勝利と結果
その日の夜、ようやく休息が取れた僕はゆっくりしていた。
手に入れた幾つかの“蛇の果実”と呼ばれるものの一つを使い、この周辺の人床の宿の人達を元に戻した。
ほかにも都市との連絡装置が直り、連絡を取ることが出来た。
後ほど、こちらに人をよこして石化の魔法や、邪教関係の人達を何とかしてくれるらしい。
とりあえずは今日は僕達もつかれているので休むことに。
ここの宿の人に料理を作ってもらってそれを食べ、部屋に戻ってきたところで僕はマリンに聞かれた。
「どうしてほかに隠れているとは思わなかったのですか?」
「僕はあの怪人物に触れたときに能力をコピーしたのです。それで、彼の持っている能力はどんなものか分かりましたから」
「? どんな能力ですか?」
「“時間転移”です」
僕の答えにマリン達がぎょっとしたようだった。
当然の反応だと思いながら僕は、
「未来から来た方の様です。ただしいくつか制限があるようです」
「どんな制限ですか」
「まず、一度行った過去よりも前には、行けない。そして一度未来に戻ると一か月は時間を置かないとその時間に戻ってこれない。そして……未来の技術で作られたものでも、その時点である程度技術についての理解が出来、ある程度再現できなければ持ってくることが出来ないそうです」
「なるほど……。そして未来の技術はいえ……」
「その技術は僕達に理解、そして再現できる。この“蛇の果実”といったものも、今の僕達でも作ることはできるはずです」
「理屈上は、ね。その元の概念が今の時代に存在しているのなら……やるしかないわね」
そうマリンが笑うのを見ながら頷く。
実際に、僕が転生する前の時代でも、学校で習うようなことが数百年前にすでに分かっていたといった、過去の天才達の偉業なのはよくあったのだ。
それらの蓄積と発展が、スマホ、自動車といった身近にあるものに結果として表れているんだ。
ただこの未来人であるあの教祖の制限がどこまでかは分からないが、それでも僕達から見ると確信的な魔法技術によって作られたものなのだろう。
そう僕は思いつつ、他にもどうしてあんな強い魔法をと言われたりしたけれど適当にはぐらかす。
そうして次の日の昼には都市から人が来て、町はどうにかなりそうだった。
またお手伝いした関係で石化の解除の魔法役を優先的にもらえることになり、それをもらって僕は家に帰ることに。
僕は家に帰って母を元に戻す予定だ。
ほかにも近くの村自体は……一番最後になるだろうが、石化の呪いは解かれるらしい。
またあの“邪教”に関しては今後本腰を入れて対処するそうだ。
あとは、僕の手に入れたあの液体も調べてはくれるらしい。
それに関しても、分かったら手紙をくれるそうだ。
せっかく仲良くなったのにお別れだねとアリサとリリルは話していたり、都市の学校に来ればまた会えるよとか、文通しようといった会話をしていた。
どうやら気が合うようだった。
そのうち行こうという話になりつつ、そこでもう時間だとマリンが呼んでいて、僕に気づいたのか僕の近くにやってくる。
「今回はいろいろとお手伝いをありがとうございました」
「いえ。母の件もありまして……どうにかなってよかったです」
そう僕が答えるとマリンがじっと僕を見て、
「学園に来てくださいね。そこで私は講師をしていますから。……あなたの正体、見定めて差し上げます」
一言僕にそう告げて戻っていく。
まだこの人はあきらめてなかった、と僕は気づく。
あの能力はやっぱり頑張って隠し通すと決める。
そしていつもの日常が戻ってきた僕達。
のちに文通により聞いた話では、あの風邪などを起こす薬はそれを使うことによって、上層部の人間などを熱などにより意識や能力を低下させて、都市の機能を弱いながら麻痺させる目的があったらしい。
風邪であれば気づかれにくいだろうといった話だった。
そう言った話をリリル経由から聞いたりして、僕の日常はいつものものに戻る。
そしてこれは、僕の幼少期に起きた危険な人物と戦い退けたという、一つの大きな出来事だったのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございました。楽しんでいただければ幸いです。これで第一部完結となります。当初の予定ではすでに学園に入る予定だったのですが、公募に急遽出したくなり変更しました。当初描く予定のものは二部以降の予定です。そのうち書ければと思っております。その時はよろしくお願いいたします。




