第三九話:「何か問題でも?」
明けて翌日。
え? 昨日のはどうなったのかって?
……言わせないでくれ、思い出したくもない。
僕の名誉と尊厳と、あってないような程度の僅かばかりのプライドの為に、黙秘させてもらう。
そんな訳で、翌日だ。
今日も今日とて日も高く登った頃に起床。
学生ならば共感できると思うが、長期休暇など時間がたっぷり出来ると寝たくなるものだ。
昼までなんてざらにある。下手をすれば丸一日寝ていたなんて事も、一度は経験があるだろう。(僕だけじゃないはずだ)
そういう訳で僕は、生活リズムが大いに乱れたサイクルを送っているのだ。
まぁ最悪自分で身体を弄ってリズムを戻せば良い話なので、それほど困る問題でもないのだから。
閑話休題。
さて、本日の予定はどうしようか。
いきなり二日連続で押し掛けるというのも失礼な話なので、今日は大人しく依頼を受けにいこう。
「お目覚めですか? 我が主」
彼女は昨日と全く同じ姿勢、同じ格好、同じ場所で僕にそう声をかけた。
「あぁ、おはようございます」
いまいち働いていない頭でそう答えながら、僕はベッドから降りる。
「ちょっと留守番をお願いしても良いですか?」
「構いませんが……。どこかへ行かれるのですか?」
「ギルドまで行って今日の依頼を受けて来ます。僕が戻って来るまでに起きてなかったら、叩き起こしておいて下さい」
そう言って、僕は未だに眠りこけている王女を見る。
こんな時間まで同じく寝ていた身である僕が言う事ではないが、まぁそこはご愛嬌だ。
「お気を付けて行ってらっしゃいませ」
「行ってきます」
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ギルド内、A板の前。
僕は依頼書をじっくりと流し読みしているのだが……。
『竜の卵の回収(種族問わず) 報酬、応相談』
『新種の魔物の捕獲 報酬、一種に付き銀貨五十枚』
『実験の肉体提供 報酬、時価』etc…
……難易度上がり過ぎじゃないだろうか。
特に最後のヤツ。
絶対まともじゃない。
あれは論外だな、うん。というか関わっちゃいけない類のだ。
こんなろくに科学が発達していないような世界で『実験』だなんて、死亡オチとしか思えない。
そんな感じで依頼を決めあぐねている状況だ。
と、一枚の依頼書が眼に留まる。
『子供の遊び相手求む 報酬、金貨一枚』
……いやいやいや。
明らかに地雷だろう、これは。
まず内容が不明瞭だ。
『遊び相手』なんて、漠然としすぎている。
そしてそれに対する報酬が、いくら何でも度を超しているだろう。
平民の年収の何年分にも相当する額をポンと出せる者なんて、王族か、少なくとも上流貴族以上の地位だろう。
いかにもな臭いしかしない。
それに、僕子供苦手だしなぁ。
いくら報酬が法外とは言え、さすがにこれはね。
別のを探そう。
そう考えて、僕は別の依頼書に目を向けるのだった。
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「ほ、本当にこれを受けるんですか……?」
「何か問題でも?」
僕は例の依頼書を手に、カウンターの前に来ていた。
今日の担当はこの前のエルフの女性。
初めて会った時の引きつり具合に勝るとも劣らない表情を彼女は見せる。
大方の予想通り、どうやら地雷だったようですどうもありがとうございました。
「問題と言えば色々と問題なんですが……。問題と言うか問題児と言うか……」
どうやら本当にヤバい系の依頼らしい。
だからと言って、今更後にも引けないし。
女は度胸だ。(ヤケクソとか言うな!)
「本当に気をつけて下さいね? ……色んな意味で」
何やら不穏な言葉を残しながらも、彼女は承認してくれた。
あぁ、うん。もう覚悟は出来ましたよ。
諦めの。
読者の皆様方は薄々お気づきかとは思いますが、主人公が女の子である意味は今の所一切ありません。作者がそうしたかっただけです。
反省も後悔もしてません。←
まぁ後々生かされる事があるやも知れませんので、長い眼で見守って下さい。
そんな訳で、第三章開幕です。




