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新星機動のアサルトフレーム―タケミカヅチ・クロニクル―  作者: 河原 机宏
第2章 始動、新生アマツ部隊

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それは少し先の決戦③

 クレスは岩塊にめり込んだ自機を脱出させると急加速で接近しつつカナタに問う。(ディバイン)粒子が物質化した刃とビーム刃による応酬を繰り返しながら二人の問答も続いた。


『フィオナ・トワイライトは我々にとっても大切な客人だ。こちらにいる限りは傷一つ付けさせはしないさ』


『それはあんた達がフィオナを利用しようとしているからだろ!』


『その通りだ。しかし、それによって彼女は永遠の命と圧倒的な力を手にする事になる。――では、君が彼女を助け出したとしてその後はどうするつもりだ。彼女の目的である<イザナミ>の破壊を実行するのか?』


『それがフィオナの望みなら僕はそれを尊重したい。僕たちの旅は彼女の依頼から始まったんだ。今でも彼女がそれを望んでいるのなら僕は全力でサポートする』


『その結果、君の主義に反する結末になったとしてもか?』


『フィオナの希望をねじ曲げてまで自分の主義を押し通すつもりはない! ――これでっ!!』


 大剣であるフツノミタマを巧みに操りカナタはクレスとの斬り合いを徐々に有利に運ぶ。

 状況を不利と考えたクレスは中距離からホーミングレーザーを発射するが、それは回避と切り払いによって無効化される。


『君と彼女が信頼し合った深い関係であることはよく分かった。これ以上とやかく言うのは無粋だな。――ならば後は戦うのみ!』


 近距離の兵装しかない<タケミカヅチ>と距離を取ったことでクレスは戦闘で消耗した集中力の回復を試みる。

 その一方でカナタはこの瞬間をチャンスと見て攻撃に転じようとしていた。


『それで離れたつもりか? そこはこっちの間合いだ! ――フォームⅡ、バスターブレードモード……いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』


 フツノミタマの切っ先から高出力のビーム砲が発射されると<ザッハーク>は紙一重で回避し直撃した岩盤は熱により一瞬で溶け落ちる。


『ビーム砲も兼ねているのか! 大した出力だが当たらなければどうと言うことはない』


『だったら当ててみせる!!』


 <タケミカヅチ>がフツノミタマの射線を横にずらしていくとビームは消えないまま岩盤を斬り裂き<ザッハーク>に向かっていく。


『なっ、ビームが消えないだと? ――まさかっ!?』


 ビームの奔流が<ザッハーク>に直撃する寸前、回避は不可能と判断したクレスは二つのビームカタールで受け止めた。

 

『やはり、これはビーム砲ではなくビームブレード……! これほどのロングレンジとは!!』


『最大時で約千メートルに達するビームの刃だ。いくらあんたでも初見なら砲撃と誤認すると思ったよ』


『私としたことが迂闊うかつだったということか……いや、違うな。君との戦いの駆け引きに負けた結果だ』


 クレスは防御しつつスラスターを全開にして耐えていたが、<タケミカヅチ>のバスターブレードに押し切られ硬い岩盤に叩きつけられる。

 そこに斬り崩された岩が大量に落下し周囲に土煙が広がっていく。


 カナタはフツノミタマをフォームⅠに戻すと機体のセンサーを最大にして<ザッハーク>の動きを警戒する。


『バスターブレードで無理矢理押し切ったけど今ので倒せたとは考えにくい。絶対にあいつは生きている』


 大量の土煙により視界が悪い状況でカナタの緊張感と集中力が高まっていく。

 その時、煙の一部が不自然に揺らめくと<ザッハーク>が出現し右肩部のホーミングレーザーを連射してきた。

 カナタはそれらを躱すことなくフツノミタマで切り払うと<ザッハーク>目がけて突進し斬撃をぶつけ合った。


『先程の一撃を受けた時はさすがにダメだと思ったが、何とか<ザッハーク>が耐えてくれた!』


『あの一瞬で回避を捨てて全てのエネルギーを防御に回すなんて、本当に恐ろしい判断力をしてるよ!』


 斬り結びながらカナタは<ザッハーク>の左半身がダメージを受けている事に気が付く。

 左肩部のホーミングレーザー発射装置は破損、左腕と左脚部は動きがぎこちない。それでも機体の戦闘力が低下したとは思えない動きでクレスは攻めてくる。

 

『そんな状態でよくやる!』


『まだ終わるわけにはいかない。こう見えても負けず嫌いでね!!』


 突如<ザッハーク>の出力が上昇し動きが更に速くなる。互角であった戦いの均衡が崩れ始めた時、カナタは敵機のリアクターが暴走状態だと悟った。


『これは……オーバーフローか! クレス、そんな状態でいたら数分と持たないぞ!!』


『……承知の上さ。今の君と互角以上に戦うにはこれぐらいする必要がある。例え自滅しようとも、その前に君に勝てれば本望だ!!』

 

 <ザッハーク>はあちこちから火花を散らせながらも圧倒的な動きで攻撃を続け、<タケミカヅチ>を追い詰めていく。

 その執念とも言える勝利への渇望を前にカナタは脱帽する。


『……本当に凄い奴だよ。でも僕もこんな所で負けていられないんだ!!』


『私は好敵手である君を倒したい。君はフィオナ・トワイライトを救い出したい。お互いに退けぬ理由がある。――であれば、勝敗を分けるのは想いが強い方ということになるかな!!』


 出力が向上したビームカタールの威力はフツノミタマと互角であり、流れるような斬撃が<タケミカヅチ>の装甲表面を抉っていく。

 クレスが自滅と引き換えに手に入れた力で勝利を確信した時、それは起こった。

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