。




