頑張っちゃうからな~
とりあえずは怪しい人物を排除するのに成功した僕達。
そこでマリンがへたり込んだ。
「まさかあんな人物がいたなんて」
「そうだね、私も妻がこんな事になるとは思わなかった。ここ最近は戦闘をしていなかったから体がなまって油断した」
ため息をつく父とマリン。
そこで僕はようやく自分の母が意思になっている事実に、目を向けられるようになった。
「……母さん」
小さく呟いて近づくけれど、僕は、この石化の魔法が引き起こされた後に怪我をするとくっつくことはなく破壊されてしまう事を思い出す。
抱きつきたい気持ちを必死に抑える。
前世の記憶があって、自分なりに子供らしくは無いというのは分かっている。
でも自分を生んでくれた母親や父親といった家族は、今の僕にとって“本当の家族”であって“親”なのだ。
だからこの人達と暮らした僕の心は六歳児のタクヤと全く同じといっていい。
そして人間は傷つくと、悲しいといった感情が消え失せて、酷く空虚な感覚に陥る。
そのせいもあって僕は怒りのようなものを感じながら先ほどのように戦えたのだけれど……こうやって落ち着いて、目の前の現実のようなものを見てしまうと、自然と涙が出てきてしまう。
大丈夫、薬さえあればこんなもの簡単に解けてしまう。
だから……そう頭の中で何度も繰り返して思う。
すると父が僕の頭を撫でて、
「大丈夫だ。お母さんに関してはお父さんが頑張っちゃうからな~」
「……はい」
そう頷くと同時にマリンが、石像が崩壊しないように処置を施す。
正確には結晶で石像を覆うのだけれど、
「私の現在の魔力では、あと2、3体しか出来そうにありません。見て回った範囲であ、他にもこの村人や私の仲間全員がそういった状態で……」
「だったら他の全員は僕がやります。案内してください」
僕がすぐに答えるとそこで父が、
「一度引いたならこの村に再度来るとは考えにくい。結界を張って入れないようにしておこう。2ー3日なら、内部の食料、水はあるだろうから生存者がいても大丈夫だろう。だから……まずは一旦家に戻ってから今後の方針を立てよう。私も今回の戦闘でかなり力を使ってしまい、休まないといけない」
と言い出して、僕達は一旦僕達の家に戻ることにした。
家に帰る途中、幾つもの草を見つけた。
石化の解除に必要な物から、回復薬製造に必要な物まで、沢山手に入る。
もしかしたならいつも以上に周りに僕は意識を持って行っていたのかもしれない。
これからの戦闘やあの石化の魔法関連では必要になる物ばかりだ。
それらを大量に集めてから家に戻る。
そこで何故かメメル姉ちゃんが来ていて、
「あ、タクヤ、って……何があったんだ?」
母さんの様子に気付いたらしいメメルがそう言いだす。
だから大まかに話を説明するとメメルが、
「困ったな、実は父が熱を出だしてしまってね。なんだか今日、“風邪”が流行っているみたいなんだ。だから回復魔法をかけてもらおうと思ったんだけれど……」
そういうメメルの言葉に僕は閃いた。
「回復魔法なら僕も使えます。だから、後で僕達を町まで連れて行ってもらえませんか?」
そう僕はメメルにお願いしたのだった。




