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偽装工作の手立て

 それからクラリスは幾つか野菜を購入して去っていった。

 それを見送ってから荷車に乗せた野菜などを販売するのを手伝う。

 手伝っている間は笑顔を絶やさないようにしたけれど、僕の中で不安がくすぶる。


「僕の才能、か」


 小さく僕は呟いて、どうしようかと思う。

 実の所僕は、このチート二種類を誰にも話していない。

 一つはこの覚醒チートが、僕にはすべて使える能力になってしまう点だ。


 ちょっとした枯れ枝に小さな炎をともす程度の魔法が、都市一つ燃やしつくすような最終奥義にもなるのだ。

 ちなみに僕はその魔法が使える。

 他にも山一つ吹き飛ばしたり、この町を水の底に沈めてしまうようなものも使える。


 そう考えると僕の魔法は危険で危ない。

 だがそれよりも悪用されるのももっと怖い。


「僕は普通の目立たない人生を送りたいな」

「どうしたの、タクヤ」

「うーん、こうやって、リリル達と一緒に普通な日々が続いたらいいなと思っただけだよ」

「……私もそう思う」


 リリルがそう言って僕に同意した。

 この平穏が僕にとっては何物にも代えがたい。

 油断していたとはいえ、こういった箱などにも追跡のものがついているというのなら……何らかの偽装工作の手立ては考えておかないといけない。

 

 こちらの手の内を読まれる前に。

 まずはこの箱の魔法についてだが、


「この箱の魔法を……相手に気付かれないように、“分析”っと」


 リリルとメメル達に見えないように僕は、こっそり箱に手を伸ばしてそのかかっている魔法を分析したのだった。

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