分からない
「あの……」
「昨日の話なんだけど……」
「話したいことが……」
「マジ。その話……」
「今、時間……」
「さっきのタケセンさー……」
気が付けば下校時間になっていた。
休み時間毎に私は照に話しかけに行ったがすべてかわされてしまった。
傍から見たら全く違和感のないような形でだったので特に回りも違和感を感じなかっただろう。
久々に来た学校で私はずっと心が削れている様な思いをしていた。
想像よりも皆が無反応な事は良かったが、たまにおせえっかいな対しても仲の良くない同級生が話しかけてきたり。無神経な教師が私の登校に大げさにリアクションをしたりする。本人達に悪気が無い分より一層心が削れていくような思いをしていた。
幸いな事にみゆがサポートするように話題を変えたりしてくれていた。
とはいえ、何度も学校に通学していくのも耐えられないような気がした。
今日で終わらせるんだというつもりで私は今までとは違う決意で照の前に立った。
「ごんちゃん……」
「みゆ、なんでずっと来なかったの。」
「それは……」
みゆはクラスメイトに絡まれていたが、気にせずに照に話しかけた。
「八巻さん。」
「今日、どうするこの後……」
「八巻さん。」
「時間もあるしさ……」
「八巻さん。話があるんだけど」
「はぁー……なに?」
向き直った照の姿に一瞬私は怯んだ、照の瞳が怒りに燃えているような気がした。
「描いてほしいと思っててさ。」
「何言ってるの?絵なんて描いたことないから無理。」
「前、描いてたじゃん。オリジナルの……。」
「飛鳥。ちょっと話しよう。」
そういうと、照は私の手を引っ張りどこかに引っ張っていった。
強く手を握られ、引っ張られがままにどこかについていった。
「ごんちゃん。……」
後ろを振り返るとみゆがクラスメイトに絡まれている姿が見て取れた。
咄嗟の出来事で動き出しに手間取っているようだった。




