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俺たちの冒険はこれからだ!(五三周目)  作者: 厨二×武力=はた迷惑
第二章
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第三三話:「二人でお先にどうぞ」

 先程のやり取りから更に一〇分程歩いた所で(相変わらず大きいな)、開けた場所に出た。

 中央に巨大な柱が一本そびえ立っており、壁にはいくつも扉が付いている。


「ここは?」

「城の者達は、『無間の間』と呼んでおります」


 尋ねる僕に、彼女はそう返す。


「あの扉の一つ一つが異空間に繋がっており、それぞれが干渉し合う事なく完全に独立した空間として成り立っています。それ故、兵の修練の場として使われる事も多々あります」


 彼女が語る間も、いくつかの扉から複数の、兵士と思しき者達が出入りしていた、


「ここの事、知ってました?」

「話程度には何度か」

「昔は何回か使ってたわ」


 僕の質問に、二人はそう答える。


「どうぞお好きな扉をお選び下さい。私はこれで失礼いたします」


 彼女は一度頭を下げると、そのまま元来た道を引き返していった。


「じゃあまぁぼちぼち、始めましょうか」


 そう言って僕は、手近にあった扉を開ける。



===============



 扉の中(外?)に広がっていた光景に、僕は少なからず興奮を覚えた。

 ここは城の中のはずなのに、上空には見渡す限りの空があった。正面に目を向ければ、使われなくなって久しいのか朽ちた神殿が建っており、その奥には岩石地帯が広がっている。

 僕が感嘆の息を吐いていると、横合いで王女が、


「まぁまぁ当たりかしらね」


 と呟いていた。


「? どういう意味です?」

「うん? あぁ。この扉は、繋がる空間が完全にランダムなのよ。海とか密林とか、酷い所だと文字通り、『何も無い』空間っていうのも存在するらしいから、そういう所に比べれば、ここは当たりと言える場所って事」

「へぇ……」


 超科学技術(オーバーテクノロジー)もいい所だな。いや、この場合は超魔法技術(オーバーファンタジー)か? いずれにしろどんな仕組みか気になる所ではあるが、この場合はツッコむだけ無駄という物だろう。

 それにしても……。

 何も無い空間か。あの神様がいる所みたいな感じかな。


「でもちょっと誤算でしたね、訓練できるような物が見当たらないとは。まさか僕ら同士で戦う訳にもいかないでしょうし」

「え?」

「違うのですか? 我が主」

「……へ?」


 振り返って彼女達を見てみれば、既に二人は向かい合って臨戦態勢に入っている。

 え? 修行って普通こうやる物なの? それともこの二人が喧嘩っ早いの?

 いずれにしても、実戦慣れしてるのは良い事だけど、僕としては前者であると思いたい。


「いや、こんな事で怪我したり、まして致命傷なんか負ったりしたら大変じゃないですか」

「その辺はちゃんと加減するわよ。何かの拍子で殺しちゃった日には、寝覚めが悪いもの」


 王女が何気なく言ったその言葉は、どうやら彼女の琴線に触れたようだった。


「ほぅ。私が貴様如きに殺されると? 冗談も休み休み言え」

「……何ですって?」


 こうなってしまうともう売り言葉に買い言葉。

 互いにヒートアップして止まりそうにない。


「物陰に隠れてこそこそしてるようなヤツに、私が負けるとでも思ってるの?」

「そちらこそ、ただ魔法をぶっ放すだけしか能の無いお子様がでかい口を叩くな」

「だっ、誰がお子様よ! 不敬罪で磔にするわよ!」

「やれる物ならやってみろ」


 どうやら後者の可能性が高くなってしまったようだ。

 何でこう、僕の周りは相性の悪い人ばかり集まるんだ。


「まぁまぁ、少し落ち着きましょうよ。修行が始められません」

「後にして。今はそれどころじゃな———」

「分かりました、我が主。では早速始めましょう」

「……アンタ、いつか絶対寝首かかれるわよ。というか私がやる」


 僕は苦笑しながら二人のやり取りを眺める。

 社会人的には彼女の方がランクが上のようだ。

 人としては王女の方が大分上だけど。


「形式はどうしましょう。僕が纏めて二人の相手をしても良いですが……」

「いいえ、先にコイツとやらせて。叩き潰さないと気が済まない」

「同感です。世間知らずのお子様に、社会の厳しさを教える良い機会かと」


 またも睨み合う二人。

 もう好きにして下さい……。


「じゃあとりあえず、二人でお先にどうぞ。本気で殺しにいかないで下さいよ」


 忠告はしておく。

 聞き入れられるかどうかは疑問だけど。


「一応ルールは決めておきましょうか。場所はこの神殿の中。どちらかが降参するか戦闘不能になったら、そこで終了です」

「分かったわ。さっさと始めましょう」

「望む所だ」


 既に二人はやる気のようだ。

 まぁ、万が一の時は止めに入るとしよう。

 そう心に決めながら、僕は数歩下がって場から離れる。

 二人の準備が整うのを待って、僕は開始のかけ声をかけた。


「では、始めっ!」


 言い終わると共に、二人は同時に動き出した。

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