頭を冷やそうと
現在戦闘中であるらしい。
その様子を見ていた僕だがそこで、父が剣を持ってその怪人物に攻撃を始める。
マリンも炎の球をいくつも呼び出して攻撃を開始した。
二人共先ほどと動きが段違いに違う。
僕も加勢を、と思っているとそこで、
「“満つ氷の縛り”」
リリルがそう叫んだ。
呪文の量が僕よりも少なかったのかもしれない。
その分の僅かな時間差がその魔法を完成させて、攻撃に回ったようなのだが……。
目の前上空に、幾つもの氷の柱が浮かび上がり、怪人物の向かって落ちる。
それを見て僕はあれっと思った。
リリルのこの魔法はもっと上のレベルの魔法であって……そう僕が思っているとそこでアリサが、
「な、何よあれ! く、私も負けてられないわ! “大地の剣”」
怪人物の直ぐ側で魔法陣を次々と緑色の魔法時が上がり地面がせり上がって攻撃する。
だがそれらを全て、正確にはその身につけているマントのようなものでこの怪人物は防ぎ、打ち払っているようだ。
特殊な魔道具の一種なのだろうか? そう僕は思いながら、
「“風の雷鳴”」
雷系の魔法を解き放つ。
ぱちぱちと周囲で音がするとともに、周囲に僕の手の握り拳ほどの雷の球が現れて、それが一斉に飛んでいく。
そこでその怪人物は焦ったようだった。
切り替えるように、杖のようなものでその全てを叩き落とした。
それを見て僕は少し考えてから、
「あのマント、水系かな。氷が落ちてきても“同化”して、“土”は“溶かし出し”て、“炎”は“熱の低下”と“空気の遮断”でけして、斬撃は水の抵抗で鈍らせて……でも、雷はそのまま水に伝わるから、弱いのかな?」
僕がそれを見ながら、そこでアリサが、
「“不純物”が入らない水は電気を通さない、たしかにそうだけれど、“不純物”がない状態にするのは通常の空間では難しいよ。周りには土だってなんだって、目に見えない量でも舞っているから。それに、土の攻撃でさっきはアリサが、水にもっと不純物を追加してくれたからね。きっと電気は通しやすいよ」
そう答えながらも僕は、警戒して敵を見る。
もしかしたなら他の攻撃手段も何か持っているかもしれないからだ。
そう思っているとその怪人物は、
「これは……少々別の手を使わなければならないようですが……子供とはいえ侮ると危険か。……引きましょう」
そんな笑う声が聞こえた。
まだ彼には別の手が残されているようだった。
そのままその怪人物は、まるで深夜の放送がなくなったTVのように姿がぼやけていき、消えてしまう。
“光”を操っていたのか?
だったら周辺の熱源なり魔力なりを探知して……そう僕が思っているとそこで、
「タクヤ、去るのならそのままにしておけ。今は母さんたちや村人達の様子を見るのが先だ。それにいつ別の奴らに襲われるかわからないから力を温存しておくように!」
「……はい」
父のその言葉に僕は大人しく従う。
深追いして相手がヤケになったり奥の手を出してきても危険だ。
今は危険を退けただけでも良いほうだと僕は思うことにして、頭を冷やそうと思ったのだった。




