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新星機動のアサルトフレーム―タケミカヅチ・クロニクル―  作者: 河原 机宏
第2章 始動、新生アマツ部隊

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アマギの艦長と副長②

「あなた方のIDに関して所属はサルベージャーから軍に変更可能な状態にしています。軍属になった場合の待遇や収入等に関する契約内容は個人用端末に送信済みですので確認をお願いします」


 アメリア副長から言われて端末を確認するといつの間にか軍属のあれこれのデータが送られていた。

 ざっと目を通しただけでもサルベージャーよりも破格の内容だ。収入は安定している上に生活の質が明らかに向上するレベルだしA(アサルト)F(フレーム)の管理費は当然のことながら一切かからない。

 戦闘による命の危険という事に関してもサルベージャーならばハイエナに狙われれば同じ事なので大きなデメリットと言うわけでもない。

 ほとんどがメリットだらけだ。定期的な健康診断など福利厚生が充実しているのもポイントが高い。


 本当にこれが正しい内容なのか半信半疑になる。サルベージャー組は皆同じ事を思ったのか顔を見合わせてしまう。

 するとバルトが皆の意見を代表して副長さんに質問した。


「あの……この契約内容は本当なんすか? サルベージャーのオレ達にとっちゃ破格もいいとこなんすけど……」

 

「本当です。軍属、それも戦艦のクルーとなればプライベートな時間がないも同然なのでこれぐらいの内容になります。それとパイロットの方々は別途危険手当もつきますので、それは後ほど説明します」


「……マジかよ」


 バルトは信じられないと言った表情で再び契約内容を見返していた。

 

「任務を終えた本艦は基地である『オノゴロ』に向けて移動しています。到着までは半日ほどかかる予定です。サルベージャーの方々はそれまでに契約内容を熟読して軍属となるか今まで通りの生活をするか考えておいてください。――わたしからは以上です」


 アメリア副長からの話が終わるとロイ艦長はほっとした様子を見せていた。さっきの副長さんからの追求が続かなかったので安心しているみたいだ。

 わざとらしく咳払いすると話の続きをする。


「とまあ、重要な話は副長からあった通りだ。先程戦闘を終えたばかりだし皆疲労が溜まっている事だと思う。休憩室を手配しておいたので『オノゴロ』に到着するまではそこで休んでくれ。もしも艦内の見学を希望するのであれば現状では格納庫ぐらいしか案内できない。その際はセルティ大尉に申し出てほしい。以上だ」


 ロイ艦長とアメリア副長に会釈して艦長室から出て行こうとすると、フィオナと爺ちゃんは別途話があるらしくデューイさんと一緒に残る事になった。恐らく僕たちの目的であった<イザナミ>破壊に関して詳しい話をするのだろう。

 僕も残ると言ったがフィオナが「大丈夫ですから」と言っていたし爺ちゃんもいるのでその場を後にした。


「それじゃあ休憩室に案内するから『オノゴロ』に到着するまではそこで休んでいるといいわ」


「あの、セルティさ……大尉」


「そんなにかしこまる事なんてないわよ。あたしは副長と違って堅苦しいのは嫌いだし好きなように呼ぶといいわ。――で、何か訊きたいことあるんでしょ?」

 

「いや、これから軍属になるんですし最低限規律は守るつもりです。それで本題なんですけどセルティ大尉、さっきからちょくちょく会話に出てきた『オノゴロ』ってどういう所なんですか? 基地だとはアメリア副長が言っていましたけど……」


「ふーん、もう腹を決めているって訳ね。それじゃ、あたしの新しい部下に特別に教えてあげる。『オノゴロ』はアマツ部隊を始めとする複数の部隊の軍事基地よ。基地自体はメガフロートになっていて海上を移動可能。元々は移民戦艦<ノア11>の兵器生産用工場ユニットだったらしいわ。それを改修して要塞化したってわけ」


「そんな基地があったなんて知りませんでした」


「そりゃあ、定期的に海上を移動しているしステルス機能で周囲から見つからないようにしてるからね。軍内部でも『オノゴロ』の正確な位置を知っている人間は一握りよ。それだけ重要な拠点ってこと。こんな感じの説明で良かった?」


「ありがとうございます。大体のイメージができました」


 軍事基地、要塞、ステルス機能、周囲から見えない……こんなキーワードが散りばめられた場所に興味が湧かない訳がない。

 こんなに凄い戦艦の基地でもあるのだし今まで見たことのないようなAFとか武器とか沢山あるんだろうなー。


「ふふふ、へへ……」


 思わず笑みがこぼれてしまう。そんな自分を見る周囲の目が痛い様な気がしたがそんな事はこの際どうでもいい。

 この後は休憩室で少し休んだら格納庫を見学しつつフィオナと爺ちゃんが戻ってくるのを待つことにしよう。


 ――でもフィオナと爺ちゃんと合流できたのは<アマギ>が『オノゴロ』に到着する直前だった。

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