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俺の愛銃はレールガン【超電磁砲】 剥奪された世界最強の勇者  作者: その辺の双剣使い
三章 召喚者の目的

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第36話 仲間達の存在



「クソッ! 一体何が起こったってんだよ!」


 王宮の一室にて。

 意識を取り戻した奏多は、目覚めるなり急にそう叫びだす。


 急に撤退し始めた敵軍。それを追撃せず地面に埋もれる奏多を発見した悠哉は、兵を引き上げ王宮に帰還していた。


「やっとお目覚めのようだな、奏多。何が有ったのか聞きたいのは、こっちの方だぜ」


 悠哉は、奏多が目覚めたら事情を訊くつもりでいたが。当人の反応に面食らってしまう。

 二人は、取り敢えず分かっている範囲で、お互いの状況について話し始めた。


「気づいたら、いつの間にか敵の軍が撤退を始めていたからさ。てっきり奏多が敵の大将の首を取ったんだと思って、状況を確認しにいったんだ。そしたら、地面に埋もれてるお前を見つけてびっくりしたぜ。総大将がそんな状態じゃ、どうして良いのかわからなかったしな。とりあえず軍を引き上げて、王宮に戻ってきた感じだ」

「クソが! 敵をみすみす逃したってのか? こっちは敵の大将を、あと一歩のところまで追い詰めてたんだぞ!」

「じゃ何で、あんな状態になってたって言うんだよ?」

「それが分からねーから、俺も余計にムカついてんだろが!」

「しかし、それにしても自動再生ってパッシブスキルはスゲーよな! 発見した時のお前は、殆んど瀕死の状態だったんだぜ? でも、一日もしたら、もうケロっとしてんだからな~」


 悠哉は敵軍が引き始めた事で、すぐに味方に対し勝利宣言を行っていた。

 奏多の状態を隠しつつ、一応の格好をつける形を取ってから撤退していたのだ。



☆☆☆



 軍を引き上げ、一週間ほどで侯爵領に帰還したレイチェルとスネイク。

 二人は父のスコットを交えて、戦果の報告と今後の事について話し合いを行っていた。


「まさか異世界人が、あんな化物染みた強さだなんて思ってもみませんでした……」


 レイチェルは、父に向かってそうぼやく。


「だから申したであろう? あのディールが、一撃で倒されたと聞いておったのだ! いくら高価な魔道装具を持っていたとしても、常人が敵う相手でない事くらい分かるはずだ」

「戦況そのものは、我が軍が常に優勢に運んでいたのですが……個の力であそこまでやられえしまうと、軍略も何も有りません。しかし、ディールの奴があのフレイア殿と友人関係だったとは……何とかしてあの御仁を、味方にできないものでしょうか?」

「召喚者を一撃で倒すなど、もはや人かどうかすら怪しいものだが。少なくとも悪人というわけではなさそうだ。可能であれば、味方になるよう交渉してみるのも手かもしれんな」

「では早速、ディールの奴に伝聞鳥にて手紙を送りましょう。実家の危機なのです。奴の事ですから、必ずフレイア殿を説得してくれるはず!」


 人外の強さを持つ者に対しては、同じく人外の者を当てる。それが最上の策と判断したレイチェル。父との話し合いが終わると、すぐに執務室へと向かう。

 弟に宛てた手紙は、実家の危機を訴える内容だった。


 伝聞鳥とは、魔道具を取り付ける事によって制御できるようにした鳥だ。

 レイチェルは、伝聞鳥に手紙をくくりつけ執務室のテラスから空へと放つ。

 あまり好かない弟が、仮面の英雄フレイアだとも知らずに。



☆☆☆



 兄達の窮地を救いにいってからしばらくして、俺はレイチェルから送られた手紙を受け取っていた。


 フレイアに対し反抗軍に加わるよう説得して欲しい。という内容の手紙に、俺は頭を悩ませる。

 一応、臣下の意見も聞きたい。そう思い、主要なメンバーを集めて緊急会議を開くことにした。


「フレイアを説得したところで、奴は戦争に加わるという内容では動いてくれないだろう」


 主要メンバー達に事情を説明し、そう自身の見解を述べる。そんな俺に対して、アルはジト目を向けていた。


「ディール様! ここに居る皆にはもう、話してしまえば良いじゃないですか」

「話す? 何の事だアル」


 俺は、幼妻の問いに対して、あくまでもシラを切り通そうと考える。情報を知っている人間が多ければ多い程、漏洩する危険性も高まるというものだ。

 アルは、納得いかない顔だが。仲間とはいえ、隠し事の一つくらい有ってもいいだろう。


 そんな俺たちの様子に、ガルドは怪訝な顔を向けてくる。

 やはり誤魔化しきれなかったか? そう思い、少しだけ真実を明かす覚悟をしたが。俺が腹心と認めるこの男は、ちゃんと空気を察したようだ。その事は軽くスルーして、話を先に進めてくれた。


「それで、ディール様はこの件に関して、どうお考えなのですか?」

「さあな、どうしたものか……俺がここを長期間離れるわけにもいかないし。かと言って、フレイアは絶対に動かないと分かっている。今回ばかりは、実家の危機といっても放置するしかないだろうな」

「大事なご実家の危機なのです! それを放置するなど、ディール様の心情的にも居た堪れない気持ちなのではないですか?」

「まぁ、両親の事だけは心配だけどな。兄貴たちに関しては正直、自分のケツは自分で拭けって感じか」


 俺がそう冷たい反応を示すと、エマは珍しく下手な感じで懇願してくる。


「お願いよディール! 私の実家も隣同士だし絶対に巻き添えを食うわ! だから、今回の件は何とかしてあげて欲しいの!」

「最近、アメリア王国の動きも活発になってきたしな。エマの気持ちもわかるが、やはり俺がここを長期間離れるのはかなり心配だ……」


 俺の不安に対し、ガルドはやはり真剣に考えてくれているようだ。

 非現実的ではあるものの、なかなか的を射た提案をしてきた。


「ディール様がお持ちの、レールガンという武器ですが。それが何挺かでもあれば、かなりの戦力強化に繋がると思います。しかし、やはりそれはディール様が勇者時代にどちらかで手に入れた、神級の魔道具かなにかなのでしょうか?」

「いや、こいつは俺が作った武器だから、他に作ろうと思えばいくらでも作れるさ。ただし、こいつは普通の人間には扱う事ができない」

「あまりにも強烈な威力に、普通の人間ではその反動に耐えられないという事でしょうか?」

「まぁ、それもあるがな。強力な電流を発生させる事ができない者には、使用する事ができないって言うのが一番の理由だ。だが、その考え自体は良い案かもしれないな」

「何か他に案でも?」

「ああ、大量に魔力砲を生産して射手を育成すれば、少ない兵力でも有効に戦う事ができるんじゃないか?」

「しかし、それを大量に生産する事など、可能なのでしょうか?」

「それについては大丈夫だ! 俺に任せとけ!」


 俺の発言に対して、エマだけは不安そうな表情だ。

 やはりコイツは、俺の事を何処までもポンコツだと思っているらしい。


「それで、あなたは実家の救援に向かうって話で良いのよね? その魔力砲ってやつを大量に配備すれば、あなたが居なくてもここを防衛できるってこと?」

「まぁ、取り敢えずはな。俺もそんなに長く、ここを離れるつもりはないけど。やはり、まるっきり顔を出さないってわけにもいかないしな。魔力砲の生産が上手くいったら、エマにはここの事をしばらく頼んでも良いか?」

「ええ! 勿論よ! それじゃ、私の実家の事もお願いねディール!」


 話は纏まり、すぐに新たな防衛体制の準備に取りかかる。


 俺にとって、今回の件は気が進まない話ではあった。しかし、それと同時にこの会合で、新たに得た仲間たちの存在を頼もしくも感じていた。

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