交換条件
「……」
照の冷たい視線に私の体は強張った。
「……」
快く引き受けてくれるだろうと簡単に考えていたのが間違えだった。
照ちゃんを傷つけていた事を完璧に忘れていた私だ。思い出していないだけでもっとひどい事をいくつもしているかもしれない。
「なんてね。」
照はさっきまでの冷たい表情とは打って変わって、懐かしい笑顔を浮かべた。
「条件付きだけどいいよ。」
「じょ、条件?」
「そう。二つの条件。」
「わ、私にできることがあれば。」
「少しはましな返事になってるじゃん。」
「あ、ありがとう。」
照の表情を見ていると少しずつ照と遊んでいた時の事を思い出してきた。
みゆがいなくなった喪失感ばかりが記憶に残っていたが、照と遊んでいた日々も決して悪いものではなかった。
「一つは目はあの日の仕返し。」
「う、うん。」
何を言われも我慢しようと思ってここまで来たが、改めてそう言われると私なんかが埋め合わせ出来ないのではないかと急に不安になる。
「確認だけど、なんでもするんだよね。」
「大丈夫。」
「そう。」
照はその言葉を見て悪そうに微笑んだ。
私は再び覚悟を決めるために照の目をじっと見た。
「目、じっと見るね。」
「あ、ご、ごめん。」
「いや、謝る事じゃないけど。」
「そ、そっか。」
「大丈夫だよ。」
「え?」
「もう、仕返しは終わったから。」
「え?どういう事?まだ何も?」
「私の仕返しは、飛鳥に今度こそしっかりと私の絵を上手いって言わせること。
流れがあったとしてもうまいって言ってもらえなくて悔しかったんだよ。」
「ごめん。」
「謝らないで。私は気にしてないんだから。これであの話はおしまい。」
「でも、これだけじゃ。」
「仕方ない事だったんだよ。私は納得してるよ。それに利子も貰ったし。」
「利子?」
「意地悪言って困らせたでしょ。」
そういうと照は悪戯そうに笑った。




