夢中
「これ、どうしたの。」
「描いたんだ。」
「描いた?」
「うん。見てくれる。」
「見ていいの?」
「うん。」
あれは私だ。みゆと別れて徐々に生気がなくなりかけている私。
隣にいるのは誰だろう。
目元を隠すように伸ばした髪は真っ黒でしなやかだった。
思い出せそうで思い出せないのにやきもきしていた。
「どうだった?」
「うーん。」
髪の奥から不安そうな瞳が私に注がれている。
私はそれに気が付かないように悩み続けていた。
「ダメだったらいってね。」
私はその子の言葉に耳を傾けずにじっと見ている。
「『わかんない。』」
目の前にいる自分と今の自分が同時に口を開いた。
記憶が蘇ってくる。
私は八巻さん、いや、照ちゃんに嫉妬と恥ずかしさからそう言った。
「そっか。」
「あんまり絵とか詳しくないから。」
照ちゃんは自分の絵をカバンに入れつつ呟いた。
その表情があまりにも悲哀に満ちていた。
「そうだ、みんなに見せてみたら。」
本心から励ますために私はそう言った。
「でも、恥ずかしいし。」
「大丈夫だよ。見せてみようよ。」
「でも。」
「やってみないと分からないでしょ。」
「うん。そっか。そうだよね。」
一瞬、目の前が暗くなり、気が付くと私は教室にいた。
黒板には照ちゃんが見せてくれたイラストが張ってある。
その横にうまいと思う人、下手だと思う人と書かれておりそれぞれ正の字で投票がされている。
7人しか投票されていないがうまいが2人、下手が5人と倍近く話されている。
照ちゃんは俯いていている。
「友達としてはっきりしてあげなよ。」
私は手を震わせながら黒板の前に立っていた。
「もったいぶらずに早く」
「そうだよ、早く早く。」
囃し立てられるたびに頭がぼんやりとしてくる。
「早くやってよ。」
「何なら私が描いてあげるよ。」
そういうと、私の持っていたチョークを奪い取り。下手に一票投じた。
「はい。これで間違えないよね。」
「あ……え……」
私は言葉をうまく出せなかった。
「なに?違うの?」
「……えっと……」
「違うならはっきり言ってよ。」
「……ちがく……ない。」
「そうでしょ。しかも親友の言葉だからこれは一票分じゃないね。」
そういうとうまくないにどんどんと票を投じ始めてきた。
「はい。じゃあうまくないってことで決定です!!!」




