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『見るモノ』 其の五

『トレント』又は『エント』日本では『木霊こだま

そう呼ばれる樹木の精霊。よくRPGに出てくる木のモンスターが出てくるが、ソレをイメージして貰うのが一番良いと思う。

基本的には、友好的。精霊に通じた者が話しかければ答えてくれる。

いまの私のように。


《お嬢さん。約束通り、私の知っている事は全て話そう。》


「それでは・・・え〜と、トレントさん。」

「この女の子に見覚えはありませんか?」


私はトレントさんに写真を見せる。


《ふむ、この少女なら毎朝其処の道を通る。》

《む?今日は通らなかったな。》


「そうですか、昨日は通りましたか?」


《ふむ・・・通ったと思う。しかし、霧が出ていたからな。完全にその少女かどうかは分からないな。》


「やはり昨日は霧でしたか。」

「うちの方も、もやってましたからね。」


うん、やっぱり条件は揃っている。

うちの店の方も霧が出ていたし、うちの店より少し高い位置だけど、霧は出ていたのね。


「では、もう一つ伺いますね。」

「光の輪・・・なんて見たことありませんか?」


《ああ、霧が出ると光の輪がクルクルと回りながら、私の近くを通って下の芝生を回って戻ってくるんだ。》


「昨日も見ましたね?」


《昨日も見たよ。やはり同じ様な感じだった。》


「ありがとう御座いました。」


『トレント』又は『エント』日本では『木霊こだま

そう呼ばれる樹木の精霊にはもう一つの特徴がある。

ソレは・・・


「トレントさん。もう一つお願いがあります。」


《なんだね?お嬢さん。》


「ちょっと、後ろを調べさせて下さい。」


《後ろ・・・かね?それはかまわないが・・・》


「では、失礼します。」


言って私はトレントさんの後ろに回る。

さて、どっこかなー♪


(香奈。『符術・導光』だ。)


おっととと、そうでした。

この衣装『姫薙ひめなぎ』は、『巫女』のチカラである『巫術』が使える。

『巫術』は精霊と会話しチカラを借りるだけではなく、『符術』という『符』を使った『術』も使える。

私は符とふでペンを取り出すと、さらさらと文字を綴る。

古来より文字にはチカラがあると言われている。

・・・まあ、その辺りは華音さんの受け売りだけど。

砕いて言えば、書き初めで信念の抱負を書くみたいな事。

改めて文字にすれば、やる気も出るってもんでしょ?

うん、そんな感じ。


「『導光』」


私がチカラを込めると符は反応する。

符より生まれた一欠片の光は、ふらふらと漂い、やがて吸い込まれるように”其処”に消えた。


「かのんさん。ありました。」


(うむ。)


「すみません。香奈様?何があったんですか?」


もはや喋る猫にもツッコミを入れない堂島刑事が尋ねる。

うん、堂島刑事すっかり空気だった。ごめんなさい。


「勿論・・・妖精の世界の入り口ですよ♪」


「・・・はあ。」


樹木の精霊のもう一つの特徴・・・それは、妖精の世界の入り口が出来やすい。と言う事。


《すまないが、状況が飲み込めないのだが?》


「あ。」


堂島刑事より、もっと状況が分からない方がいました。

・・・うん、なんの説明もしてなかったもんね。

私はトレントさんに経緯を説明する。


・・・

・・・

・・・


《ああ、漸くこの話もつながったよ。》

《お嬢さん。勿論私にも協力させて貰えるのかね?》


「はい。ありがとう御座います。」


さて、ここからが問題。

どうやって、妖精の世界から加瀬千佳ちゃんを連れ戻すのか。

入り口が見つかったので、行く事は出来る。でも、問題がある。


『妖精の世界は時の流れが違う。』


らしい。

私にしても、かのんさんにしても、行ったことが無いのでどうなっているか分からない。

早いのか?遅いのか?そしてそれはどの位??

もしかしたら、殆ど変わらないかもしれない。でも妖精の世界での時がとーってもゆっくり過ぎるのだとしたら・・・

・・・少しの間行っただけな筈なのに、私達も行方不明って事になっちゃう。


(やはり、私が行こう。)

(目印を付け、そちらで1時間が経過したら合図をしてくれ。)


「・・・分かりました。かのんさん、お願いします。」


(うむ。)


私は『符術』で符を作る。

さらさらさらっと♪


『目印』『1時間たいまー』


と書いた符と・・・


『帰還』


と書いた符だ。

華音さんもこんな感じで符を作ってたけど、私もこのノリで符を作る事になるとはね。

ちなみに、コレ。巫山戯てる訳じゃ無いですよ?

ほら、文字にはチカラがあるんです!

私はソレを巾着に入れて、かのんさんの首から下げる。


「かのんさん。”コチラの時間”で1時間後に自動的に目印を発する符と、かのんさんが念じれば帰還できる符を入れました。」

「1時間・・・いえ、2時間過ぎて帰還していなかったら、此方で何か対策を考えます。」


(うむ、見つけるにせよ、見つけられないにせよ、1時間後には帰還するさ。)


「・・・はい。お願いします。」


(では、行ってくる。)


ぴょーん。


っと、かのんさんは、穴っぽい妖精世界の入り口に飛び込む。


「任せましたよ。かのんさん。」






−−−−−−−−−−




基本的に1週間に1回の更新になります。

次回更新は 6月19日の14時30分頃になります。



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