一話 あの日、生まれたあなたへ
この物語は、わたしの姪「瑠夏」との記録です。
未成年だったわたしが初めて出会った、小さな命。
その成長を見守る中で、わたしは多くのことを知りました。
見えること、見えないこと。
支えるということ、支えられていたということ。
これは、そんな時間の中で生まれた物語です。
第一章 あの日、生まれたあなたへ
彼女が産声をあげたのは、よく晴れた、暑い夏の日だった。
「もうすぐ生まれる」
そんな知らせを聞いて、わたしは両親と共にすぐに病院へ駆けつけた。
当時のわたしは、まだ未成年だった。
そわそわしながら、病室の廊下を何度も行ったり来たりしていたのを覚えている。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
病院に着いてから、三時間ほどは待っただろうか。
やがて、おぎゃあという産声が聞こえた。
それから何分経った頃だったか、看護師さんが扉を開けて言った。
「親族の方、どうぞ」
その言葉を、今でもはっきり覚えている。
小さくて、儚くて、
触れてしまうのも躊躇してしまうほど、可愛い女の子だった。
初めて抱いたときの、あの軽さと温もりを、今でも忘れられない。
未成年で、わたしは叔母になった。
命の重さを、初めて知った瞬間だった。
名前は「瑠夏」と名付けられた。
瑠夏は、すぐに大きくなった。
初めて赤ちゃんを抱かせてもらったときの、
あの軽さと温もりを、今でも忘れられない。
オムツを替えさせてもらったのも、
ミルクをあげさせてもらったのも、
全部、瑠夏が初めてだった。
そのひとつひとつが、わたしにとっては特別だった。
いとこのお世話をしたことはあった。
でも、生まれたばかりの赤ちゃんに触れたのは、人生で初めてだった。
怖いくらいに、小さくて、
それなのに、確かに「命を感じた瞬間」だった。
瑠夏に、何かがあるなんて、
あの頃のわたしは、想像すらしていなかった。




