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俺たちの冒険はこれからだ!(五三周目)  作者: 厨二×武力=はた迷惑
第一章
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第一七話:「あなたは誰なんですか?」

 それは最早、戦いなどと呼べるような物ではなかった。

 あまりにも一方的な虐殺。

 当人である僕が言うのも何だが、この場に別の者がいれば、同じ感想を抱いただろう。

 辺りに響くのは、ナイフが風を切る音と肉を断つ音。それから、時折聞こえる獣の悲鳴。

 見る見る内に、群狼はその数を減らしていく。

 それに反比例して、地面に転がる死体の数と、僕にかかる返り血の量は増す。

 僕は何も考えず、ただ無心にナイフを振るう。



 数分と経たぬ内に、群狼はその数を半分以下にまで減らしていた。

 それでもまだ数えたくなる程の数ではないが、眼に見えて数が減ったのが分かるというのは良い事だと思う。

 とは言え、流石に少し疲れたので休みたい。

 流れ作業のような退屈な動作を止めると同時、群狼もその動きを止める。


 と。

 少し離れた所で、呪文を唱えるような声が聞こえた。

 数瞬遅れて、しかし群狼達が反応するだけの時間はなく。

 僕から向かって左側一帯にいた群狼が、一斉に炎に包まれた。


「……何だ?」


 思わず間抜けな声を漏らしてしまう。

 その声に答えるかのように、炎が放たれた位置から声が響いた。


「何だとは何よ! この私が直々に助けてあげたっていうのに、その反応はどういう事よ!」


 その声はまだ幼く、せいぜい僕と同年代と言った所だった。

 そして、炎の中から現れた姿も、予想を大きく外れるような物ではなかった。

 それは、


「子供?」

「誰が子供じゃボケー!」


 彼女が手に持っていた(ロッド)から、いきなり氷柱が発射された。

 慌ててそれを避ける。

 後ろにいた群狼の一匹に当たった気がするが、僕の知った事ではない。


「次に子供って行ったら、今度は容赦なくその身体貫くわよ」

「はぁ……、すみませんでした?」


 答えが半疑問形になったが、彼女は納得したようだった。

 そもそも、語尾を上げて疑問形にするというのは、日本特有のやり方なので、海外(異世界だけど)では通じない事が多い。

 なので、言葉だけがそのまま翻訳されたのだろう。

 そんな事を考えていると、彼女が話しかけてきた。


「それであなた、私に何か言う事無いの?」

「えっと……、どちら様ですか?」

「違うでしょうが!」


 言葉と共に、今度は小さな竜巻が僕に迫ってきた。

 小さいと言っても、人一人ぐらいは軽く吹き飛ばせそうな規模である。

 近くにいた群狼を巻き込んで目前に迫ってきたそれを、片手で消し飛ばしておく。

 竜巻が消え、重力で落ちてきた群狼を、適当に切って止めを刺しておく。

 ツッコミが過激な子だな。


「ていうか何? あなた私の事知らないの?」

「そうですね、初めて見ました」


 僕がそう言うと、彼女はバカにしたのを通り越し、最早呆れたと言った風で、


「ハァ? 私の事知らないとか、あなたどんだけ田舎者なのよ」


 と言ってきた。

 まぁ、田舎どころか異世界な訳だが。


「それで、結局あなたは誰なんですか?」

「フン。人に名前を聞く時は、まず自分から名乗るのが礼儀ってモンじゃない?」

「あ、じゃあいいです」

「そう……。って、ちょっと待ちなさいよ!」


 ……面倒だな、この子。


「し、仕方無いわね。私の方から名乗ってあげるわよ」


 そう言って、彼女は勝手に名乗りだした。


「何を隠そうこの私が! 頭脳明晰博学多才、容姿端麗才色兼備、最強無敵の超絶美少女。その名も———」

「あ、僕群狼(この子達)の殲滅があるので、また今度でお願いします」

「ちゃんと最後まで聞きなさいよ!」


 これが僕と、後の『偉大魔導師』との出会いだった。




 ———ちなみに、結局この後、僕の前で彼女が名乗る機会は訪れなかった。

早くもスランプ気味な一九話目です。

悪い所等あれば積極的に直していきますので、遠慮なく言って下さい。

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