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俺たちの冒険はこれからだ!(五三周目)  作者: 厨二×武力=はた迷惑
第二章
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第二四話:「僕もそう見えますよ」

「それで、何から聞きますか?」

「とりあえず、何であんなに重い性格になったのかから聞きましょうか」


 と言うか、それがほぼ全てなのだが。


「う〜ん、何と言うかあれはですね、まぁ一族の血が強く出たと言いますか」

「血、ですか?」


 僕はそう問い返す。


「えぇ。知っての通り、ウチの一族は力に依存する事がありましてね。最近の世代はそうでもないんですが、たまに妹みたいなタイプの奴が生まれるんスよ」

「『力に依存する』。つまり、強者に惹かれるという認識で良いですか?」

「それでオッケーです。ルーツは話すと長くなりますけど、聞きますか?」

「僕は聞きたいですけど、あなたはどうします?」


 そう言って僕は、隣に座る彼女を見る。

 彼女は興味無さそうに、


「好きにすれば良いんじゃない? 私は大体の事は知ってるし」


 と、答える。


「へぇ、さすが王族。そういう事情もご存知って訳か」

「いいえ。私が個人的に調べただけよ」

「何のために?」

「何でもいいでしょ」


 何故かこの二人から険悪な空気が感じられる。


「二人とも落ち着いて下さい。話が先に進みません」


 僕がそう止めると、彼女は、フン、と鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまった。

 何をそんなに拗ねているんだろうか。

 一方の彼は、やれやれといった調子で肩をすくめる。


「じゃあ話しますけど、そもそも俺らの一族は、本当なら三〇〇年前に途絶えていたんです」

「え……」


 いきなり重い話来たな。


「元は、どっかの城の城主が私設した、御庭番衆みたいな組織が発展して、今みたいな形になったそうです」

「へぇ……。じゃあ、血の繋がりは無いんですか?」

「いや、そんな事も無いっスよ。たまに外からの人も入って来ますけど、殆どは近親相姦で産まれた子供ですし」


 さらっと近親相姦なんて言葉が出てくる時点で、相当異常なのは間違い無さそうだな。(いやまぁ、薄々は分かってたけど)

 え? 何で僕が近親相姦なんて言葉を知ってるかって?

 それはあれだ、うん、気にしないでくれ。

 というか女の子にこんな事言わせるな。


「まぁそんな訳ですが、時代が経つにつれ、一族の力も大きくなっていったんです。そうすれば自然、敵も増えるでしょう。そうして恨みを買った俺たちの先祖は、三〇〇年くらい前に、とある国に嵌められましてね。信用を失った所を、ここぞとばかりに叩かれました」


 そうして一気に追い詰められた彼らは、本当に血が途絶える寸前まで追い込まれたそうだ。

 何と言うか本当に、醜い争いだ。


「一人、また一人と倒れながら、逃げ切って逃げ延びて、とうとう大陸の端まで追い詰められた先祖は、そこで命を絶つ決断をしたそうです」


 自殺。

 自分を殺す。

 口で言う程簡単な事ではない。

 そこに辿り着くまでに、一体どれだけの恐怖と苦悩があっただろうか。


「そんな時ですよ。救いの神が現れたのは」


 その人物は、突然現れると瞬く間に追っ手を制圧してしまった。

 そして彼らに、こう言ったと言う。


「『諦めるな』、と」


 『何もしないで死ぬという事は、その不名誉を受け入れるという事だ。死に恥をさらして息絶えるのなら、生き恥をさらして名誉の挽回に努めろ。それが、義を尽くすという事だ』。


 その言葉を聞いた当時の先祖達は、ギリギリで死ぬのを思いとどまった。

 そうして彼らはゼロから、いや、マイナスから少しずつ、信頼を取り戻していった。


「そうして、今の俺らに繋がる訳ですが、まぁそれは置いといて。その当時彼らは、その方に忠誠を誓おうとしたんです」

「だけどその方は、それを断った、と」

「はい。その後も粘ったそうですけど、何だかんだで躱されてる内に、行方が分からなくなったそうです」


 要は、その当時から依存体質は存在していて、それがはるばる世代を超えて、彼女に受け継がれたという訳だ。


「そういえば、あなたはそういうのは無いんですか?」

「俺は今ん所無いっスね。まぁ人にもよるんでしょう、アイツはそれが特別強く出たってだけで」

「そうですか」


 そう返事をすると、僕は立ち上がる。


「貴重なお話をありがとうございました。では僕は、これで失礼します」

「もういいんですか? もっと聞いてくれてもいいのに」

「知りたい事は知れたので。ではまた明日」

「そっスか。んじゃ、俺は妹の所に戻りますよ」

「えぇ、妹さんを大切に」


 そう言うと僕は、ギルドの扉を開けて外へ出た。

 背後には既に、一人分の気配しか感じられなかった。

 その気配の主が追ってくる。


「で、彼女をどうするかは決めたの?」

「考え中です」


 僕は振り返って答える。


「下手をすれば、あなた以上に僕と四六時中一緒にいる事になりかねませんからね、彼女は」

「し、四六時中って、その……、お風呂とか、寝る時とかもって事?」

「僕の見た限りでは、そうなる可能性が高そうですね」


 さすがに僕も、そこまでは遠慮したいが。

 そうこうしているうちに、ようやく宿屋まで戻って来た。

 辺りはすっかり暗くなっている。


「あなたは王宮に戻らなくていいんですか?」

「別にいいわよ。普段から王宮あそこには戻ってないし」

「王女がそれでいいんですか……」

「それで成り立ってるんだから構わないわよ。一切帰ってくる事のない奴らもいるんだから、それに比べれば私はましな方よ」


 本気でこの国の将来が心配だ……。


「それで、今日はどこに泊まるんですか?」

「? あなたと同じ所に決まってるでしょ?」


 何をさも当然といった感じで言っているんだ。


「さ、早く案内してちょうだい」

「……ここですよ」


 そう言って僕は、目の前の廃……もとい宿屋を指し示す。


「……廃墟にしか見えないんだけど」

「僕もそう見えますよ」

「ねぇ、もうちょっとましなの無いの?」

「そう言われても……。僕はここしか知りませんし」

「……まぁいいわ。今日はここで我慢しましょう」


 あ、何か納得してくれたみたいだ。


「その代わり、中まで酷かったら燃やし尽くすわよ」

「……止めて下さい」


 その後のやり取りは省こう。

 恐らく想像通りだから。



 そして、朝を迎える。

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