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俺たちの冒険はこれからだ!(五三周目)  作者: 厨二×武力=はた迷惑
第一章
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第一五話:「知ってますよ」

 部屋を出た所で、僕は盛大に溜息を吐いた。


「ハァ……」


 厄介な事になったものだ、と思う。

 よりにもよって、あんな変人もどきに目を付けられてしまうとは(いやまぁ、前々から薄々は感じていたが)。

 まぁ、当初の目的は達せたようなものだから良しとしよう。



 肩ならしにBランクの依頼を受けてみようと思い、来た道を辿って表に出る。

 受付の人は、この前のエルフの女性だった。

 裏から出てきた僕を見るとギョッとして、また何かやらかしたんですか? という目を向けてきた。

 その通りなので何も言わず、軽く会釈をしてカウンターの外に出る。

 そのまま、少し離れた所にあるB板の前に立ち、依頼を眺める。

 当然と言えば当然なのだが、僕に視線は集まってこなかった。

 あれだけ目立った事をしたのだから、僕と関わろうと思う人がいないのも頷ける話だ。

 と、僕は勝手に思っていたのだが、どうやらそれ以外の意味もあるらしかった。

 これは後に聞いた話なのだが、昨日今日ギルドに入ったばかりの新参者が、高ランクのボードを見ているという光景は、大して珍しくは無いそうだ。

 理由は人それぞれで、憧れだったり、自信をつけるためだったりする。

 極稀に、ギルド規約に書かれているにもかかわらず、依頼を受けようとする無謀者(チャレンジャー)もいるそうだ。

 そういう前例があるので、僕の事は気にしていなかったそうだ。


 流石にBランクだけあって、討伐依頼系が多かった。

 いくつか面白そうな依頼もあったが、最初なので、無難に魔物の討伐にしておく。

 手近にあった依頼書を持って、カウンターまで行く。

 その様子に気付いた冒険者も何人かいたが、僕を止めるような人はいなかった。

 僕も、そちらの方が好都合なので、カウンターに依頼書を差し出す。

 エルフの女性は、困ったような顔で、


「あの、こちらはBランクの依頼で……」


 と、遠慮がちに言ってきた。

 あれ、知らないのか? という疑問を覚えた僕は、数秒後に、それも当然か、という結論に辿り着く。

 僕のランクが上がったのはついさっき。おまけに、そのことを知っているのは、僕とマスター、副マスターの三人だけなのだ。

 情報がここまで行き届かないのも当たり前だ。


「えぇ、知ってますよ」

「でしたらその……、Fランクの冒険者が、Bランクの依頼を受けられない事も……」

「知ってます」


 うーん、どうやって今の僕のランクを証明しよう。

 マスターを呼びに行って、彼女に説明してもらうのも良いが、僕はなるべく彼女と関わりたく無い。

 僕が説明に困っていると、


「えっと、ギルドカードを見せていただけますか?」


 と聞いてきた。


「ギルドカード、ですか?」

「えぇ、そうです。ギルドカードには、その人のランクも記されているんですよ。ランクが上がればその場で自動更新されますし」

「へぇ……」


 ……どういう仕組みになっているんだろう、と少々本気で気になる。

 今度暇な時にでも調べてみるか。

 そう思いながら、僕はカードを取り出して、彼女に手渡す。

 渡す際に、今度はひびを入れないよう、慎重に魔力を調整して流し込む。

 それを見た彼女は、本日最大の驚きを見せた。

 僕とカードを何度も見比べると、


「……これは本当にあなたのですか?」


 と、問いかけてきた。


「そうですが、何か?」

「い、いえ、私の目がおかしくなければ、ランクが『A』になってるんですけど……」

「えぇ、そうですね。……って、『A』!?」


 これには僕も、素で驚いた。


「『B』の間違いじゃないんですか?」

「いえ、確かに『A』となっています……」

「えぇ〜」

「駄洒落を言ってる場合じゃありません!」


 ……そういうつもりはなかったんだけど。

 それはともかく、まぁ僕としては高い方が良いので、特に何も言う事はないのだが、彼女の方は納得がいかないようで、僕に、「ちょっと待ってて下さい」と言い残して、僕のカードを手に裏へ入って行った。

 依頼が受理されていないので、依頼に行く事も出来ないし、先程戻ってきたばかりなので、またあの部屋に行くのも躊躇われる。

 どうしようかと悩んだ末に、せっかくAランクに上がっていたんだから、Aランクの依頼でも見ていよう、という結論に落ち着いた。



 暫くして、彼女が何とも言えない表情で戻ってきた。

 恐らくは、マスターに上手い事言い包められたのだろう。

 僕は再びカウンターに戻る。

 彼女はとても疲れた声で、


「こちらの依頼をお受けになりますか?」


 とだけ聞いてきた。

 何があったかは大体予想がつくので、彼女の質問に頷くだけにする。


「承りました。こちらの依頼は、期限が後一〇日となっておりますので、ご注意ください。それではお気を付けて、行ってらっしゃいませ」


 彼女の事務的で平坦な口調に、僕は物凄く距離を感じた。

 僕は悪くない。と、信じたい。

やはり、行き当たりばったりは厳しいですね。

どんどん執筆ペースが落ちて行きます。

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