曇り
「ま、守るって何を?」
「りなさんはみゆを守りたかったんじゃないの。」
「な、何言ってるの?」
りなは私の言葉に明らかに動揺していた。
私との共通点を見つけて距離感が近づいた所で図星をつかれたことによるものだろうか。
しかし、りなの狼狽している姿は可愛らしく見えた。
「飛鳥は少し考えがずれているよ。」
「飛鳥?」
りなが急に私の名前を呼び思わず聞き返した。
りなは明らかに顔をしかめていたが。
「今、私の事……」
「なに?」
「私の事、名前で……」
「言ってない。」
りなは顔を強張らせ、頬を少し含まらせながら怒ったように喋った。
しかし、そこで引くわけには行けなくさらに喋りかけた。
「でも、今確かに言ったように聞こえたんだけど。」
「言ってない。」
「でも、飛鳥って……」
「言ってないけど、もし言ってたとしても違うから。」
「え?何のこと言ってたの?」
「私たちが作っていた、金剛寺飛鳥の事だよ。」
再び、緊張が走った。
私とりなにはまだまだ埋められない深い溝が存在していた。
私はりなからみゆを奪い取った存在であると再度実感した。
「ごめん」
私は謝ることしか出来なかった。謝っている私に向けてりなは複雑な表情を向けていた。
その表情を見てただ引き下がるわけには行かないと心の奥で感じ取った。
「でも!」
「でも。なに?」
「私は金剛寺飛鳥になり切るから。出来ればみんなで……」
「みんなで?」
「みんなで一緒にvtuberをやろうよ。」
「……」
「4人で力を合わせれば何でもできると思うんだ。それこそ世界一の……」
「だから!」
リナの怒鳴り声で私は自身の失敗を感じ取った。
怒りでつり上がる瞳には先程ほんの少しだけ感じた親しみはなく、敵対心だけしか感じなかった。
「なんで自分を入れてるの!」
「それは……」
「何、納得させられる答えでも持っているの?」
「お互いにさ……」
「図々しいにもほどがあるよ!!もう何も聞きたくない!出てって!」
「話だけでも……」
「出てって!!」




