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『見るモノ』 其の八

「呼びましたか?かのんさん。」


私は、”切り裂いた空間”からひょいっと出る。

どんぴしゃでかのんさんの前だ。


(香奈!?お前、どうやって妖精の世界への入り口を作った!?)


「えっと〜それがですね・・・」


・・・

・・・

・・・



〜少し前〜



「任せましたよ、かのんさん」


っと、私はかのんさんを見送る。

さて、これからが問題。私は1時間でかのんさんが帰還できる方法を考えなければならない。

一応は、帰還用の符を渡してあるけど・・・向こうの世界で、こちらの世界の”座標”が認識できるか分からないからね。

まあ、かのんさんならトレントさんの所に出来た出入り口に帰ってこれると思うけど。

空間移動なら・・・やっぱり花子さんだよね。


「一旦、店に戻ります。」

「かのんさん達が戻るかもしれませんので、堂島刑事はここで待機していてください。」


「・・・了解です。」


やっぱり半信半疑な堂島刑事を残し、私は急いで店に戻った。


がちゃ


「ただいま、花子さん。」


「おかえりなさい、香奈ちゃん」


ドアを開け店に入ると、今どきの小学生風ファッションの花子さんに迎えられる。


「あれ?かのん様は??」


「ちょっと妖精の世界に行ってる。それで相談。」


「私に聞くって事は・・・まあ、大体想像はつくけど・・・」


「うん、かのんさんを連れ戻す方法を一緒に考えて欲しいんだ。」


「だよね。」


うーんと腕を組んで考える花子さん。

凄く可愛い。お持ち帰りしたいってココ私の家だわ。


「香奈ちゃん、真面目に考えてる?」


「勿論。」


「そうだね・・・空間に穴でも開けれれば、其処に繋ぐ事は出来るかもしれないかなぁ?」

「妖精の世界の座標が分かればって条件はあるけど。」


空間に穴って・・・座標は・・・穴を調べれば分かるかなぁ?

ああ、そうか、あの時の『付喪神』に調べてもらえば・・・夢とゲームの世界を繋げられる位だし。


「花子さん、あの時の付喪神は?」


「うん、いけそうだね。」


花子さんは店の奥から、古いゲーム機を持ってくる。

黒いボディに金色の文字が光る名機・・・らしい。


「さて・・・っと」


「えいっ」っと、私は気合を入れて、ゲーム機に『巫力』を注ぐ。

一応だけど、また繋げられると大変なので封印を施してあったのよね。


「こんにちは・・・えっと・・・付喪神さん?」


《む?お前は、あの時の聖乙女か。》


あーあの時、ラスボスだったコマンダーの人格なのね・・・


「あ、いや・・・聖乙女はちょっと・・・香奈でお願いします。」


《そうか、ならば俺の事は、ゼクスでいい。》


コマンダーってゼクスって名前だったんだ。

表示されていなかったから分からなかったよ・・・


《それで・・・だ。俺の封印を解いてまで何の用だ?》


「それがですね・・・」


私は経緯をゼクスさんに話す。

ゲーム機が頷きながら聞いている光景はちょっとシュール。


《話は理解した。》

《が、俺が協力すると思うのか?俺はお前達に封印されていたのだぞ?」


封印自体は華音さんが行った。元々は『黒歴史ノート』に憑いていた付喪神。

その付喪神をゲーム機に憑け、ご神体とし、ゆくゆくは神として華音さんの属神にするつもりだったみたい。

まあ、ちょ〜っと悪さが過ぎたから、しばらく封印して反省して貰ってから・・・って考えで。


「うーん、それは、ちょっとやりすぎだったから・・・みたいだよ?」


《しかし、お前達も楽しかっただろう?》


「うん、それは否定しない。」

「でも、あのままだったら香織ちゃんのお兄さん・・・直哉さんは、危なかったかもしれない。」


《・・・》

《・・・ならば、条件がある。》


「私にできる範囲なら・・・ね。」


《そこの厠神同様、俺も属神に加え、封印せずに自由にしてもらえないか?》


「自由・・・って言っても、私が外に出せる属神はせいぜい一人。普段はこの店の中だけって事になるけど?」


《構わん。》

《ならば、契約を。》


・・・

・・・

・・・


《・・・これで、俺はお前・・・いや、香奈様の属神だ。》

《何なりと、ご命令を。》


「いや・・・ご命令って・・・」

「で、では、コホン、妖精の世界とこの世界を繋ぐ術を。」


《了解した。》

《・・・まあ、何にしても、何処に妖精の世界があるのか調べねば分からんな》

《その・・・出入り口のある公園まで、連れて行ってもらおう。》


「・・・って事は、私はまたお留守番!?」


「ごめんね。花子さん。」


私が店の外に出せる属神はせいぜい一人。

さっきは、チカラを温存して花子さんを店に残したけど、ゼクスさんを連れて行くなら、やっぱり花子さんはお留守番。


「じゃあ、花子さん。行ってきます。」


「いってらっしゃ〜い。クスン」


私は黒いゲーム機を抱えて店を出て、再び公園へと向かった。






−−−−−−−−−−




基本的に1週間に1回の更新になります。

次回更新は 7月10日の14時30分頃になります。

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