感情
そこから私とリナとの我慢比べが始まった。りなが喋らないなら私はとことんここにいる。
りなには言いたいこと伝えたいことが残っている。
私は深く腰掛け長期戦に臨んだ。
その瞬間、リナが少し私を見た気がした。
「りなさん、私は話してくれるまでずっとここにいますからね。」
「話したらいいのね。」
「……え、あ、はい。」
突然、りなから返答があり私はおもわず返答に詰まりながら答えた。
その返答に満足そうにうなずき、笑顔で話しかけた。
「じゃあ、今話したからおしまいね。帰って。」
「……え?」
私は想定外の返答に思わず固まった。
「ほら、早く帰ってよ。満足したでしょ。早く、早く。」
りなは家から出ていかせようと、私の手を引っ張った。
なぜか掴んだきたリナの手が小刻みに震えていた。
「ちょ、ちょっと待って。」
流石にこのまま帰るわけにはいけなく、私は咄嗟にりなの肩を掴み踏ん張った。肩を掴むと、少し全身が震えているように感じた。
浮かんできた疑問はリナがタイミングよく話しかけてきたことによってすべて吹き飛んでしまった。
「なに?嘘ついたの?」
「いや、嘘じゃなくて。分かるでしょ。そういうつもりじゃなかったって。」
「そういうつもりじゃなかった?」
「うん、そう。」
「じゃあ、どういうつもりなの。どういうつもりでここにいて、どういうつもりで居座ろうとしているの?」
「それは、これから話す……」
「なに、それを聞かないといけないんだ。」
「いけないとかじゃなくて……」
「じゃあ、帰ってよ。私は話すことないんだからさ。言いたいこともないんだし。」
そういうと、りなは今度は勢いよく私の手を引いた。勢いよく引かれた為、思わず立ち上がってしまった。
「立ったんでしょ。早く帰ってよ。」
りなは見下したように私の事を憎々しげに見た。
思わず尻込みしてしまいそうな風格を持っていたが、りなの目を見つめて話しかけた。
「りな、私は仲良くしたいんだよ。私の為じゃなくてみゆの為に。」
「みゆの為?」
「そう。みゆのためみんなで……」
「なに、そんな甘いこと言ってるの!ふざけないで!」
りなは絶叫した。




